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ホンマでっか池田教授が、家庭菜園で虫や猿による「被害」に気付いてしまった理由

CX系「ホンマでっか!?TV」でおなじみ、生物学者の池田教授は、坐骨神経痛を少しでもよくするために今年も家庭菜園をやることにしたそうです。自身のメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』で、その家庭菜園での様子を詳しく紹介しています。

今年の野菜造りについて

去年の暮から、右足の座骨神経痛がでて、あまり気力がわかないのだけれども、動かないでいてサルコペニアになって歩けなくなってしまうのはやっぱり困る。予防のためには、少しは体を動かした方がいいと思って、今年も野菜造りをしている。

あまりたくさん植えると大変なので、今年は多少控えめにしようと思って、ミニトマトを3株、トウガラシを2株、パプリカを3株買ってきた。ミニトマトは千果という品種で、接ぎ木苗である。1株300円と接ぎ木していない苗に比べて多少割高だが、素人が作るには接ぎ木苗の方が圧倒的にうまくいく。ゴールデンウィークの少し前にプランターに植えて、もう収穫し終わってしまった。1株に100~150個くらい実ができるので、今のところ一番気に入っているミニトマトである。下から7段くらいの房までで、その上の花は取ってしまう。欲張って8段目も9段目も花を付けさせておいても、小さな実しかつかないことが多いので、欲張らない方がいいのだ。

今年のミニトマトはさっさと作ってさっさと終わりにしたことが良かったのか、害虫がほとんど付かなかった。例年は、オオタバコガの幼虫に青い実のうちに穴を開けられて中を食べられることが多かったのだが、今年はほとんど被害に遭わなかった。トウガラシの品種はタカノツメで、2株畑に植えた。1株150円で、もう実が沢山成っているが、まだ赤くなっていない。女房が青唐辛子味噌を作ると言っているので、そろそろ収穫時期かしら。

トウガラシやパピリカやピーマンの茎には、褐色のカメムシが付く。ホオズキカメムシと言って、放置しておくと葉裏に卵を産んで孵った幼虫がぞろぞろと茎にくっついて汁を吸っていて、虫嫌いな人はぞっとするに違いない。私はカメムシの匂いは苦にならないので、両手を使ってどんどんとって、靴の裏で踏みつぶして駆除するので、殺虫剤はいらない。去年は沢山付いていたけれども、今年は、毎日見回って、数匹付いていたらすぐ駆除するので、今はほとんど見ない。害虫は見つけ次第、手で取って駆除するのが一番なのだ。

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パプリカは、去年沢山収穫できた「すずなりリンリン」というミニパプリカを1株と、赤くなる「ガブリエル」を2つ買って、ガブリエルを1つ庭に植えて、あと2つはプランターに植えた。ところが、プランターに植えたガブリエルの成績が悪いのだ。実が4つ付いたまでは良かったのだが、その後は花が咲いてもすぐ落ちてしまって実ができないし、付いた実も一向に大きくならない。茎も伸びないし、花付きも悪い。庭に植えた方のガブリエルとすずなりリンリンは普通に生育しているのに、何が違うのだろうか。個体差なのか、それとも、何か病気があるのか、よく分からない。そもそも、同じ名の園芸品種は、ほとんどクローンみたいなものなのに、何が違ってくるのだろうか。

まあともかく、今年はこじんまりと家庭菜園をやろうと思っていたのだ。ところがだ。時々自分で作った、見事なシャインマスカットや野菜を送ってくれる山梨大学の時のかつての学生さんから連絡があり、野菜の苗があるので、作ってみますか、と聞いてくれたのだ。タダで頂けるのなら作ってみようかという、生来のスケベ心が働いて、よろしくと言ったら、たくさんの苗が届いた。独りで面倒を見るには多すぎるなあと思ったけれど、運動不足の私を畑仕事に駆り出して、サルコペニアの予防をしろという、有り難い弟子心のなせる業かも知れないと思い、頑張って、全部の苗を植えたのだ。

大玉トマト3、中玉トマト5、ミニトマト(アイコ)2、ピーマン7、ナス3、カボチャ2、キュウリ2、スイカ2、オクラ9、アスパラ8、と大量なのだ。こんな多くの野菜の面倒は見られない。スイカはすぐにダメになり、キュウリも植えた場所が悪かったか、ほとんど枯れそう。トマトとピーマンとナスは結構上手くいき、実がいくつも付いている。ナスは何年か作ったことがあるのだけれども、上手くいかずに硬いナスができて、家人は石ナスと呼んでいたが、今年は美味しいナスが次々に実ってくる。

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寝坊助の私は朝飯を自分で作っている。早起きの女房は私が起きる頃には朝飯はとっくに済まし、洗濯などを始めているので、朝飯は自分で作るほかはないのだ。毎日作るのは味噌汁である。鍋に水と本枯節の無加塩だしと冷凍のキノコ(その時によってナメコだったり、ブナシメジだったり、エリンギだったり、マイタケだったり、数種類混ざっていたりする)を適当に入れて、煮えてきたら庭で採れたナスを入れて、最後にこれも庭で採れたミョウガを散らして、自家製の味噌を溶いでできあがりである。最近は、卵を料理するのが面倒になって、茶碗に卵を割って入れ、黄身の部分を箸で数か所つついて、水を少し入れ、40秒くらい電子レンジにかけると半熟の卵ができるので、これを味噌汁の中に入れている。箸でつつかないと、電子レンジの中で爆発してとんでもないことになる。というわけで、庭のナスは自分で食べるのである。

ピーマンはソーセージと一緒にチーズをかけて炒めるのが、私的には一番気に入った食べ方だ。ミニトマトは丸ごとそのまま食べられるところが便利である。毎食、庭で採れた完全無農薬のミニトマトを食べるのは、贅沢の極みである。パプリカはようやく赤くなってきたが、これも中の種を取ればそのまま食べられる。ほんのりと甘い。種やワタにもピラジンという血液凝固を妨げる物質が入っているので、脳梗塞や心筋梗塞の予防になるらしいが、余り美味しくないので積極的に食べようとは思わない。

カボチャは初めて植えた。植える場所がなかったので、庭の隅の西洋シャクナゲの根元に植えておいたら、蔓が西洋シャクナゲに絡まって上の方に伸びていき、花がいくつも咲いている。カボチャは雌雄異花で、雄花は沢山咲くが雌花は少ない。雌花は花の根元が膨らんでいるのですぐ分かる。しばらくすると、小さなカボチャがシャクナゲの樹の上の方に付いている。天空のカボチャだと言って家人と共に写真などを撮って喜んでいた。雪化粧という品種のカボチャだそうで、美味しくなるかしらね。カボチャは美味しい個体と不味い個体がはっきりしていて、スーパーで買ってきても当たりの方が少ない。ほくほくの美味しいカボチャに当たる確率は私の経験では20%くらいしかない。

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オクラとアスパラは植える場所がなく、庭の隅に適当に植えておいたので、上手く育つかどうか分からない。オクラはまだ小さくて花も咲いていないので、8月になってから収穫できるようになるのかしら。アスパラはどちらにしても来年以降の収穫なので、忘れた頃にひょっこりと芽を出すかもしれないが期待薄だ。

期待して庭の一番いいところに植えたのは大玉トマトと中玉トマトと赤いガブリエルとトウガラシである。庭を耕して苦土石灰をまき堆肥を入れて新しい野菜用の土を被せ、マルチ(薄い黒いビニールの被覆材)を被せ、2週間放置してから植えたのである。期待にたがわず、暫くすると苗はどんどん生育して、トマトには黄色い花が付いて小さな実が成ってきた。大玉トマトは、1房に実を3つから5つ位にして、後は摘果してしまい、房は下から5段までで、その上は摘心してしまった。丹精込めて作った甲斐があって、青い立派なトマトが育ってきた。

一番下の房がうっすらと色付いてきて、そろそろ収穫できるかなと思った次の日の朝、トマトが下に落ちて何者かに食べられていたのである。一昨年、エダマメをサルに食べられたことがあった。中の豆がふっくりとしてきて、そろそろ穫り頃かと、エダマメを見たら、中の豆だけないのだ。隣の奥さんに、さっきサルが来て食べてましたよと教えられて、サルの仕業だと分かったのである。中身だけ食べるとは、猿知恵恐るべし、と感心したーーー(『池田清彦のやせ我慢日記』2024年7月26日号より一部抜粋)

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image by: Shutterstock.com

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