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内部告発はなぜ“孤立”するのか?大塚將司と日経の闘いに見る「メディアの構造」

日本経済新聞社において社内体制に異議を唱え、経営のあり方に一石を投じた人物として知られる大塚將司氏。その行動は賛否を呼びながらも、メディア組織の内側から声を上げることの難しさや意義を、多くの人に考えさせるものでした。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では辛口評論家として知られる佐高信さんが、追悼の意を込めて、大塚將司の軌跡と周囲の言説を手がかりに、その意味を丁寧にたどっています。

社長解任を要求した大塚將司死す

『読売』のドンの渡邉恒雄に抵抗して立ち上がったのが清武英利であり、『日経』のプチ・ドンの鶴田卓彦を告発したのが大塚だった。

共に私は連帯して闘ったが、2004年に私は公開の手紙という形で大塚を励ました。

『サンデー毎日』(毎日新聞)の連載でである。

それを要約して追悼の言葉としたい。

鶴田のワンマン体制を内部告発した大塚は一時追放されたが、その時、『創』(創出版)という雑誌で大塚と対談した私は、鶴田よりも彼に黙従している“社畜記者”たちに怒りを新たにした。

その1人の藤井良広が「御一読を」というメモつきで『縛られた金融政策』(日本経済新聞出版)を送ってきたので、それを槍玉に挙げた。

オビには「信認の確保か、自らの組織防衛か─日銀は何を守ろうとしたのか?」とある。

しかし、これはそのまま「日経は何を守ろうとしたのか」と置き換えなければならないだろう。

副題は「検証 日本銀行」だが、言うまでもなく「検証」されなければならないのは、まず彼が属している『日経』だからである。

大塚には「記者と企業の攻防戦」を描いた『スクープ─記者と企業の攻防戦』(文春新書)を書く資格はあっても、藤井にその資格はない。

「縛られ」ているのは日銀よりも藤井自身なのである。

私がもし藤井の立場だったら、恥ずかしくて、こうした本は書けない。

まして「御一読を」願ったりはできないが、“辛口評論家”の私もずいぶんとナメられたものである。

その自覚がないなら、大塚やそれに続いて「相談役の廃止」を提案した土屋直也のように立ち上がらなかったのだろうが、『縛られた金融政策』は戯画化して読むと、なかなかに笑える。

まず参考文献を眺めると、自らの本『日銀はこう変わる』(日本経済新聞出版)が挙げられている。

私は彼から『日経はこう変わる』が送られてきたのだと思ってしまった。

しかし、それは、日経に内部告発者が出たと聞いた時、『政治ジャーナリズムの罪と罰』(新潮社)の著者、田勢康弘だと思ったのと同じ錯覚だった。

田勢など、その著書とはまったく違う卑屈な行動に終始しているのだから、早く絶版にするべきだろう。

藤井が『日銀・秘められた反乱』(時事通信社)や『日本銀行の敗北』(日本経済評論社)を参考文献として挙げているのにも失笑させられる。

彼はいつか、自らの『秘められた反乱』や『日経新聞の敗北』を書くつもりなのか。

『縛られた金融政策』の第1章は「九人のサムライたち」で、黒澤明の名画「七人の侍」になぞらえて、日銀版「七人の侍」が取り上げられているが、藤井自身は何なのか?

田勢と同じく立ち上がることのできない腰抜けなのだから、侍ではないだろう。あるいは“腰抜け侍”という種類のサムライもいるのか。

大塚の『日経新聞の黒い霧』(講談社)は拙著『企業と経済を読み解く小説50』(岩波新書)の1冊として取り上げた。

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image by: Casimiro PT / Shutterstock.com

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