昨今大きなうねりとなっている、国内飲食業態の海外展開。事実、多くの進出企業がアジア圏をはじめ各国で成功を収めています。しかしながら外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一さんは、海外への出店時に注意を払うポイントがあると言います。今回のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』では堀部さんが、進出する国や地域がどこであれ常に頭の片隅に入れておくべき4つのポイントを取り上げ、それらの対処法をレクチャーしています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:飲食企業の海外出店時の落とし穴
飲食企業の海外出店時の落とし穴
上場している飲食企業はどんどん海外への出店を加速しています。
- 現地直営での展開
- 現地企業を買収での展開
- 現地パートナーのFC展開
など様々なパターンがあると思います。
ただ中小企業においては、多くのケースが直営な事が多いと思います。
今日はそれを考えるにあたり、あるある過ぎる落とし穴をまとめました。
どこの国を選ぶとしても、そこは気をつけて頂ければ幸いです。
■株式比率
これ、本当に気をつけてください。私のご支援先も2社現地乗っ取りがありました。
A社:国内では20億規模。中国にパートナーと組んで展開
最初は良かったが数年後から入金の粉飾があり、最終的には完全に乗っ取られ。現地には今も同じ屋号で展開されています。
B社:国内では5億規模。店舗ブランド力はあるので現地パートナーと展開
日本側は現地5店舗くらいでイグジットしたかったが、現地パートナーはもっと攻めたく、常にキャッシュ不足。
狙いの違いから結局揉めに揉め、最終的には乗っ取られて終了。
さてさて、何故乗っ取られるのか。自分達が株式の過半数を持っていないからですよね。
両方とも49%でした。最初はそれで良い!って思いますよね。将来に対するワクワクも大きいですし。
しかし49%という事は、相手がコントロール権があるという事です。
直営で行くなら、
- 日本の会社が株式100%で作れる
これはポイントにして欲しいです。
■物件契約書
これ適当に交わす企業さんが多すぎます。
日本だとなんだかんだ借主が強いですし、定借でなければ家主からの家賃増交渉もしれっと対応できたりしますよね。
しかし海外はそういきません。
インフレが日本以上なので家賃が爆上がり。こんなケースも多々あります。
特にこの足元10年でシンガポールに展開しているところは、毎度家賃に頭を悩ませ続けていました。
そのため、やはり「賃貸借契約書」は徹底的に要望を入れた方が良いです。
「弁護士チェックが都度大変で…」と今でも仰られる企業さんもいらっしゃいますが、最高の秘書がいるじゃないですか。
ChatGPTはこの辺り得意分野です。
契約書を読み込まれ、「契約更新時のリスクをまとめてくれ」と依頼すれば、かなり芯を食ったまとめがちゃんと出ます。
- 契約期間
- 契約更新時の値上げ率
- 無駄なコストが隠れていないか
- 無駄な制約が隠されていないか
ここでやられてしまうところも多いので、必ずChatGPTを活用して、隅々までチェックをお願いいたします。
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■資金繰り
今はネットバンキングで海外に送金自体はかなり難易度は下がりました。
またマネーロンダリングも最初は疑われますが、ここもちゃんと手続きすれば大丈夫。
しかし。
その資金どこから集める?です。
日本側でキャッシュが潤沢ならそれで良いのですが、もし借入ならば難易度は爆上がりです。その中でも運転資金か設備投資で変わります
1.運転資金での調達
設備投資よりは難易度は下がりますが、調達金額は下がりますよね。
まずはかなり早い段階から、支店長と担当者に海外挑戦する事は伝えておき、下地は作っておいてください。
これがあるとスムーズになります。
- 現地での賃貸借契約書
- 現地での銀行との契約がわかるもの
- 現地での全部事項証明書
- 支払いの事実がわかるもの
この辺りを出し、運転資金を算出しておけば、それに対する運転資金の融資はしてもらえます。
2.設備投資での調達
これは本当に大変!特に地銀や信金がメインになると「現地確認ができないから」とできない理由が。
特に設備投資は「資産の部」に計上するものですが、子会社へ資金を使うということは、親会社側には資産の部が増えないという事です。
もちろん、貸付金と立替金での資産は増えますが、これはめちゃくちゃ嫌がられる勘定科目。
ただ日本の親会社の資産の部にしようとすると、逆に現地の物件オーナーさんが契約相手が急に日本側になるので嫌がります。
現地企業からすると、「は?」となる日本側の論理を押し付ける必要が出てくるので、ここの調整がかなり大変になります。
結論としては、
- 自社キャッシュ
- 運転資金
これで問題なく現地店舗をオープンできる。これが理想かなとは思います。
■雇用計画
まずは「海外で働きたい!」と思ってくれる従業員さんがいらっしゃるかどうか。
そこから現地雇用になってきますが、これは本当に大変!ーー(『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』2024年9月30日号より一部抜粋。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録の上、9月分のバックナンバーをお求め下さい)
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