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「死ね!二度と泊まらない」日本のホテルで中国人客と台湾人スタッフは何故トラブルになったのか?

あくまで「一つの中国」を主張し、台湾独立の動きを過度に警戒する中国政府。習近平政権下においては、民間の中国人との交流にも注意を払う必要があるようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、すべての中国人観光客が「秘密警察」の役割を担う可能性があると指摘。その上で、彼らとの何気ない会話の中にどのような危険性が含まれているかについて解説しています。

※ご高齢ということもあり、今年3月からメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の「ニュース分析」コーナーの執筆をスタッフに任せて、自身は「国家論」の連載に集中していた台湾出身の評論家・黄文雄さんが、7月21日に85歳で永眠されました。今後もメルマガは黄さんの思いを継ぐスタッフにより継続されます。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【中国】中国人とは民間交流さえ危険な時代

すべての中国人が“秘密警察”の役割を担う可能性も。習近平政権下では民間交流すら危険極まりない理由

中国人客が台湾人スタッフに「台湾は中国のもの」と発言するよう強要

9月末、日本のホテルに宿泊した中国人の客が、台湾人スタッフに対して、「台湾は中国のものだ」と無理やり言わせようとしたトラブルがあり、台湾でも批判的なニュースとして大きく扱われています。

中国人観光客は台湾人スタッフとのやり取りを撮影し、SNSにアップしていました。台湾の「自由時報」には、その動画がアップされていますが、自分は台湾人だというスタッフに対して、中国人客が「中国人と言え」「台湾は中国のものだ」と繰り返し主張して、スタッフの発言を変えさせようと執拗に絡んでいる様が映し出されています。

日本飯店台灣員工堅稱「台灣不是中國的」 小粉紅氣炸退房

最後に「おまえは台湾独立派だ」などと威圧的な捨て台詞を残してホテルを去ったようですが、中国人客は旅行予約サイトにこの動画を投稿して、「台独派は死ね!二度と泊まらない」とコメントしたそうです。

感銘を受けたのは、この台湾人スタッフが常に冷静な口調で、しかしはっきりと、「台湾は中国のものではありません」「私は台湾人であり、中国人ではありません」と反論していたことです。

以前のメルマガでも書きましたが、最近、台湾の芸能人が中国側の圧力で「私は中国人」だと発言せざるをえないケースが増えています。台湾当局は、中国当局が台湾芸能人に言論を制限する同意書への署名を共用したり、税務調査をちらつかせて脅迫していると明らかにしています。

「私は中国人」台湾芸能人が相次ぎ発信、約100人 中国当局が“脅し”

このような、台湾人に「自分は中国人」だと言うように迫る動きが、一般中国人のあいだでも起こっているということなのです。しかも、中国国内ではなく、日本国内でそのようなことを行う中国人がいることが大問題です。

2008年の北京オリンピックの際には、日本の長野を通過する聖火リレーで、中国当局は留学生3,000~5,000人を動員。当時はチベット人虐殺に対する中国への抗議活動が活発な時期でありましたが、大動員された中国人が五星紅旗を振り、こうした抗議ムードを薄め、歓迎ムードを盛り上げていました。

中国人の来日目的が観光から「敢行」に変わる日

当時、中国人が続々と長野に結集し、沿道を五星紅旗で埋め尽くす様子を見ていた日本人の多くは、その動員力と、日本ではないかのような異様な光景に、大きな脅威と嫌悪感を抱いたものでした。

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中国人観光客との何気ない会話で最悪「死刑」も

今年7月、中国は台湾独立を勧める行為を違法とする「反国家分裂法」に違反したとして、台湾人15人を拘束しました。この罪状で有罪になると、最高刑は死刑もありえます。また、台湾側は、中国以外の第三国においても、中国と犯罪人引き渡し条約を結んでいたり、中国が海外警察拠点を設置している国では、台湾人が拘束され、中国に護送される恐れがあるとして、注意喚起をしています。

加えて、外国人であっても、台湾の独立を指示したり、台湾の国際的地位の向上などを支持すると、拘束されるリスクがあるとも指摘されています。

中国、「反分裂法」違反などで台湾人15人拘束 最高刑は死刑の指針で台湾警戒

つまり、海外で中国人から「台湾は中国か否か」と問われ、「台湾は中国ではない」などと答え、その様子がSNSなどでアップされてしまうと、台湾独立派として、海外で逮捕される可能性があるということなのです。

これは香港についても同様です。2020年に制定された香港国家安全維持法では、香港独立など「国家分裂扇動の罪」を犯すと、海外にいる外国人でも取り締まりの対象となるのです。

国安法めぐる通報40万件、日本留学中でも 香港「密告」に息苦しさ

いわば、今回の中国人観光客は、海外で中国当局の意に反する者たちを探り、それを中国当局に告発するという、「秘密警察」としての役割を果たしたということであり、すべての中国人観光客が同様の役割を担う可能性もあるのです。

そもそも中国には、組織や市民にも情報収集の協力を義務付ける「国家情報法」があり、海外で台湾独立派やその支持勢力を探ることは、中国当局が望んでいることでもあります。

したがって、中国人との何気ない会話の中で、台湾独立派や香港独立派、またはそのシンパや協力者だと思われた場合、中国当局へ通報され、いつか中国やその親交国へ行ったときに拘束される危険性すら否定できないのです。

一般中国人との気軽な会話でも、警戒しなくてはならない。現体制の中国では、民間交流すら非常に危険な行為だと言わざるを得ないのです。

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