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どうしたレクサス。中国で「まさかのキャラ展開」に業界からも驚きの声

トヨタの「レクサス」といえば、自動車業界の中でもラグジュアリーなイメージを持つ車ですが、中国で「まさかのキャラクター展開」を打ち出しました。 日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』では、その戦略について詳しく分析しています。

レクサスが中国でまさかのキャラ展開、その背景と想定シナリオ

レクサス中国は2025年4月、「小雷匠」というクマを擬人化させたようなマスコットキャラクターを打ち出した。

「小」はかわいい、「雷」はレクサスの中国表記の頭文字、「匠」は日本語と同義。

トヨタ・レクサスの「匠」は、中国でも相応に根付いている感覚。

4月18日にSNS上でまずイラスト形式で初登場し、同29日には実際に着ぐるみとして上海モーターショーの会場に姿を現すという、段階的な可視化が行われた。

中国限定だと思われるが、ラグジュアリーブランドとして、普通ではありえない展開の背景や想定シナリオは?

LUXブランドとして異例

世界的に見ても、ラグジュアリーブランドが、かわいらしいマスコットキャラを設定するのは珍しい。

BMWがわずかに、非公式のような形でBMWベアが一部で流行っている程度。

背景には、2025年がレクサス中国市場進出20周年であること、そしてこれを記念して毎月20日を「LEXUS FRIENDS DAY」と定めたというマーケティング施策がある。

この「友人の日」には、オフラインの販売店イベントやオンラインのSNSキャンペーンが連動し、小雷匠がガイド役としてたびたび登場することが予告されている。

中国Z世代対策

中国では、Z世代(~29歳)を中心にブランドへの接点が「共感性」や「可視化」に大きく依存している。

既存のラグジュアリー文脈──静謐、威厳、ミニマリズム──だけでは届かない領域に、小雷匠は明らかに向けられている。

実際、昨今の中国消費者に対する新車購入意向に関する調査結果を見ても、レクサスは中国Z世代に全く響いていないことが分かっている。

ジャーマン3(ベンツ・BMW・アウディ)と同様に、「高価格帯」「年齢層高め」「堅い」というイメージが定着、中国若年層に全く響いていない。

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「諸刃の剣」では?

では、こうした背景を踏まえた上で、小雷匠というキャラクター戦略はどのような評価を受けうるのか?

ここには「諸刃の剣」というリスクとチャンスが共存しているように見える。

第一に、ブランド構造へのインパクトである。

レクサスはこれまで、匠の技、日本的美意識、安全性と先進技術を軸に据えた高級ブランドとしての地位を確立してきた。

そこに、クマのキャラクターが踊る──このギャップは、既存の顧客やグローバル市場のブランド観にどう映るのか。

もしこの施策が中国限定とはいえ、グローバルブランドのトーンを揺るがすと判断されれば、ブランド毀損に繋がる可能性も否定できない。

想定される今後のシナリオ

第二に、効果の不確実性である。

Z世代に向けて親しみやすさを演出し、SNS上での話題化を狙ったとしても、実際に販売やブランド好感度に結びつくかは未知数だ。

たとえば、1)まったく話題にならず埋もれて終わる、2)ある程度は注目されるが、目標には届かない、3)意外なほどバズり、大成功となる、4)キャラ推しが「チープ化」と受け取られ、逆に高級感が失われる、という複数のシナリオが想定され、そのどれもが現実味を帯びている。

独資上海工場も控えて

とはいえ、2027年にも予定されるレクサスの上海独資工場稼働という大型プロジェクトを目前に控える中、ブランドの若返りと共感形成は喫緊の課題だ。

もはや“なりふり構っていられない”という判断が、キャラクター戦略という異例の選択肢を正当化したとも言える。

おそらくは日本本社の承認はあったかもしれないが、中国現地判断の施策だと思われる。

トヨタの中国化の一環かもしれないが、果たして結果はどうか。

出典: https://mp.weixin.qq.com/s/_IpQEttAdPVnVgjq022Wew

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image by: Robert Way / Shutterstock.com

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