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日本はニューヨーカーからどう見られているのか?世界各国をクラスメイトに例えて分かった日本の笑えない立ち位置

10年ほど前から量産され始め、現在も高頻度で目にする「日本礼讃」番組。それらのプログラム曰く「日本は世界中の人々から大人気」とのことですが、はたしてそれは真実なのでしょうか。今回のメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』ではニューヨークの邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋さんが、日本人もしくは日本という国がニューヨーカーからどう思われているかを紹介。さらに世界各国を「クラスメイト」に例え、その立ち位置を分かりやすく解説しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:日本は世界にどう思われているか / あるいは、世界をクラスにたとえてみたら

日本は世界にどう思われているか / あるいは、世界をクラスにたとえてみたら

日本の報道番組やバラエティ番組などで“【JAPAN】は世界から非常に好意的に思われている”とよく見ます。日本は世界の人々に「素晴らしい国」だと思われている、とマスコミは口を揃える。実際、日本の日本人から「日本は世界ですごく人気あるんですよね」ともよく聞かれます。

果たして、実際はどうなのか。

結論はありません。そんな“好意的”を数値化できるデータはこの世にはない(たまにネットニュース等で「世界に良い影響を与えている国ランキング」とかのアンケート上位に「JAPAN」がランキングされているのを見たことあるぞ!!”…という反論については、長くなるので次週、言及します)。

まず、ジャンルにもよります。「政治」的な側面なのか、社会、文化、エンターテイメント、スポーツと場面場面によって各国の印象は変わってくる。中華料理は好きだけど中国に住みたくない!という友人を少なからず僕は知っている。

それに加え、評価する側の「国」にもよって変わってきます。言うまでもなく一般的に「トルコ」や「台湾」は親日国と知られますが、「中国」「韓国」は反日国として報道されることが多い。対象が違うと印象も違う。

「ジャンル」にも対象の「国」にもよるので「世界から見たNIPPON」がどう映っているのか、一義的には言えない。もちろん「個」にもよります。「日本人、大っ嫌い!」なベトナム人も絶対いるはずだし、ひょっとしたら「日本最高!」って思っている北朝鮮人もいなくはない(かもしれない)。世界は例外でできあがっている。

それを踏まえた上で、僕個人という小さなデータがNYという限定された街で、あくまで日常生活の中で感じた「社会的」な面から、「日本」もしくは「日本人」がニューヨーカーからどう思われているか、感じたままに伝えたいと思います。四半世紀暮らし、日々ニューヨーカーと触れ合う仕事をしてきて感じたままに。

個人の主観であると同時に世界の人種・国籍が最もマージしているこのニューヨークという街は、最高のサンプルが採れる場所でもあります。採るとしたら、ここしかない。世田谷区とほぼ同じ面積に、全世界すべての国籍・人種・文化・宗教がひしめいている。比喩的な意味合いではない“世界の縮図”はここを置いて他にはない。

で、本題。「日本が世界で評判がいい!」「日本は世界で好かれている」という日本の報道が本当なのか、どうか。

結論から言うと、大筋、間違ってはいない…、と思います。

どの人種と接しても、好意的に思ってくれている人の方が比較的多い。世界各国の国籍のイエローキャブドライバーは「日本人か!オレ、行ってみたいんだよ!」「日本人っていい人が多いねー!」とよく声をかけてくれます。営業トークだけとは思えない。

全体的に好印象を持ってくれている、と言っていい。悪いイメージはほとんど聞かない。

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ただ。

なんというか。

リスペクト(尊敬)もされているし、インプレッション(印象)も良いのだけれど。

Cool(カッコイイ)!とか、Awsome(イケてる!)とは、また違うような気がします。そうは思われていない。

いや、もちろん日本、もしくは日本人のことを「Cool」や「Awsome」と表現してくれる人もいなくはないけれど、それこそ営業トーク、というか日本人(僕)相手の忖度コメントな気がしなくもない。一般的に、CoolやAwsomeと表現されることはやっぱり少ない。

学生時代のクラスメイトのキャラクターでたとえれば、わかりやすいかもしれません。

「日本クン」は確かに頭も良くて、口数は少ないけれど、誠実で、親切。狭いけれどキレイな自宅に遊びに行けば、電化製品なんていつも最新で、トイレにはお尻を洗ってくれる機械まで備え付けてあって、出されるごはんはすべて美味しい。以前、生魚を出された時にはビックリしたけど、最近は美味しく感じられるし「RAMEN」なんてクラスメイトみんなから大人気。

そう「日本クン」は、クラスみーんながリスペクトしてる「学級委員長」みたいな存在。実際、学生時代を振り返った際、委員長は本当のリーダー的存在がなるわけではなく、人畜無害な、人の良い、断れない性格の子がなっていた(ならされていた?)気がします。みんなから好かれてはいるけれど、そう目立つ存在ではない。好きか嫌いかと聞かれたら、好きと答えるけれど、存在感があるわけではない。

男子にとっての「憧れの存在」かと聞かれれば、身長も高くはないし、たいしてスポーツもできるわけじゃない。なによりファッションのオシャレがオシャレすぎて、フェミニンにしか見えない。

女子たちにモテるかと聞かれれば、間違いなくNO。アニメ好きの特殊なタイプとは話が合うかもしれないけれど、(2024年現在も)世界の基本は、女性はManly(男らしい)男性に惹かれる。外見の話です(じゃあSHOHEI OOTANIはどうなるんだ!日本人とつきあってる金髪美女が実際いるぞ!…etc. のような、よく聞く反論に対しての反論も、長くなるのでまた次週)。

では、クラスの中心人物は誰なのか。良くも悪くもいちばん目立っている「番長」的な存在は、やっぱり「アメリカくん」です。これは間違いない。

ケンカがダントツで強い、野球部のキャプテンです。ケンカの強さでリーダーが決まるなんて「なんて幼稚な発想だ」と言われてたとしても、現代の世界情勢がつまりはそう成り立っている。現実の世界がそうであるからこそ、そこもまた、学生時代のクラスにたとえるとスンナリくる。

同じ野球部には副キャプテンの「カナダくん」を始め、「メキシコくん」、「ドミニカくん」、「プエルトリコくん」、数年前に仲直りした「キューバくん」もいます。かつて、クラス全体を不安にさせた「キューバくんの反逆」。あまりに子分として理不尽に使われた「キューバくん」の生涯唯一の反乱でした。そんな「キューバくん」をも丸め込んだ「アメリカくん」はクラスで不動の地位です。

でもこの「番長」、実はそんなに頭が良くないことも、クラス中にバレてきています。やたらジャンクフードばっか食ってるし、なによりファッションもダサいし、いつも正義のヒーローきどりで頼んでもないのに他のクラスメイトのケンカに首つっこんでくるし、デブだし。

いや、本当はずっと前から、なんなら番長就任(サンフランシスコ平和条約調印=1951)した直後からバカはバレていた。ファッションはいつもイケメンサッカー部(欧州)からのパクリだし、遊びに行ってもハンバーガーやホットドッグしか出てこないし。全体的に幼稚だし。

それでもケンカが強いから、クラスメイトはみんな距離を保ちつつ、いい関係でいようと思ってる(まさしく学生時代の番長だ)。

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ちなみにモテモテ軍団のサッカー部ですが、特に「フランスくん」と「イタリアくん」は料理も上手。「スペインくん」だって自宅が海岸近くにあるから、遊びに行くと、美味しいシーフードを食べさせてくれます。もちろん「オランダくん」、「ドイツくん」のような家の宗教が厳しくて、外食をあまりさせてもらえず、アメリカくん並の舌しか持ちあわせていないのもいるにはいます。特にイギリスくんちの4兄弟は4人ともバカ舌。末っ子「ウェールズくん」はチーズさえ食ってりゃ笑顔だし、三男「スコットランドくん」は基本、ジャガイモばっか食べてる。次男の「アイルランドくん」なんて、ついこの間までまともなモノを食べたことすらない。

(彼らのパパたちは同じ「EU」という組織で働いている同僚でもありましたが、先日、イギリスくんのパパは退職して、一悶着ありました。かつて自己破産しかけた「ギリシャくん」ちのようになるかもしれないけれど、それはまた別の話。アイルランドくんは最近、急に美食家に転向)

彼らサッカー部は、とってもオシャレでファッショナブルです。「番長」はどこかで彼らに憧れを持っている。でも、クラスのリーダーなのでそんな憧れはひたすら隠します。クラスメイトほぼ全員にバレてるけど。

そんなちょっとバカで愛想のある「番長」だからこそ「学級委員長」の「日本くん」は憧れを抱いています。ホントは「日本くん」の方が全然頭もいいのに、「番長」のマネをしたがります。「番長」のファッションをマネるけれど、もとはといえばそのファッション、「サッカー部のイケメン軍団」のマネです。マネをマネて完コピに近い形までマネるのは日本くんのお得意芸。

ついでに、番長の言葉遣いもマネしたがります。番長語の単語単語は日常にあふれるほど取り入れるけれど、ちゃんとしたセンテンスで会話が成立するほど、番長言葉をマスターできているわけじゃない。たまに番長も使わない番長言葉の単語だけをつなげたりして必死です。「サスティナブルなオーイーエムは、イニシアチブをとりつつ、オルタナティブをASAPにソリューションしましょう」…番長自身に「こいつ何言ってんだ??」と思われている。

よくわからない番長語を使いたがるのは不可思議だけど、それでも、そこまで自分に憧れる「日本くん」を「番長」も可愛いと思っています。なので「番長」と「学級委員長」は友達です。

でも対等ではない。対等の関係とは「番長」自身、絶対思ってはいない。

「番長」は「学級委員長」のことが好きは好き。忙しいときに、代わりに宿題のレポートをやってくれるし、たまにお小遣いもくれるから(かる~い感じで頼んでくる)。

その関係の上に成り立っている「友情」だということを「日本クン」はまず把握しなきゃいけない。

だとして、レポートもお小遣いも断る選択はない。「番長」の機嫌をとるのは、いざ!という時の為。日本くん家(ち)はキレイだけれど、地震他災害が異常に多いエリアに建てているから、もしもの時はなんとかしてくれると信じてる。

最近では、ライバルとすら思っていなかった「韓国クン」の方が「番長」と親しくしている気もするし。番長、韓国くんの作った映画や歌が大好物。インドくんちなんて、ちょっと前まで平屋のトタン屋根だったのに結構キレイに建て替えてきているし!

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学級委員長、この30年間、結構、肩身狭いです。クラスメイトから裕福な家庭と思われていたのは遠い昔。最近、うちにお金がないことがバレてきました。でも、まぁ、お部屋でゲームしてりゃあお金もかかんないし、楽しいから、ま、いっか。「挑戦」したり「行動」なんてしたら大切な大切な「自己肯定感」とやらが傷ついたらエライことです。ポジティブシンキング!とさえ言ってりゃ幸せになれるそうなので、このままお部屋に閉じこもっていよう。あ、そうそう!来年だか再来年には月だか惑星だかが、1直線に並ぶとかナントカで、健康もお金もぜーん望みは叶うんだって!教室でそのことを話したら、全クラスメイトに大爆笑されたけど。

番長の方はいつも誰かと抗争しています。委員長ばかりに構っていられません。その昔、隣町の共産高校「ソ連くん」との、“抗争しそうでしない緊迫状態”から解放されて以降も、結局、ずっと他の高校との抗争が続いている。一度は握手した「ロシアくん」との関係も再びどうなるかわからない。「ウクライナくん」イジメを“正義の味方”としてこれ以上見ないふりはできない。番長の立場も盤石ではない。そして、なにより「中国くん」です。自分と同じくらいデカい図体しているアイツが、いつか「タイマン張ろうぜ!」と言ってくる日がこない保証はない。

うーーん…、やっぱり…、学級委員長、クラスの主要メンバーには当分、入れそうもない。

ここまでの内容、わかりやすいようザックリとした主観で書いています。もちろん国際情勢がそんな単純な構図なわけがないけれど、世界情勢を超シンプルに理解していただけたなら。

最後に。

クラスの中に、家が貧乏でいつも同じ服着て、そのくせいつも明るくて、笑ってばかりで「おまえ、どうして、そんなに明るいの?」ってつい聞きたくなるコ。いましたよね?

勉強は全然出来ないくせに、やたら運動神経だけは異常によくて、喧嘩したらホントは「アメリカくん」より「ロシアくん」より「中国くん」より強いかもしれないのに、抗争とかにはまったく興味もない。休み時間のチャイムが鳴ると同時にサッカーボール持って真っ先に校庭に駆け出すコ。ケンカもスポーツもアートも本当は一番すごいはずなのに、サッカーやってりゃ幸せだって子。いましたよね。

そいつが「ブラジルくん」です。

(メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』2024年6月4日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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