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「褒めて伸ばす」は本当に有効か?厳しく指導しないと組織が守れなくなる現実

最近の風潮として、叱らずに「褒めて伸ばす」というものがあります。ミスや問題を指摘することでハラスメント扱いされたり、仕事を辞めてしまうことも多いようです。無料メルマガ『飲食店経営塾』の著者で飲食店コンサルタントの中西敏弘さんは「褒めて伸ばすだけでは組織は守れない」と持論を展開しています。

「長所を伸ばす」「褒めて伸ばす」だけでは組織は守れない!

「ほめて伸ばそう」「長所を伸ばそう」というのが、最近の風潮。

今の時代の社員さんは、小さい頃から「怒られる」ことに慣れていないため、厳しくするよりも、褒めて伸ばそうという考えの人がほとんど。逆に、「指摘」したり、「厳しく」接したりすると、すぐに不平不満を言ったり、最悪の場合は辞めてしまうということが起こっているようです。

こういう背景もあり、多くの経営者さんが「叱る」ことや「厳しく指導する」ことを怖がり、言いたいことも言えず、「どうやって社員を指導すべきか」と悩んでいる方が多いように感じています。

確かに、私の感覚的にも、叱るまではしませんが、「厳しく」指摘したりすると、こちらの言うことに全く聞く耳を貸さなかったり、ひねくれて何もしなくなるというスタッフもいます。

しかし、こういうスタッフは、そもそも仮に「褒めた」としても、結局は指摘したことを守ったり、言われたことを素直に受け止めるとは思えないのです。(実際に、「褒めた」としても人の意見を素直に聞き入れない人はたくさんいます)

やはり、”できる”スタッフは、こちらが真剣に指摘したり、相手のことを考えて厳しく言ったりしたとしても、それを素直に受け止めて、行動したり、自分の行動を変えようとします。

つまり、すべての人に対して「褒める」「厳しくする」のではなく、相手の「階層」(スキル、経験、意欲など)に併せて、指導方法を変えることが重要だと思うのです。

組織論で「262の法則」というのがあります。

2割の意欲の高いスタッフ。6割の普通のスタッフ。そして、最後の2割は、意欲の低い(スキルが足りない、仕事ができない)スタッフに、どんな組織でも別れてしまう。そして、それぞれに対して適した対応が重要である、というもの。

きっと、この最後の2割の「意欲のないスタッフ」は、色々な面で課題があり、このスタッフへの対応をどうするのかが課題だと思います。

私は、この262の法則を活用し、各階層を下記のように定義付けています。

・2割の意欲の高いスタッフ・・・「指示がなくとも行動できる」

・6割の普通のスタッフ(上記層に近い人)・・・「指示があれば、継続して、行動できる」

・6割の普通のスタッフ(下記層に近い)・・・「できることはできるが、指示がないとやらない人、継続できない人」

・下部の2割の意欲の低いスタッフ・・・「指示したこともできない、ルールさえも守れない」

このように、下部の2割のスタッフというのは、基本的に「自分勝手」でルールや決めごとを守らない傾向が強いのです。また、にもかかわらず、自分では「できている」と思っている人が結構多いのも厄介なところです。

なので、こういったスタッフには、ある程度厳しく指導し、ルールを守らせたり、決めごとをしっかり順守させることが重要であり、ルールを守らないことに対してこちら側が何も反応しないと、かえって、言い方が悪いですが、つけあがってより”悪い態度”を助長させる傾向が強いのです。

もし、何も指導しないと、”組織が組織として機能しなくなる”きっかけにもなりますから、この層は「辞めても仕方ない」と思って対応することが大切ではないでしょうか?また、厳しい言い方になりますが、そもそも「できない」スタッフであるため、たとえ辞められても組織的には何も支障もないでしょう。

そして、それ以外のスタッフには、もちろん言い方や指導方法を考える必要がありますが、私自身としては、相手のことを本当に思って、昭和的かもしれませんが、「こころ」で向き合って接すれば、ある程度厳しく指導しても「分かってもらえる」率は高いと感じています。

冒頭にも書きましたが、確かに、最近の子は、小さい頃から「叱られる」ことがなく「叱られる」ことに慣れていない側面はありますが、しっかりとした理由があり(内容をしっかり説明することが大切)、本人のことを思った指摘であれば、厳しい指導も受け入れる要素はあると思います。これは私の過信かもしれませんが、そういった指導を待っている子もいるのではとも思います。

要は、相手のスキルや性格に合わせて指導することが大切で、世間の風潮を恐れて、通り一遍な指導をすることが最も良くないことなのです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 中西敏弘 【発行周期】 毎週2回

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