戦争や紛争が絶えることなく、安全保障を巡る情勢も刻々と変化する国際社会。そもそも人類はなぜ国家間の「殺し合い」を繰り返すのでしょうか。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』』では、『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野晃一郎さんが、かつてアインシュタインとフロイトが交わした往復書簡を紹介しつつ、我が国の安全保障政策や政治家たちの言動を検証。さらに「平和主義」を掲げる日本が果たすべき役割について考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです:ひとはなぜ戦争をするのか
ひとはなぜ戦争をするのか
先週末、シンガポールで開催された「アジア安全保障会議」において、小泉防衛大臣は、各国の防衛閣僚や高官たちと親交を深めている様子をさかんにXの自身のアカウントで発信していました。
一方で、「新型軍国主義」などと対日批判を強める中国に対しては、終始強気の姿勢を崩さず、少なくとも高市首相よりは流暢な英語で堂々と渡り合う姿を、頼もしくさえ感じた人たちもいるかもしれません。
もちろん、各国の安全保障の責任者たちと親交を深めること自体は悪いことではありませんし、それで戦争や紛争がなくなるのであれば大いに結構なことですが、もちろん世の中はそんなに甘くはありません。
小泉氏は、3月に発生した中国大使館への自衛官侵入事件についても、中国への謝罪はしていません。一方、米国に対しては完全服従の姿勢で、4月に再び起きた沖縄での米兵による女性への性的暴行事件に関しても「防衛省としてコメントすることは差し控えねばならない」などと言っています。
そうかと思えば、NATOのメンバーでもないのに、NSATU(NATO対ウクライナ安全保障支援・訓練組織)に自衛官4名を派遣することを決め、「ウクライナの最新の戦い方を学ぶ目的」などと驚くような発言もしています。そもそも、完全服従先の米国は、トランプ政権になってから、反ウクライナ、反EU、反NATO、親露、親中のスタンスに変わっているのですが、現状認識は大丈夫なのでしょうか。
共産党の機関紙赤旗のスクープでは、防衛省が、沖縄や鹿児島などの南西諸島での激しい戦闘を想定して、全国の主要な自衛隊病院で病床を大幅に増やす計画を進めているとのことです。
また、陸上自衛隊が、戦死を想定した遺体の取り扱いのため、葬祭業界の全国団体だけでなく、東北など地方の団体とまで協定を締結していたことが分かったそうです。協定の内容は、遺体の安置だけでなく、修復や保全なども含まれるそうです。
これらのことが事実だとすると、日本政府は、国民に知らせることもなく、一体何を想定し、何の準備を進めているのでしょうか。
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ところで、今週は以下の自分のポストを紹介します。地味なポストでバズるような内容ではありませんが、世界で途絶えることのない戦争や、日本政府の改憲に前向きな動き、軍拡にまっしぐらの姿勢を憂えて、1932年にアインシュタインとフロイトが交わした往復書簡を読み返してみました。
世の乱れを目の当たりにし、1932年のアインシュタインとフロイトの有名な往復書簡『ひとはなぜ戦争をするのか』を読み返してみた。フロイトは、この問題の本質をすでに深く洞察していた。しかし、それでも第二次大戦は避けられず、人は戦争を繰り返す。
— 辻野 晃一郎 (@ktsujino) June 2, 2026
辻野 晃一郎
@ktsujino
世の乱れを目の当たりにし、1932年のアインシュタインとフロイトの有名な往復書簡『ひとはなぜ戦争をするのか』を読み返してみた。フロイトは、この問題の本質をすでに深く洞察していた。しかし、それでも第二次大戦は避けられず、人は戦争を繰り返す。
● https://x.com/ktsujino/status/2061602118113636435
当時の国際連盟が、アインシュタインに、「誰でも好きな人を選び、今の文明で最も重要と思える問題について意見交換しませんか」と呼び掛け、それにアインシュタインが応じてフロイトを選び、この意見交換が実現しました。
アインシュタインが選んだテーマは、「人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?」というものでしたが、このテーマは、それから100年近く経った今でもなお人類に突き付けられているテーマです。
しかし、二人の書簡を読むとわかりますが、物理学者であるアインシュタインにしても、心理学者であるフロイトにしても、それぞれの立場から、すでにこの問題に対する明確な答えを持っています。しかし、その答えが決して実現しない理由についてもよく理解していることがわかります。
詳細は二人の往復書簡を読んでいただくとして、本来、戦後の憲法で戦争放棄を謳い平和主義を貫いてきた日本のような国こそが、その「実現しない答え」を実現させるための最前線にいなければならないという思いを強くします。
高市氏や小泉氏などが典型ですが、歴史も知らず、人類に対する深い洞察もないような政治家たちが、自己アピールのためだけに他国に強がってみせたり、あるいは軽々に他国に迎合したりしている姿を見ていると、本当に国が滅びてしまうのではないかと心配になります。まさか自分が生きている間に、このような心配をしなければならない日が来るとは、思ってもいませんでした。
※ 本記事は『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中 』2026年6月5日号の一部抜粋です。このほか、「【3周年記念特別企画】ソニー元社長安藤国威氏と語る」と題した「今週のメインコラム」や「読者の質問に答えます!」、「スタッフ“イギー”しかのつぶやき」など、レギュラーコーナーも充実。この機会にぜひご登録をご検討ください。
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