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お昼は大混雑も、夜になると閑古鳥。名物「牛汁」で有名な老舗洋食店の謎

昼は大繁盛の洋食屋さん。しかし、夜になるとなぜか閑散としてしまう…これは何が原因なのでしょうか?今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんが、とある老舗洋食店の魅力と悩みについて答えています。

昼は大繁盛なのに夜は…「牛汁」がイチ推しの洋食屋は、どうすれば集客できるのか?

1951年創業のとある老舗洋食屋さん。

このお店の一番人気は、「牛汁」という、あまり聞いたことのない料理です。

仕込みに何時間も掛けた牛すじを秘伝のスープで煮込んだもの。

来店客のほとんどが、この牛汁とご飯だけを注文します。

牛汁という名前から、つけ合わせをイメージするかもしれませんが、立派なメインメニューなのです。

ゴロゴロと大きな牛すじがたっぷり入っていて、表面は脂でギラギラし、上にはねぎがのっています。

見ためはコッテリしていそうですが、意外とサッパリしており、赤身の多い牛すじは、口の中でとろけるやわらかさがあり、独特の甘みが感じられます。

旨みとコクの塊と言っても良いでしょう。

食べた人は、口に含んだ瞬間に、「おぉ~!」「わぁ~!」という言葉を発してしまいます。

何か別の料理に例えることのできない味わいです。

この牛汁をたらふく味わうために、他にはご飯しか注文しないのです。

牛汁をご飯に掛けたり、レンゲにのせたご飯を牛汁に浸して食べる人が多くいます。

お客さまのほとんどが、この組み合わせを注文します。

それほど、飛び抜けて美味しいメニューなのです。

地元の人はもとより、遠くからでも足を運ぶ人は多くいます。

本来は洋食屋さんなので、ビーフステーキやチキンステーキ、ハンバーグ、豚のしょうが焼きなどもあります。

しかし、“牛汁のお店”として知れ渡っています。

牛汁目当てに、たくさんの人が押し寄せています。

他のメニューがあまり売れなくても、代表的なメニューが売れていることは、商売としては大成功です。何の問題もありません。

ところが、このお店には悩みがあります。

これだけ人気があるのに、夜の営業時間は、お店が閑散としていることです。

絶賛されるメニューがあるのに、なぜか夜にはお客さまが来ないのです。

ある程度は儲かっているものの、このままでは、夜営業をやっている意味がなくなります。

その理由として考えられるのは、周辺は会社が多く、夜の需要がないこと。

アルコールは置いているものの、おつまみ的なものは少なく、居酒屋利用しづらいことも挙げられます。

会社帰りの人が、洋食屋さんで飲むことは期待できません。

また、近くには学生が多くいますが、夜飲みの場としては、少し高いお店になります。

これらのことは、お店の人も理解していると思いますが、私はこのお店を見ていて、別の理由が頭に浮かびました。

お店の雰囲気です。

かなり古くなっているだけではなく、いろんなものが煩雑に置かれていて、洋食屋さんには見えないのです。

安さが売りの庶民的な食堂といった佇まい。

安くするために、他の経費は掛けられない、という雰囲気を醸し出しているのです。

それでも、味の良さでお客さまが来てくれています。

しかし、お客さまの大半が男性なのです。

やはり、庶民食堂の雰囲気では、女性や家族連れはやって来ません。

夜の閑散は、ここに原因があるようです。

洋食屋さんなので、メニューからして、女性や家族連れが期待できるはずなのです。

このお店は1階がカウンターのみ。2階が座敷となっています。

特に2階が、およそ洋食屋さんとは思えないのです。

これを改善すれば、夜の集客力も高まるのではないでしょうか。

お店を改装して、洋食屋さんの風情を創り出すのです。

やり過ぎると、常連さんが敬遠してしまうので、“お洒落”ではなく、“渋い”内装にするのです。

当然、2階はテーブルと椅子席とします。

女性や家族連れが入りやすい雰囲気を作らなければなりません。

メニューはそのままで良いでしょう。

そうすることで、渋い老舗の洋食屋さんが、「牛汁」という変わった料理で大人気となっていること、すなわち、洋食と牛汁のミスマッチが大きな話題となり、さらにお客さまがやって来ることになります。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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