iPhoneなどのスマホ価格が高くなっているなか、日本はキャリアの割引に対しては厳しい姿勢を貫いています。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』ではケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、ソフトバンク系の「ワイモバイル」が開始した割引について紹介し、中国と日本のスマホ割引について解説しています。
もはや日本では「型落ち」と「中古」のスマホしか売れないのか
ソフトバンクがワイモバイルで「新トクするサポート(A)」の提供を開始した。対象機種を48回払いで購入し、25ヶ月目以降に特典の利用を申し込み、翌月末までにソフトバンクに端末を回収、査定完了した場合、最大24回分の端末代金の支払いが不要になるというものだ。
プレスリリースには例としてiPhone 14(128GB)の支払総額が記載されているが、端末代金が10万1808円、割引が2万1888円適用され、割引後の端末代金が7万9920円。
1回1円が24回続き、25回目以降は1回3329円という設定だ。つまり、昨年12月26日にガイドラインの改正があったが、「月1円」の支払いは維持されることになったのだ。
ただ、この月1円が実現するのは2年前に発売されたiPhone 14だからこそ、という点は大きい。端末代金の負担は抑えたいというブランドだから許されるともいえる。
これが同じワイモバイルでもiPhone 15となると、2年間の支払いは5万1888円に跳ね上がる。
また、Androidスマートフォンとなると、Pixel 8aでようやく2年間で7920円、OPPO Reno11Aで2年間で3360円といった具合だ。
この価格の並びを見てしまうと、やはり「iPhoneを買うのが賢い選択かも」と思ってしまうのではないか。
ワイモバイルの製品ページを見ると、iPhoneの下には「ソフトバンク認定中古iPhone」が並ぶようになっていた。しかも、Androidよりも先に表示されるというのに驚いてしまう。
キャリアとして、ユーザーの負担を下げようと思うと、中古iPhoneを訴求せざるを得ないという状況は常軌を逸している。
総務省によるガイドラインのせいで、ユーザーは新品を買おうと思ったら、まず2年前の機種から選ばなくてはならない。それでも高いと感じたら、キャリアは中古を勧めてくるのが前提となってしまった。
中国ではスマートフォン、タブレット、スマートウォッチなど3製品を購入する際、単品価格が6000元(13万円)以下の場合、価格の15%分を補助金として支給するという。消費者は各製品につき、1回、補助金を受けることが可能だ。1台あたり最高500元(1万800円)受け取れるという。
今年、スマートフォンはオンデバイスAIが進化し、さらに便利になることが予想される。誰もがオンデバイスAIのメリットを享受できるようにするには、国を挙げて買い換えを促進すべきではないか。
中国が国として、補助金を出す中、キャリアの割引に対して相変わらず厳しい姿勢を貫く総務省。このまま日本は中国にさらに大きく置いていかれることになりそうだ。
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