医師たちのデモが続く韓国。そんな隣国の一般国民は、この異常事態をどう感じているのでしょうか? 無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、とあるネット民の話を紹介しています。
4等車がないからここにいる。シュバイツァー博士の面白い逸話
あるネット掲示板におもしろい文章が載っていた。ご紹介したい。
シュバイツァー博士には多くの逸話が残っているが、その中の面白い逸話の一つを書いてみたいという書き出しでネット民の文章は始まる。以下がネット民の文章である。
彼(シュバイツァー)はノーベル賞の授賞式に参加するためにアフリカを離れてパリまで行って、そこでまた汽車に乗ってデンマークに行く計画だった。ところが彼がパリに到着したという知らせを伝え聞いた新聞記者たちが取材をしようと彼が乗った汽車に押しかけることになった。
シュバイツァーは、イギリスの皇室から伯爵の称号を与えられた貴族。それで取材競争に熱中した記者たちが一気に特等室にどっと押し寄せてシュバイツァー博士を探してみたが、到底見つけることができなかった。
すると記者たちは再び一等車に集まって探してみた。が、やはりそこにもシュバイツァー博士はいなかった。
記者たちは再び二等車に行ってみたが、そこでもシュバイツァー博士を見つけることができなかった。それで記者たちは皆、虚脱のあまり疲れ果てそのまま帰ってしまった。
ところが、イギリスの記者一人だけが、もしやと思って3等車両をのぞき込み、思いがけずそこでシュバイツァー博士を見つけることになる。
貧しさに疲れた人々が硬い木の椅子に大根のようにぎっしりと挟まって座っている、そのかび臭い悪臭に満ちた3等車両の片隅にしゃがみ込んでシュバイツァー博士は彼らを診察しているのだった。
驚いた記者が彼に特等室に席を移すことを勧めたが、シュバイツァー博士は聞いたそぶりひとつせず診察に余念がなかった。
「先生、なんで3等車なんかに乗ってるんですか?」
「ああ、この汽車は4等車がなくてねえ」
「いや、そうじゃなくて先生がどうしてこんな不便な所で苦労していらっしゃるんですかっていう意味なんですけど?」
シュバイツァー博士はしばらくして、額の汗を拭いながら答えるのだった。
「私は楽なところを探し回るのではなく、私の助けが必要なところを探し回ってるんです。特等室の人々は私を必要としません。」と。
謙遜は頭を下げるのではなく、心を下げることなのだ。
相手を尊重し、相手の立場に立って、心から率直に理解しながら認めることなんだ。シュバイツァー博士こそ、本当に謙遜と奉仕と博愛精神を持った立派な医学博士といえる人だ。(ここまでは元々よく知られている文章の引用で、次からがネット投稿者のオリジナル文章)
お金だけに目が眩みストライキをする我が国(韓国)の医師たちもシュバイツァー博士を見習ってほしいところだ。
国民の皆様、必ず病院に行かなければならない病気でなければ、しばらく病院に行くのはやめよう。大概の病気は薬局にいってお薬を買って飲んで体を温めれば治る。不治の病の場合は静かに死のうではないか。今のこの機会に医者の奴らのつけあがって傲慢で行儀の悪い性根をはっきりと直してやろうじゃないか。人の命をやたらと粗末に扱いながら命をもてあそぶやつら、お金だけ欲しがるやつらは人間扱いしてはダメだ。もっともらしいこと(教育の質が落ちるとか医者の質が落ちるとか)ばかり主張しながら、その本音は集団利己主義じゃないのか。
年俸3~4億ウォンをくれるといっても地方勤務は嫌だと言いはって、政府にちゃんと対策を出せという。
こんな身の程も知らない傲慢な声に、頭にきている国民が頭を下げるべきなのか?
命をも捨てる覚悟でドイツに行った1970年代の韓国の鉱夫たち、中東の砂漠に行ってプラント建設に血と汗と涙を流しながら働いたあの世代。(韓国では1970年代、自国で金を稼ぐことが困難だったためドイツの炭鉱に鉱夫として行って働いたり、看護婦として働いたり、あるいは中東のプラント建設に従事するために行って働いたりする時期があった。韓国の中ではこの世代の話は有名。)
勉強がよくできて医者になったんだろうけど、外貨を稼ぐために外国まで行って苦労して働いた親世代に意気揚々と「おれは医者だ」なんていえるのか。
医者も技能職にすぎないじゃないか。なのに先生先生といわれてみんながちやほやしてくれるからほんとに大したものにでもなったかのような錯覚に陥っているだけなんだな。
今2,000人増員しても10年後になってはじめて体感する(おお、増えたな、と)ハズなのに、また先延ばしにすれば国民はいつまで待たなければならないのか?
同窓会、町内会も病院の庭でデモしよう。全国民が医療界の「しつけ」作業に参加しよう。
今回だけは、絶対に妥協しては駄目だ。
「お年寄りの方々、助けてください。僕たちが間違ってました」と医者らが手をすり合わせて許しを請うまで国民の怒りをぶつけよう。世界史上、どこに医師が患者を投げ捨て病院を飛び出して集団で騒いでデモをする国があるというのか?
医師免許を取り消して、彼らの傲慢さに鉄槌を加えなければならない時だ。政府(ユン・ソンヨル)にだけ任せるのではなくわれわれ国民が立ち上がって抗議すべき時だ。
国民全員が医者らに抗議すれば、道は開ける。そして医者らを躾けることのできる方途は、国民全員が立ち上がるしかない。全員が立ち上がれば、医者の立つ瀬はない。
ネット民の文章であるがこれが今の韓国の一般的な国民の平均的な感覚だ。医療界の傲慢さをどこまで打ち砕けるか。これが今の韓国の医療界を取り巻く状況だ。
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