AI機能の魅力を伝えようとした公式投稿が、ユーザー側に意図とは異なる印象を与え炎上してしまったXperia 1 VIII。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは今回のメルマガで、なぜXperia 1 VIIIが“製品の性能”ではなく、“情報発信の仕方”によって炎上する事態になったのか、そしてそこから見えてくる現代のマーケティングの難しさについて語っています。
Xperia 1 VIIIはなぜ大炎上したのか?
今週、ソニーが「Xperia 1 VIII」を発表。公式のXアカウントが新機能「AIアシスタント」の作例をアップしたら、見事に炎上した。作例画像はどれも全体的に露出が明るめになっており、「AIアシスタントで撮影すると、すべて白っぽくなってしまうのか」とグローバルで大きな反響を巻き起こしたのだ。
実際、AIアシスタントは被写体にカメラを向けると、AIは4つの異なる色合いなどを提示してくれ、ユーザーが好みのものを選んで撮影できるというものだ。
公式Xアカウントは「4つから選べる」という利点をすっ飛ばし、結果のみを見せたものだから、多くの人が勘違いし、大炎上につながった。
公式Xアカウントは、そもそもXperia 1 VIIIの製品としての魅力、どんな写真が撮影できるとユーザーにとって嬉しいことなのか、理解できていないのではないか。
炎上した翌朝、ソニーはメディアやインフルエンサー向けに体験イベントを開催した。
質疑応答の時間もあったので、ソニーに炎上の言い訳をしてもらおうと質問したら、炎上そのものを認識していなかった。
対応してくれたイメージングコミュニケーション事業部門、大澤斉事業部門長は前日まで海外出張で、本番まで台本を覚えるのが精一杯で「SNSを見ていなかった」とのことだ。
そもそも、事業部門長が本番直前までSNSを気に掛ける必要はない。
当然、SNS担当がおり、すでに炎上も把握しているのだから、イベントの台本に手を加えるとか、質疑応答の想定問答集に加えるといった準備はできたのではないか。
体験イベントに参加するのはメディアとインフルエンサーであり、炎上騒動に敏感な人たちだ。
炎上していれば、それを報道する記事も書く。
ソニーマーケティングはあらかじめ新製品をインフルエンサーに貸し出し、NDA解禁とともに製品レビューの動画がアップされるように準備している。
お金をかけて、ネットで拡散するように仕掛けているにもかかわらず、炎上案件にあまりに無防備だ。
夜になって、公式のXアカウントが、AIアシスタントが提案した4つの写真を並べて自分で選べるという火消しのポストを行っていた。
インフルエンサーマーケティングを重視しているソニーの割には、なんだかもったいない出だしであった。
この記事の著者・石川温さんのメルマガ
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