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廃墟同然の古民家で「原始的で素朴なパンを焼く」という選択をした職人の話

自然とともに生きながらパンを焼くペイザン・ブーランジェ(農家のパン屋)。とある青年が日本でそれをやろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか? 無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者で、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが詳しく紹介しています。

『ペイザン・ブーランジェ』という生き方を学んだ、あるパン職人の選択。

自然とともに生きながら、日々の糧として、パンを焼く。

『ペイザン・ブーランジェ(農家のパン屋)』。

そんな暮らしに憧れた青年が、フランスをはじめ、ヨーロッパ各地の「農家のパン屋」で働き、その在り方と哲学を学び、京都府京丹後市にパン屋さんを開店しました。

小麦やライ麦を育て、その粉と水だけで発酵種を作る、伝統的な手法を用いています。

小麦・ライ麦は石臼で自家製粉し、発酵器や電動ミキサーを使わず、木桶の中ですべての生地を手捏ねし、自然発酵させています。

温度管理をする機器もありません。

自作の薪窯で焼き上げています。

この素朴で伝統的なパンづくりを始めたキッカケは、東日本大震災。

農業ができなくなったり、避難生活を目の当たりにして、食べるという人間の根源的な行為の大切さに気づいたのです。

そして、食の世界へ。

レストランに勤めた後、農場で有機栽培を学んでいる頃、育てていた麦でパンを焼いてみました。

自作のロケットストーブと手づくりオーブンで、薪を使い、パンを焼き続けるうちに、本場フランスで学んでみたいと思うように。

そこで出逢ったのが、『ペイザン・ブーランジェ』という生き方。

小麦やライ麦を育てて、パンを焼く。

そんなもっとも原始的であり、自然な暮らしのスタイルに憧れたのです。

ヨーロッパ各地で修行の後、日本に戻り、廃墟同然の古民家を手に入れ、自分で修理し、パン工房を開店させたのです。

販売しているパンは、

「カンパーニュ・ビオ(田舎パン)」

「セーグル・エ・リ(玄米粉とライ麦のパン)」

「ブリオッシュ・ペイザンヌ(牛乳たっぷりのパン)」

「グランド・エポートル(スペルト小麦のパン)」

「デーツと胡桃のパン」など。

香ばしいふくよかな香りと噛めば噛むほど出てくる奥深い甘味。

「生きる」ということの幸福感を味わうような素朴さが、口いっぱいに広がります。

これが、本物のパンなのかもしれません。

いま日本は、さまざまな事象で心が傷つくことがあります。

発達・発展したからこその歪みに、人びとは疲れています。

だから、自然なもの、自然な営みを求めてしまいます。

有機栽培で小麦・ライ麦を育て、昔ながらの製法でパンを焼くことは、そんな人たちの心に刺さったのだと思います。

今後、先進的になればなるほど、その対極にあるものを欲する人は増えてくるのではないでしょうか。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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