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オープンAI社が「初のアジア拠点」に、韓国ではなく日本を選んだ理由

ChatGPTの「オープンAI社」が初のアジア拠点を、日本の東京に開設することになりました。無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、これを受けて、なぜ韓国ではなかったのかを分析しています。

オープンAI、韓国ではなく東京に初のアジア拠点開設した理由

生成型人工知能(AI)の先頭走者であるオープンAIが昨年1年間、急激な成長を経た後、積極的な事業拡張に乗り出している。東京に初のアジア事務室を開所し、アジア諸国との接点を拡大し、これまで会員加入が必須だったチャットボットチャットGPTを加入手続きなしにすべての大衆に提供することにするなど、規模を拡大しているのだ。

4月1日、日本経済新聞(日経)によると、オープンAIは今月、東京に初のアジア拠点を開設する。「オープンAIジャパン」法人を新設し、アジア企業を対象にした企業向けAIサービスを運営するヘッドクォーターにするということだ。

これは、米サンフランシスコに本社を置いているオープンAIが昨年、英国ロンドンとアイルランドのダブリンに事務所を設けて以来、海外で設立した3番目の拠点だ。オープンAIのサム・オルトマン最高経営者(CEO)の最側近に挙げられるオープンAIのブラッド・ライトキャップ最高運営責任者(COO)は15日、東京で記者会見を開き、法人設立方針を説明する予定だ。

オープンAIがサムソン電子・SKハイニックスなど半導体強者がいる韓国ではなく、日本をアジア拠点に選択した背景には「グローバルAI規範」を制定する議論を日本が主導しているためだという分析が出ている。

日本の岸田文雄首相は昨年5月から「生成型AIを規制する国際規範を作る」と積極的に乗り出した。AIに対する開発倫理、信頼構築などを含むいわゆる「広島AIプロセス」を推進するということだ。その後、昨年10月、広島で開かれた主要7か国(G7)会議で、各国首脳は、日本政府が主導したAI開発に対する国際指針や行動規範に合意した。

オルトマンCEOは業界で最も積極的にAI商用化に乗り出す「AI肯定論者」に挙げられるが、彼はチャットGPTを公開すると同時に「グローバル政府のAI規範が必ず必要であり、積極的に協力する」という意志を数回表明してきた。シリコンバレーテック業界では、初のアジア拠点を東京に設立し、事実上、今後追加で進められる広島AIプロセスなどAI規範議論がオープンAIに肯定的に作用するようロビー作業に着手するための意図があるという分析が出ている。

これと共に、オルトマンと孫正義ソフトバンク会長の関係も日本行きの重要な要因に挙げられる。これに先立ち、オルトマンはオープンAIのための独自の半導体設計・製造を構想し、主要投資家の一つとして孫会長と2回の出会いを持ったことがわかっている。

ソン会長もAI半導体製造のために投資に乗り出すことにしただけに、オープンAIとソン会長が今後の投資議論を進めやすいとして東京に拠点を置くのがベターだということだ。テック業界関係者は「東京に拠点を置く場合、サムソン電子・SKハイニックスとの協力議論も一層容易になるだろう」と話した。

一方、1日(現地時間)ロイター通信によると、オープンAIは同日から別途の加入手続きを経なくても、チャットGPTを誰でも無料で使えるように開放した。これまでは簡単だが、電子メールを通じた会員加入が必須だった。オープンAIはこの日「AI機能について気になるすべての人がAIに接近できるよう機能を漸進的に発売するだろう」と明らかにした。

業界ではオープンAIのこのような行動の背景に停滞しているチャットGPT利用者数があると指摘する。オープンAIのチャットGPTウェブサイトは昨年5月、月間活性利用者数(MAU)が18億件で頂点に達した後から成長が鈍化した。グーグルのジェミナイを含めた錚々たるライバルが現れ、ウィンドウズに基本的に搭載されたマイクロソフトのコパイロットに分散される利用者も多かったためだ。このため、チャットGPTを使用できるすべての障壁を除去したものと見られる。

一方、同日ロイターによると、オープンAIはAIスタートアップを支援するベンチャーキャピタル(VC)ファンドの支配構造を変更し、該当ファンドに対するオルトマンCEOの所有権を整理した。該当ファンドはオープンAIのパートナーから募金された1億7500万ドルを投資しているが、投資利益が会社ではなくオルトマンに回るのではないかという疑惑に苦しめられてきた。オープンAIのグローバル拡張を控え、予期せぬ問題を防止するため、支配構造の整理に突入したということだ。

広島AIプロセスは、2023年5月に開催されたG7広島サミットの結果を踏まえ、その急速な発展と普及が国際社会全体の重要な課題となっている生成AIについて議論するために、2023年5月に立ち上がった。

その後、2023年9月の中間閣僚級会合、10月のIGF京都2023でのマルチステークホルダーハイレベル会合を経て、12月の閣僚級会合で安全、安心で信頼できる高度なAIシステムの普及を目的とした指針と行動規範からなる初の国際的政策枠組みとして「広島AIプロセス包括的政策枠組み」がとりまとまり、G7首脳に承認された。

今後、開発途上国及び新興エコノミーを含むG7を超えた政府、民間セクター、学術界、市民社会等、多様な主体からの広島AIプロセスへの賛同の輪が拡大し、AIに関する包摂的な国際ガバナンスの形成が促進されることで、世界中の人々が安全・安心・信頼できるAIを利用できるようになることが期待されている。(朝鮮日報ベース)

image by: Varavin88 / Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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