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中島聡が「AIは“人の代わり”ではない」と断言する理由。企業が本当に置き換えるべきは“この市場”だ!

AIの進化は、単に「業務を効率化する技術」ではなく、ビジネスそのものの構造を変える力を持ち始めています。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では著名エンジニアの中島聡さんが、今回はシンギュラリティ・ソサエティの記事をもとに、AIが真に置き換えるべき市場と、プログラマー起業家が狙うべき新たなチャンスについて考えます。

AIが置き換えるべき市場

シンギュラリティ・ソサエティとして書かれた記事「AIが「人件費の構造」を変える時代、プログラマー起業家が狙うべき市場」ですが、とても重要なことが書いてあるので、是非ともお読みください。

最も重要な点は、ビジネス全体の経費を見た場合に、「人件費の比率が高い業種ほど、AIの導入によるコスト削減効果が大きい」という点です。

記事でも指摘されている、コンサルタント、受注スタイルのソフトウェア会社などが良い例です。これらのビジネスは、これまでのやり方だと、ビジネスの規模を大きくするためには大勢の人を雇う必要がありますが、それによって固定費(売上があろうがなかろうが出ていくお金)が高くなるため、そこには大きなリスクが伴いました。

AIの力を使って、従業員の数を増やさずにより多くの仕事をこなせるようになれば、固定費を増やさずにビジネスの規模を大きくする(=売上を増やす)ことが可能になります。

重要な点は、単に「従業員の生産性を上げる」だけの話ではない点です。従業員の生産性を従来の10倍にできれば、従来ならば200人必要だった仕事を20人でこなすことが出来ます。これはこれで素晴らしいことですが、従来ならば2000人必要だった仕事をこなすには200人必要であり、ビジネスの規模が増えるに従って、固定費が増えていくことには変わりがありません。

もっと好ましいのは、ビジネスの規模がいくら大きくなっても、従業員の数(固定費)を増やさなくても良いビジネスです。

「AIをたくさん使えば、API料金や電気代が増えるから同じだ」と考える人がいるかもしれませんが、これは違います。確かに、API料金や電気代は、ビジネスの規模が大きくなるにつれて増えますが、売上に応じて自動的に増えたり減ったりする変動費なので、(簡単に下げることができない)固定費となってしまう人件費とは大きく違うのです。

特に日本の場合、「正社員を簡単には解雇できない」という雇用規制があるため、固定費を低く抑えながらビジネスの規模を大きくすることがとても重要です。これまでは、必要に応じて子会社や孫会社に仕事を回す、というゼネコンスタイルや、(解雇しやすい)派遣社員などの非正規社員を増やす、などでしのいできましたが、これからは、AIが「固定費を増やさずに売上を増やす」面でとても重要な役割を果たすと考えられます。

とは言え、普通の企業にとってAIを使いこなすことは簡単ではありません。そこで必要とされるのは、企業が必要とする仕事を人の代わりに実行してくれるAIをサービスとして提供する会社です。

その際に、顧客である企業にとって重要な点は、「人より安い」ことではなく、人を雇うことにより生じていた「固定費」をAIを使うことにより「変動費」に変えることができる、という点であることは強く意識しておくと良いと思います。

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image by: Shutterstock.com

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【著者】 中島聡 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 毎週 火曜日(年末年始を除く) 発行予定

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