生成AIの回答は浅い、使えないと思っている人は少なくありません。しかし、そう思ってしまう最大の要因は、AIそのものの性能ではなく使い方、特にプロンプトの設計にあると人気コンサルの永江一石さんは語ります。永江さんは自身のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の中で、仕事でAIを活用する場合のプロンプトの書き方を伝授しています。
AIを有能な助手に変えるプロンプトの書き方とは
Question
永江さんがGeminiで思考モードではなくProモードを利用されているとのこと、参考になりました。お差し支えない範囲でよろしければお教えください。
・どの程度の粒度でプロンプトを書いておられるか、実例を拝見することは可能でしょうか?
・テーマによって1つのチャットでのラリーがかなり多くなる(チャット内の情報が長大になる)場合もあると思います。最大でどの程度まで継続されますでしょうか。何か目安とされている指標があればお教えください。
永江さんの回答
結論から言いますと、わたしのAIの使い方の基本は以下の3点です。
1. 抽象的な指示を出さない
2. ダラダラ長くラリーを続けない
3. 毎回ゼロから新規チャットを作らない
なぜこういう使い方に行き着いたのか、具体例を交えながら順番に説明しますね。
AIを使っていて「なんか薄っぺらい回答しか返ってこないな」と文句を言っている人は、そもそも出し方が間違っています。わたしが実際に書いたプロンプトの一例を挙げると、
「SNSではトランプやイランに関して無知だったりデマを信じたりする人が多いから、その詳細な一覧を作って。例えば、ベネズエラのフェンタニル密輸に関するアメリカの主張と実際の違いとか。あるいは中東問題で、アメリカやイスラエルはイランの迫害を止めるためと言っているけれど、実際にはガザで(過去の歴史問題のように)各機関で死者数の主張が何倍も食い違っていて、事実関係を知らない人が多いよね。こういう事実誤認や主張の食い違いの例を、他にもたくさん挙げて」
などです。こんな風に国連のデータや政府の主張のズレなど「このくらいの解像度で議論したいんだ」という基準を先にAIにインプットしてしまう。そうすると、AIも「あ、この人はこういう深い分析を求めているんだな」と意図を汲み取って、カリブ海の撃沈事件の裏側など、細かいデータを引っ張ってきてくれるわけです。
この記事の著者・永江一石さんのメルマガ
次に「テーマによってはチャットのラリーがすごく長くなるのでは?」という質問ですが、わたしの場合ほとんどありません。長くなるのは政策の根幹を調べたり、社会保険料を切り詰める方法を根本から議論したりするような、ごく一部の特殊なケースだけです。
ラリーが長引いてしまう一番の原因は「最初のプロンプトの指示が甘い」から。もう一つは、毎回ゼロから前提条件を説明しているからです。
わたしのGeminiやChatGPTには、過去のチャット履歴が数百個も溜まっています。なので新しく調べ物をする時、いきなり新規作成するのではなく、前に似たような質問をしたスレッドはないかと探すんです。
例えばイラン攻撃に対する国民の賛否を調べたい時。過去に中東情勢について調べたスレッドを開いて、そこに追加で質問を投げてみる。そうすると、AIは過去のチャットの文脈を前提として読み込んでくれるので、イチから「今はこういう状況で~」と説明しなくてもスッと本題の深いデータを出してくれます。だから大体2回くらいのやり取りで終わるんです。
最後に絶対やってはいけないことを言いますと、AIへの丸投げです。この前、AIを使って企画書を書いているが全然使えないと文句を言っている人がいましたが、話を聞いてみたら企画書の構成から内容まで全て丸投げしていました。AIに丸投げなんてしたら、どこにでもある、つまらない常識的な企画しか返してきません。
AIを本当に活用したいなら。データ収集と市場調査がおすすめです。例えば上司から「今度メリノウールの下着を出すから販促企画を考えて」と言われたとします。ここで「メリノウールの売り方を教えて」と聞くのではなく、「日本におけるメリノウールの使用頻度と、消費者の意識調査のデータを全部出して」と指示します。
AIはデータ探しが得意なので、AIが出してきたリンクやデータを自分で精査し、市場規模のあたりをつけた上で、「ざっと見たところターゲットはこの層だと思うんだけど、この仮説に基づいてさらに詳しく精査して」と壁打ちしていくんです。
ビジネスで上司やクライアントを説得する時、一番強いのが客観的なデータです。そのデータを集める一番大変な作業をAIにやってもらう。これが本当に仕事ができる人のAIの活用法だと思います。
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