中国で市民を襲撃する事件が多発している事態を受けて、日本の外務省が渡航に対して注意喚起をしました。このことに腹を立てた中国は、逆に「日本は危険だ」と対抗する注意喚起を出したようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、深センで起きた日本人10歳男児刺殺事件など、中国で起きている凶悪な事件を振り返りながら、日本を危険視する前に自国民を取り締まるべきだと強い口調で隣国の対応を非難しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【中国】中国政府が在日・訪日中国人に「日本は危険」と勧告す
中国政府が在日・訪日中国人に「日本は危険」と勧告す る皮肉
● 「中国は開放、包容、安全な国だ」 外務省報道官、日本政府の修学旅行注意喚起に反発
日本の外務省は4月22日までに、中国各地で市民襲撃事件が起きていることを受け、中国への修学旅行について、ホームページで「外務省海外安全ホームページを参照して、渡航是非を判断」するように呼びかけ、注意喚起しました。
● 中国を渡航先とする修学旅行等を検討される学校関係者の皆様へ
これに対して、中国外務省の郭嘉昆副報道局長は同日の記者会見で「中国の安全リスクを悪意を持って誇張しており、政治的な操作という意図は明らかだ」と反発、「強い不満と断固とした反対」を表明し、日本側に抗議したことを明らかにしました。
そのうえで、「中国は開放、包容、安全な国だ」と主張しましたが、言論統制に加えて、人質外交や、スパイ疑惑で外国人を逮捕・拘束する国のどこが安全なのでしょうか。
● 中国の非人道的な「人質外交」 垂駐中国大使が拘束邦人と面会
産経新聞の元台北支局長だった矢板明夫氏は、自身のフェイスブックで、日本外務省がこのような措置を取ったのは、昨年6月に江蘇省蘇州、9月に広東省深センで、連続して2件の日本人が中国暴徒に襲撃される事件が発生したからだと説明しました。
● 日本發旅遊安全提醒中國跳腳 矢板明夫:日本社會不滿中方顛倒黑白
そのうち蘇州の事件では中国人の女性1名が死亡し、深センでは10歳の日本男児が死亡しています。
この2件の事件の犯人は、いずれも死刑になっています。蘇州の事件については4月16日に、深センの事件については4月21日に、中国外務省から在中国日本大使館に死刑が執行されたことが伝えられました。
● 深圳男児刺殺、男の死刑執行 蘇州の事件に続き、日本狙ったか未解明
矢板氏は、日本社会が最も理解できない点は、中国側が事件の詳細を日本側に伝えず、急いで司法手続きに入り、2人の容疑者を死刑執行した点だと指摘しています。この2人が犯行に及んだ動機について、中国側はこれまで一切説明していない一方で、「襲撃事件は単なる個別の事例であり、日本側は冷静に対応すべきだ」と繰り返し強調してきました。
矢板氏は、この2つの事件により、中国で学ぶ多くの日本人の子供が学校に行くのを恐れるようになり、中国で働く多くの日本人が家族を急いで帰国させたことを指摘、このような状況下で、日本外務省が国内の学校に対し「安全注意喚起」を発出したことは当然だとしています。
矢板氏は、日本人は中国のような事実を曲解し、理不尽な主張を繰り返す態度に非常に不満を抱いていると強調しました。
これらの事件の裁判について、中国側は日本メディアの傍聴を認めませんでした。「朝日新聞」によると、日中外交筋の話として、いずれの事件でも公判で被害者が日本人学校の関係者であることには触れられなかったとのこと。
逆に言えば、犯人が「日本人だから狙った」という疑いが拭いきれません。だから日本メディアに裁判を取材させず、また、襲われたのが日本人学校の関係者であることについて、触れなかったのでしょう。中国国内での反日教育がこのような凶悪事件を生んだわけです。
矢板氏の主張に関連して、ネット上では、ある人が「中国のある地域で反日サマーキャンプが開催された」という動画を発見し、「中国が反日教育を続ける限り、日本人は中国に行くべきではない」と強調していたそうです。
もともと日本の外務省は、中国で反日機運が高まっているとして、注意喚起してきました。2023年8月にはALPS処理水の海洋放出開始に伴い、中国で嫌がらせの行為などを受ける可能性があるとして、2024年9月には、先の蘇州と深センの事件を受けて、注意喚起をホームページに掲載していました。
この日本外務省の注意喚起への対抗策なのでしょうか。在日中国大使館は4月18日に日本在住および日本に渡航予定の中国人に対して、日本で無差別殺人事件や、中国人を狙った詐欺や窃盗があり、またノロウイルスが流行しているとして、安全と衛生対策の強化を求める注意喚起を行いました。
● 在日中国大使館、中国人観光客らに注意喚起 “治安悪化し、ノロウイルスが流行”
とはいえ、実際には日本に来て犯罪を犯す中国人は増加傾向にあります。2024年1年間で検挙された外国人は、中国人がベトナム人に次いで多く、2011人です。
かつてもっとも外国人検挙数が多かった2005年では、外国人犯罪の主役は圧倒的に中国人でした。それに比べれば犯罪自体は減少していますが、それでもここ数年では、再び増加傾向にあるといいます。
● 来日外国人の犯罪 増加傾向 組織的事件も 警察庁 取締り強化
この記事の著者・黄文雄さんのメルマガ
「現代ビジネス」でも、ジャーナリストの中島恵氏が、『在日中国人による「迷惑行為トラブル」がじわじわ増えている…日本に中国の常識が持ち込まれる悲惨な未来』という記事で、中国人による凶悪犯罪は減っていても、最近では、これまでは起きなかったような事件が次々と起きているとし、靖国神社への落書き事件などを取り上げています。
● 在日中国人による「迷惑行為トラブル」がじわじわ増えている…日本に中国の常識が持ち込まれる悲惨な未来
この靖国神社への落書き事件も、いわば中国の反日教育が引き起こしたものだと言えます。結局、迷惑を受けているのは日本人のほうであり、むしろ中国政府は、中国人が海外で犯罪を侵さないように指導すべきでしょう。
また、日本在住の中国人を狙った詐欺が起こっているのも確かですが、こうした特殊詐欺の多くが、ミャンマーなどを拠点とした、中国系犯罪組織によるものだと目されています。こうした中国系犯罪組織は、中国人やその他の外国人を誘拐し、さまざまな詐欺を働いていることが明らかになっています。
中国国内でも、この手の詐欺が非常に多いと言われています。
https://www.pref.kyoto.jp/fukei/bohan/kyogikai/documents/sagini-chuui.pdf (※PDFが開きます)
結局、在日中国人から金品を騙し取っているのも、中国系犯罪組織である可能性が高く、日本を「危険」呼ばわりする前に、その元凶ともなっている中国人犯罪者を自分たちで取り締まるべきなのです。
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2025年4月23日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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