暗く長いトンネルから抜け出せない状況にある日本。経済回復のためには企業が元気を取り戻すことが何より重要ですが、その兆候は見え始めてきているようです。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、中高年を企業の戦力にする傾向が高まっていると受け取れる、とある調査結果を紹介。さらに河合さんが知る「元気な中小企業」の共通点を取り上げるとともに、「超中年社会」を迎えた日本社会に自身が望むことを記しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:いよいよ「超中年社会ニッポン」に突入!
プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。
中高年を戦力に!いよいよ突入、「超中年社会ニッポン」
東京商工リサーチが約5,000社(大企業291社・中小企業4748社)に行った調査で、45歳以上の中高年社員が半分以上を占める企業は全体の64%に上り、8割以上を占める企業も22%あるなど、社員の高齢化の実態が明らかになりました。
また、早期退職や希望退職を「実施しておらず、検討もしていない」企業は99%に達し、中高年を戦力にする傾向が急速に高まっていると受け取れる結果が認められたそうです。
一方で、パナソニックホールディングス(HD)は黒字なのに1万人の人員削減を発表していますし、日産自動車は経営再建のため2万人の人員削減を予定しています。
リストラが市場にコスト削減への期待感を与え、一時的に株価が上昇したり業績が回復したりすることはあります。しかし、長期的には企業が期待するような効果は得られず、再びリストラを行うケースが圧倒的に多いのです。
また、たとえ企業業績が上向いてもリストラ実施の成果であるとする因果関係は必ずしも正しいとは言えないとの分析結果もあります。
なのでもし、件の調査結果が現実の社会を捉えた数字であるなら、日本の企業が元気を取り戻すことを期待できそうです。
私が知る限り、元気な中小企業ではこれまでも年齢に関係なく、すべての社員を大切に雇用し続けてきました。役職定年もなければ、「希望退職」という名の肩叩きもない。
理由はシンプル。生き残るには「全員野球」しかなかったからです。
社員を切ったら生きて行けないし、地域からも非難されます。「株主より世間が恐い」と話す社長もたくさんいました。そもそも上場してないので地域に嫌われては、命とりになってしまうのです。
なので社長さんは頑張るしかない。走り回って、仕事取りまくって、雇用を守るために奔走する。それを可能にするのが「敬意・信頼・共感」の経営の三原則であり、社長さんの確固たる「経営哲学」です。
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社員たちにも確実に伝わる企業のトップの思い
そんなトップの思いは社員にも伝わりますから、「会社のため」「社長のため」と社員たちが団結する。「気がついたら74歳だった」「上司が年下だから自分も若い気になってたけどもう68歳です」と笑って話す社員もいました。
そういった会社は例外なく、会社の隅々まで「社員の能力を発揮できる機会」が存在します。年齢とか性別とか国籍とか関係なく、すべての社員が生き生きと働くための制度やら仕組みが徹底されているのです。
以前、ある企業の社長さんが面白いことを言っていました。「10%しか仕事してないような、デキが悪い社員の方が伸びしろがある!」と。
今や中高年の40代以上が8割の「超中年社会」です。会社で肩身の狭い思いをしているベテラン社員が、大手を振って歩ける社会になりますように!
みなさんのご意見、お聞かせください。
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