大接戦が予想されていたものの、蓋を開ければトランプ氏の圧勝に終わったアメリカ大統領選挙。なぜハリス氏は合衆国初の女性大統領の座を射止めることができなかったのでしょうか。今回の『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』ではNY在住の人気ブロガー・りばてぃさんが、米国3大ネットワークの1つに数えられるCBSの興味深い指摘を紹介。さらにハリス氏の選挙準備期間をめぐる自身の考察を記しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:気になるニュース ハリスさんの敗因は何だったのか?CBSの考察
トランプ圧勝。米国キー局CBSが指摘するハリスの敗因
● Trump wins the 2024 presidential election, completing historic comeback
日本でも速報でていますが、あのトランプさんが大統領当然確実となりまして、史上最高齢というだけでなく、重罪で有罪判決を受けた初の大統領と伝えられています。
りばてぃコメント
昨日、11月5日に投開票があったばかりですが、意外と早く結果が出まして(とはいえ当然確実となっただけで開票自体はまだ続きます)、アメリカ時間6日朝4時ごろには激戦州かつ重要州だったペンシルバニアをトランプがとったことで本人が早々に当選宣言。
たまたま時差ぼけで早くに起きてたのでテレビの生放送を見てたのですが、ABC、CBS、NBCといったリベラル派のテレビ局はすっかりお通夜状態。話題は上院(Senate)と下院(House)の獲得数、そして中絶に関しての話題にうつってました。
この雰囲気、アメリカのテレビでは民主党が負けるたびに見る光景です。逆にFoxをみると出演者が微妙に嬉しそうな雰囲気でコメントしてたりします。これって、おそらく日本ではあまり見ないですよね。一応テレビは中立ということで、どこの政党が勝ったか負けたかでテレビの放送で喜んだり、お通夜のように落ち込んで反省会に近い放送をしてなかったように思います。なので、アメリカの選挙年の風物詩ともいえるかもしれません。
さてさて、今回の選挙はバイデン大統領が出馬せず、副大統領のハリスさんが出馬することになり一時期は民主党優位のような戦況になったものの、その後はギリギリまで拮抗していて勝敗の行方はほんとにわからない状況でした。
いくつか争点はありましたが、特に今回は人工中絶の規制についてが争点の1つ。というのも、トランプさんが大統領在任中に保守派の判事3人を指名したことで中絶関連はじめいろいろ影響が出ていたので、中でも最もインパクトが大きい女性の中絶する権利は守るべきだと考える人たちはトランプさんが大統領になることをなんとしてでも阻止したがっていたわけです(もちろん他にも大統領になってほしくない理由はあるでしょうが)。
そんなわけで5日の投票会場でも「3人の娘を持つ父親だから彼女たちの将来を守るために当然ハリスを支持する」といったコメントも放送されていました。
しかし蓋を開けてみれば争点はそこではなかったかもしれないというCBSの興味深い指摘も。
As an example of how ticket-splitting may have had an impact on the election results, @MajorCBS points to battleground state Arizona, where “it is evident that those who supported” the state’s reproductive rights referendum “did not necessarily transfer that support, as Democrats… pic.twitter.com/8sQuXrkt53
— CBS News (@CBSNews) November 6, 2024
今回の大統領選に合わせて10州で人工妊娠中絶に関する住民投票が行われましたが、そのうちの1つであるアリゾナ州では人工中絶の権利は守るべきとの票は62.3%と半数以上あるものの、その支持層は同じく人工中絶権利を守るべきと主張するハリスさんを支持する票には向かわず、ハリスさん支持は48.3%とトランプさん支持の50.8%以下に留まったとのことなのです。一方、上院は民主党リードとなってました。
今回の結果は純粋にハリスさんとトランプさんの2人を見たときにトランプさん支持層が結果的には多かっただけだったということのようです。
あとアメリカはまだ女性大統領が出てません。今回は途中で、というかかなり終盤にバイデンさんに変わってハリスさんが出馬となったわけですが、初の女性大統領になるべくしての選挙準備期間としてはかなり短かく、それも少なからず影響していたのではないかと思います。
そういえば前回トランプさんが大統領になったときは常に様々な話題を提供していてメディアも大忙しでしたが、今回はどのようになっていくのか動向に引き続き注目です。
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え?いまさら?ニューヨークで信号無視が合法に!?
● Jaywalking officially legalized in New York City. Here’s what it means for pedestrians.
何をいまさら!?と思うそこのあなた、きっとニューヨーカーですね(笑)。そして、「え?アメリカどうしたの?」と思われた方、はい、きっと正常な感覚かもしれませんね。特に上述の重罪で有罪判決を受けた初の大統領が誕生したアメリカ、何でもありすぎではないか?と思われることでしょう。
ですが、一度でもニューヨークに来たことがある人は歩道用信号が赤でも車が来なければ道を渡るニューヨーカーを何人も目にしたことがあると思います。そしてそれが普通です。
常に合理的に動いているニューヨーカーは車が来ないのに待っている意味なんてない!ということで道をどんどん歩いていきます。特にマンハッタンの場合は狭い道が多いのでさっと歩いてしまえば車にひかれるという心配はあまりないので問題ありません。
でもニューヨーカーは常日頃から「私たちはバカじゃない」と考えているので、車が来そうなときや、大通りの場合は車が来てなくても危ないので青になるまで待ちます。なので、車が来てるのにそれを無視して渡っているという話ではないわけです。
そんなニューヨークの歩道事情ですが、一応アメリカでも歩道の信号を無視して道路を渡ることをジェイウォーキング(jaywalking)といって違法です。ニューヨークのマンハッタン以外ですると歩行者でも警察につかまることもあります。
じゃあ、マンハッタンだけ特別だったの?というとそうではなく、マンハッタン含むニューヨークでも1958年から違法でした。でも警察がいる前でも、警察ですら、信号が赤でも渡っても何にも言われません。それくらいジェイウォーキングはマンハッタンでは当たり前なのですが、ついにその当たり前が法律を変えることになったそうで、来年2月からは合法になるんだそうです。
え?いまさら?このニュースを伝えるキャスターも豆鉄砲くらった鳩のように驚きをもって伝えています(笑)。
そもそもこの話題の重要なところは、人種によって警察に呼び止められるかどうかの差別もあった点です。そういう不公平を解消するための合法化だそうです。
ただし、言及するまでもないですが、ニューヨークのマンハッタンであっても、周りの人たちが歩き出したとしても必ず車が来ていないかどうかはちゃんと確認することをおすすめします。最近だと歩きスマホで不注意になってて周りに合わせて歩き出してしまい車が来てたなんてことは珍しくないですし、車以外にも自転車ということもあるの気をつけましょう。
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さすがヤンキース。「ワールドシリーズ守備妨害事件」の顛末
MLBワールド・シリーズは4試合先に勝利したLAドジャースが優勝し、大谷選手と山本選手がいるということもあり、ドジャース祝杯ムードいっぱいの日本。いろいろ話題はあるものの、今回、野球ファンじゃなくても許されない行為としてとあるヤンキースファンの行動が問題視されたのでその後の顛末を備忘録がてら。
4試合目となるヤンキース・スタジアムでの試合で、観客席の方まで飛んだボールをドジャースの選手が見事受け止めたにも関わらず、その手から無理やりボールを取ろうとしたヤンキースファン2名の行為が大きく問題に!
直後、問題の2名はセキュリティに導かれスタジアムを出されたわけですが、ヤンキースは公式で「許せない行為」と声明を出し、翌日の試合も2名は観戦禁止としました。ちなみに席の代金は当該2名に払い戻しされたそうです。
その上で、もし無理にでも観戦しようとすれば逮捕されるとまで発表してまして、相当に厳しい処分となりました。
当然の処分でしょう、とファンだけでなく誰もが思う対処でしたが、さすがヤンキース、それだけじゃありません。払い戻して空いた席をお隣ニュージャージー州に住む小児がん患者とその家族に寄付したそうです。素晴らしい。
(『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』2024年11月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。「ニューヨークの最新ダイエット生活」や「ニューヨークの遊び方(時々、旅先)」等の内容充実のコラムもすぐにお読みいただけます)
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