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生成AIが登場し、データが重視される世の中で「感情重視のケア」はどう共存していけるのか?

障がいを持っている人や疾患で支援を必要とする人たちの学びの場である「みんなの大学校」の学長で、生きづらさを抱える人たちの支援に取り組むジャーナリストの引地達也さん。引地さんは自身のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』の中で、自身が名づけた「ケアメディア」というものの概念について紹介しています。

今だから考える「ケアメディア」とラボの設立

2025年春、新学期開始とともに始めたことが「Care-Media Labo」(ケアメディアラボ)の設立である。

障がい者への学びを提供する「一般社団法人みんなの大学校」内の機関だから、厳密には組織内の事業部として運用する。

ここ数年、障がい者の生涯学習としての学びの提供や、高等教育としての学びの開発のほか、福祉サービスの運営や障害者雇用に関する最適化、そのほか組織内のコミュニケーションの質の向上やコミュニティの形成など、対応する業務は多岐に渡ってきた。

同時にそれぞれの課題に向き合い、解決ができる仲間も増え、研究機関として、必要な行動とその広がりに向けて機能していこうとの計画である。

ここには名前から分かるように「ケア」と「メディア」から出発しており、多くのプロフェッショナルに支えられまがら、その考えを形にしていきたいと考えている。

ラボが対応するのは、ケアの領域である。

最近では「社会貢献のため」として理念先行で福祉サービス事業を開始したものの、収益が上がらず経営的な問題を抱えてしまうケースは少なくない。

また、支援をめぐるスタッフどうしの対立やいざこざなど、スタッフをめぐる問題でストレスを抱えているという相談も多い。

ラボでは、「誰かのために」という類のケアを実践しようとする純粋な思いを大事にしながら、経営的な課題を一緒に考えていきたい。

経営の問題に対応するために、ラボの共同代表は、私と経営や財務の専門家である金田好正さん(株式会社おもつな代表取締役社長)が就いた。

さらに主任研究員の大内雅登さんは対話のプロとして、「困難事例」に対応している心強い実践研究者であり、みんなの大学校でも「語り合う心理学」を講義している。

そのほか、福祉の実践者や、マーケティングの専門家、教育や心理学、社会学の研究者、そして組織の経営者など、ラボのネットワークは広い。

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「ケアメディア」との名称は、私が「ケア」と「メディア」が融合する概念を1つのものとして示してから、数年が経過した。

私の著書「ケアメディア論」で示したその概念はSNSの発展と生成AIの進化、世の中への浸透の中で、ますます重要な考え方であると主張していきたい。

情報がテクノロジーとして、ほかの情報と結びつき、結びついたものが「データ」として示された事実を真実とする社会に、私達は喜怒哀楽を伴う清らかな感情とともに生き続けることはできるのだろうか。

人に行動を促すのはデータかもしれないが、人の感情を司るのは、ケアであることは間違いない。

いわば、ケアはデータの対極にあるものともいえる。

データは、その活用により社会を生きやすくする役割を担う、同時に幸せな社会を作るためには、ケアが必要で、そのケアをどう形にしていくかも、議論しなければならないだろう。

2020年に「ケアメディア論」を出版し、大学の講義でも「ケアメディア論」を講じ、ケアの周辺の話に加え、それがどのようなメディア行為で発信し、発信されてきたかの整理に、学生の関心は高い。

日本社会において、ケアを形にする社会行為の形は、まだ確定し、社会が共有するまでには至っていない。

さらに、哲学的思考のもとで社会づくりを挑戦した形跡もない。

生成AIが登場し、データが重視されている現在、私たちのケアはどこ向かうべきなのだうか。

この命題は、私にとって、ラボで研究するひとつのテーマであり、またケアを重視しようとする組織やコミュニティ、個人とつながりながら、一緒に考え、実践する場にもしたいと考えている。

もし同じ思いの仲間がいれば、どんどん仲間を増やしていきたい。

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image by: Shutterstock.com

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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【著者】 引地達也 【月額】 ¥110/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 水曜日 発行予定

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