「今後、円ドル・円ユーロがコロナ禍より前の水準に戻ることはあるのでしょうか?」という質問が人気コンサルの永江一石さんのもとに届きました。永江さんはその質問に対し、自身のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の中で、円安が続く背景や今後の為替相場の見通し、円安時代における収入の考え方について解説します。
ドル円・ユーロ円はコロナ前の水準に戻るか
Question
私の妻はヨーロッパ出身でして、昨年子どもが生まれたこともあり帰省のタイミングをうかがっているのですが、私のキャリアチェンジ(度々ご質問させていただいております)に伴う収入減もあって、現地滞在費などの捻出に難儀しております。ちゃんと共働きしながら、将来的に稼げるようになる努力をするつもりです。
しかし、さすがに円がここまで弱いと、育児しながら欧州へ帰省するのは楽ではないというのが、正直な気持ちです。
永江さんは預言者ではありませんし、色々なことが関係している結果だと思うので、一概にこうだからどうだと回答しづらいかもしれません。しかし永江さんのほうが、私よりもずっと様々な分野のモノの見方をご存知だと思いますので、ぜひご意見をおうかがいしたいです。
永江さんからの回答
長くメルマガをご愛読いただきありがとうございます。結論から言いますと、今後ドル円やユーロ円がコロナ前の水準に戻ることはないと思います。もちろん一時的に円高に振れる局面はあるかもしれませんが、長期的なトレンドとして円高に向かうことはありません。少なくとも、財源もないのに安易に国債を発行してしのごうとするような政治家が力を持っている間は円高には向かわないですね。
円相場は日本の経済力だけでなく、日米・日欧の金利差、インフレ率、貿易・サービス収支、金融政策、海外への資金フローなどで決まります。しかし、残念ながら現状でその要素は見当たりません。だって今の日本は赤字国債が膨らみきっているから。
昔のように金利がゼロだった時代であれば、借り換えで増やしていくこともできたでしょう。しかし、今はもう国債に対してしっかりと金利を払わなければいけない時代に突入しています。すでに過去のやり方は完全にオワコンなんです。
それなのに、いまだに「赤字国債を発行して消費税減税を」なんて主張するのは現実が見えていないと言わざるを得ません。一部でMMTなどを引き合いに出す人もいますが、金利やインフレ率が上昇局面にある中で、これまでのように無尽蔵に借金を重ねていいはずがありません。
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これから先、日本は国債に対する金利の支払いがどんどん増えていきます。財務省の試算では、利払費は2026年度の13兆円から2029年度には21.6兆円まで増える見込みです。税収が80兆円程度しかないのに、そのうちの多くを金利で持っていかれたら社会保障なんてあっという間に回らなくなります。
結局、その金利を払うためにさらに赤字国債を増発するしかないという悪循環に陥るわけです。毎年多額の国債を発行し続ければ、当然その価値は下がり、誰も買ってくれなくなります。買い手がつかないから金利を上げざるを得ず、結果として円が売られていく。これが円安が止まらない構造的な理由です。
では、こうした状況下でどうやってご家族を守り、キャリアを築いていくべきか。奥様がヨーロッパご出身で、帰省費用の捻出にもお悩みとのことですが、今のまま「円で稼ぐ」ことに固執していると、正直かなり厳しい道のりになると思います。
わたしからのアドバイスとしては、視点を変えて「ドルやユーロなどの外貨で給料をもらう仕事」にシフトすることです。例えば、日本にいながら外資系企業に転職したり、ヨーロッパの企業の仕事をリモートで受けたりするのが合理的ではないでしょうか。奥様のバックグラウンドも大きな強みとして活かせるはず。円安が続く環境下では、外貨で稼ぎながら日本で生活することが最大の防御であり攻めにもなります。
もちろん、今後絶対に円高にならないとは言いきれません。アメリカで劇的な政治的混乱が起きてドルが暴落するといった外的要因があれば別です。あるいは日本国内で、財政規律派が完全に実権を握り、補助金を一切合切カットして、社会保障も国民に3~4割の自己負担を強いるような「身の丈に合った健全で痛みを伴う財政再建」を断行すれば、円の価値が持ち直すシナリオはあり得ます。
しかし、現実的に考えてそれがすぐに起きるとは考えにくいですよね。なので、ずっと続く円安トレンドを前提として見据え、ご自身の稼ぐ基盤を外貨ベースに切り替えていくのがご家族にとっても一番の解決策になるはずだと思います。
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