国家権力による情報収集と監視体制の強化が進む現代社会。「安全保障」と「プライバシー保護」のバランスをいかに保つべきかが、これまで以上に問われる局面となっているのが現状です。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』では著者で衆院議員の有田芳生さんが、国家情報会議の設置やスパイ防止法をめぐる議論を取り上げ、情報機関による監視の実態を具体例とともに検証。その上で、AI時代における情報管理の危うさとその影響について考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:国家情報会議とスパイ防止法
国家情報会議とスパイ防止法
国会の内閣委員会で国家情報局、国家情報会議の設置について質疑が続いている。その目的はインテリジェンス機能の一元化と機能強化を図るもので、いずれ提出されるスパイ防止法と一体になるものだ。
国家情報会議の議長は総理だ。そして内閣情報調査室(内調)を国家情報調査室に格上げする。そのもとに警察庁、防衛省、外務省、公安調査庁などの情報機関が収集する情報を一元化して、分析するという。
高市早苗総理などはプライバシーの侵害はないと断言するが、それは情報機関の活動への完全な無知だ。「行動確認」「秘匿捜査」は「任意捜査」の名目のもとで、プライバシー侵害は常に行われている。
情報機関のなかでもとくに警視庁公安部の能力は高い。狙いを定めた対象への尾行、盗聴は、気づかれることなく行われる。
政治家に対しても同様だ。散歩の監視も行っており、歩幅の変化で健康状態を判断する。遊説でホテルに滞在すると、チェックアウトした部屋に入り、ゴミ箱にある薬の包装シートを入手、どんな病気を抱えているかを調べる。
ある政治家の場合はうつ病の薬を飲んでいたとの情報を入手している。事件性があるわけではないので、捜索令状を取るわけでもない。同じような方法で対象者の事務所に入ることもある。
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3月5日。アメリカのデータ解析大手である「パランティア・テクノロジーズ」のピーター・ティール会長たちが首相官邸を訪れ、約25分間だが高市早苗総理と面談している。
この会社は2月28日にイスラエルとの共同作戦で、イランの最高指導者であるハメネイ氏、シャムハニ最高指導者顧問、革命防衛軍のパクプール司令官、ナシルザデ国防軍需相、ムサビ軍参謀総長を一日のうちに殺害した。
情報は「ヒューミント」(人間を介した情報収集)と「シギント」(信号情報収集)を通じて獲得される。イランでの「斬首作戦」(敵のリーダーを排除する作戦)を成功させたのは、パランティアの戦争OS「ゴッサム」だという。このOSは政府、防衛、治安機関向けに利用されるデータ統合と分析AIだ。見えないネットワークを可視化して治安を維持する。すでにウクライナが導入しているのだ。
ティール会長はアメリカのバンス副大統領の友人だ。次期大統領にバンス副大統領を押し上げる目的があるので「影の大統領」などとも評価されている。日本政府がこの会社のテクノロジーを導入するなら、安全保障上の防衛次元がいっきょに高まるだけでなく、国内で利用されるのなら、個人のプライバシーなど、完全に把握、蓄積されていくだろう。
AI時代の情報管理は、1980年代のスパイ防止法などを異次元で凌駕しているのである。
(本記事は有料メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』2026年4月17日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、初月無料の定期購読にご登録の上お楽しみください。このほか、1ヶ月単位でバックナンバーもご購入いただけます)
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