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ソーセージ、ベーコンなど加工肉の過剰摂取が「認知症のリスク」を上げる可能性。現役医師が紹介する米国の驚くべき研究結果

普段、私たちが何気なく食べているお肉ですが、健康の影響を示唆する研究が発表されていることをご存知でしょうか? メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者であり現役医師の徳田安春先生は、哺乳類の肉を意味する「赤肉」を使った加工肉の過剰摂取が肥満、心臓病、糖尿病、大腸がんなどのリスクを高める可能性があると指摘されていることを紹介。そして新たに「認知症のリスク」をも上げる可能性が、米国の最新研究で指摘されていることを取り上げています。

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加工赤肉の新たなリスク:認知機能低下

赤肉による負の健康影響

 牛肉や豚肉などの赤肉を食べることによる人間への健康影響が心配されている。最近、認知症のリスクをも上げる可能性を示唆する研究が発表された。認知症は日本人の死亡原因の一位となっており、今回はこれを取り上げる。

 赤肉は哺乳類の肉を意味する。生の状態で暗赤色をしているので赤肉と呼ばれる。赤肉の過剰摂取は肥満、心臓病、糖尿病や大腸がんのリスクを高める可能性が指摘されている。

 これまでの研究では、赤肉の摂取と認知機能低下との関係については一貫した結果が得られていなかった。そんな中、2025年1月15日に神経学専門のニューロロジー誌に発表された米国の研究論文は、加工赤肉の摂取と複数の認知機能低下との関連を示す結果を示した。

 代表的な加工赤肉は、ハンバーグやソーセージ、スパム、ハム、ベーコン、タコスなどだ。健康影響が心配されているビーフハンバーガーは、欧米ではジャンクフードと呼ばれている。

 この研究は全米の医療者が参加したもので、認知症のない参加者を対象としたものだ。この観察研究での食事は、食生活での食品頻度質問票を用いて評価していた。客観的な認知機能は、参加者に対して電話での認知状態インタビューを使用して評価されていた。主観的な認知機能低下についても自己報告による調査が行われた。

驚くべき研究結果

 認知症解析対象には、約13万人(女性約65%、平均年齢約49才)の参加者が含まれた。客観的な認知機能解析には、約1万7千人の女性参加者(平均年齢約74才)が含まれた。主観的認知機能低下の解析には約4万3千人の参加者(女性77%、平均年齢約78才)が含まれた。

 赤肉の1サービングサイズは、調理前の重量で約80g~150gが一般的である。今回の研究での驚くべき結果はこうだ。1日あたり加工赤肉の摂取量が0.25サービング以上の参加者は、0.10サービング未満の参加者と比較して、認知症リスクが13%高かった。

 同様に、主観的認知機能低下のリスクも14%高くなっていた。加工赤肉の摂取量が多いほど、全体的な認知機能の加速度的老化および言語記憶低下にも関連があった。

 加工肉が健康に良くない主な理由として、亜硝酸などの有害添加物の影響が挙げられている。加工肉を食べると体内でニトロソアミンなどの有害物質もつくられる。塩分や飽和脂肪酸の含量も多い。

 今回の研究では、未加工の赤肉については明らかな差は認めていなかった。しかし、未加工の赤肉の摂取量が1日1サービング以上の参加者は、0.5サービング未満の参加者と比べて、主観的認知機能低下のリスクが16%高くなった。

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豆類やナッツ類のススメ

 近年、哺乳類の肉を豆類やナッツ類に置き換える食事が一部で取り入れられている。今回の研究は、加工赤身肉をナッツや豆類で1日1サービング置き換えた結果も発表していた。それによると、認知症のリスクが19%低下し、認知老化が1.37年減少、主観的認知機能低下のリスクも21%低下していた。

 今回の研究は米国人対象だ。これがそのまま日本人に当てはまるかはわからない。このような栄養疫学研究を日本人でも行うとよいだろう。

 しかし、少なくとも今回の研究で、赤身肉、特に加工赤身肉の摂取量が多いと、認知症や認知機能の低下リスクが高まることが示唆された。論文著者らも、今後はこれらの結果が食文化の異なる集団に対して一般化できるかを評価する必要があると述べている。

 では、現時点での食生活をどうすればよいか、加工赤肉を毎日食べるのは避けた方がよいだろう。さまざまな病気の予防を希望する若年者だけでなく、高齢者で現在の認知機能を維持したい人も、赤身肉の摂取を減らすことを勧める。

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image by:Shutterstock.com

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