消費税をめぐっては、税率や軽減税率のあり方だけでなく、報道機関がどのような立場から論じているのかも問われてきました。とりわけ、かつて消費税に批判的だった朝日新聞が、2012年以降、消費税を必要とする立場を示すようになったことについて、その経緯や考え方を改めて確認しようと、メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の著者で元国税調査官・作家の大村大次郎さんが、朝日新聞に対して質問状を送付しました。その質問と回答を紹介しながら、消費税をめぐる朝日新聞の立場と、報道機関自身が説明責任をどのように果たすのかについて考えます。
朝日新聞への質問状
このメルマガでも何度か触れましたように、朝日新聞はかつては消費税反対派の急先鋒ですが、国税庁の税務調査で巨額の不正が明らかになって以降、突然、消費税推進派に転向しました。
昨今でも、わざわざ社説で消費税の食料品減税を批判しています。
筆者は、どうしても朝日新聞を直接問いただしたいと考え、出版元のビジネス社を通じて朝日新聞に質問状を送付しました。
朝日新聞側も一応の回答はしてきました。
そのやり取りをここに掲載します。
■筆者から朝日新聞への質問状1 2026年9月8日
●質問1
かつて御紙は、消費税導入時には消費税を徹底的に批判し、導入後も批判的な姿勢を貫いてきましたが、2012年3月に突如として「やはり消費税は必要だ」という社説を発表し、それ以来、徹底した消費税推進派に変わりました。
この社説の前日、御紙(朝日新聞本社)の巨額の申告漏れ(不正)が各メディアで報じられています。
巨額の不正と、消費税推進派への転向は、その関連性が当然疑われるところです。その点について、関連があるのかどうか聞かせてください。
●質問2
かつて御紙は消費税の逆進性などを強く批判していました。
しかし、現在の消費税は逆進性はほとんど改善されておりません。
消費税の食料品減税は逆進性を緩和する作用があるのに、なぜ食料品減税に猛反対するのでしょうか?
●質問3
現在、御紙は、社会保障の財源として消費税は不可欠という主張を持っています。
しかし、消費税は導入されたり、増税されたりするとき、ほとんど同時に法人税、高額所得者の所得税が減税されています。
消費税は「新たに社会保障に使われている」というより、法人税、所得税が担ってきた社会保障費を肩代わりするようになったというのが正しい見方だと思われます。
しかし御紙は、消費税導入後に法人税、所得税が大幅に下げられていることはほとんど報じず、消費税の必要性ばかりを強調します。
これは偏向報道ではないでしょうか?
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■朝日新聞の回答 一回目 2026年9月9日
朝日新聞社広報部でございます。本日(9日)、弊社お客様窓口宛てにメールにてご質問をいただきました。
大村大次郎氏の新刊のご準備をされておられることから、今回のご質問をなさったとのご説明をいただきました。
大村様と貴社のお考えで新刊をお出しになるものと思いますので、なぜ、弊社にご質問いただきましたのか分かりませんでした。
いま少し、ご質問の意図や弊社回答のご利用予定などをお教えいただけませんでしようか。
■筆者から朝日新聞への質問状 2回目 2026年9月10日
御社からのお尋ねに関して以下のように回答いたします。
●質問の意図
現在、大手新聞各紙のほとんどが消費税減税に反対しており、いずれも自社の立場を踏まえた説明が不足していると思います。
特に御社は導入前(1987年、売上税のころ)から消費税に対して大反対をしていました。
それが2012年3月31日の社説以降、「必要」に転じています。
もっとも国民に対して説明が不足していると思われたので、御紙に質問させていただきました。
御社が消費税に大反対していた当時よりも消費税の欠陥(逆進性)はさらに悪化しているにもかかわらず、なぜ御紙が消費税をこれほどまでに擁護するのか?
なぜ2012年に突然、消費税擁護派に転向したのか?
御社は、日本を代表する大手メディアとして、国民に説明する義務があると思われます。
■朝日新聞の回答 2回目 2026年9月11日
ご質問の件につきまして回答いたします。
「これまでの紙面で報じてきた通りです。」
回答は以上です。
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■筆者から朝日新聞への質問状 3回目 2026年9月12日
せっかく回答いただきましたが、これではまったく答えになっておりません。
御紙は、大手メディアとして、世間の様々な事件、出来事について、いろんな人たちに根掘り葉掘り取材をしてきたはずです。
にもかかわらず自分たちが取材される側になったとき、事実上、質問項目にまったく答えないというのは、あまりに不誠実でありメディアとしての最低限度の義務を果たしていないと思われます。
御紙は、人様をさんざん取材してきたのだから、自分たちの不審な行為、発言について、取材されたときは出来る限り誠実に答える義務があります。
また新聞は、消費税において食料品以外で軽減税率の対象になるという「特権」も持っています。
欧米各国の中には、文化分野に軽減税率を設けている国もありますが、そのほとんどが書籍も含めた出版事業全般を対象としています。
新聞だけ、それも「宅配」に限って軽減税率を敷いている国は日本だけです。その点も大いに疑念があるところです。
大手新聞が消費税賛成に回った事への論功行賞だと見られても仕方のないところです。
国民の間では、「新聞は軽減税率を放棄すべき」という声も高まっています。
御紙は消費税においては、単なるメディアではなく、間違いなく利害関係者なのです。
しかも御紙は税務調査で巨額の不正が明らかになった翌日に、消費税反対派から消費税擁護派に転向するという、国民には到底納得できない行為をされています。
もし御紙に、報道機関としての矜持がひとかけらでも残っているのであれば、今回の質問に誠実に答えるべきではないでしょうか?
今一度、質問への誠実な回答をお願いします。
~朝日新聞のやり取りここまで~
現在のところ、朝日新聞からの回答は来ておりません。
回答が来ればまたお知らせしようと思っております。
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