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「宇宙は夢物語ではない」日本のIoTを牽引するアドソル日進・上田社長の成長戦略

積極的な企業訪問で投資対象を見極める証券アナリスト「炎のファンドマネージャー」氏が、注目の上場企業を深掘りインタビューする「炎のIR」。第1回目の今回は、アドソル日進株式会社(証券コード:3837)の上田富三代表取締役社長にお話を伺った。8期連続増収増益を見込むアドソル日進は、2016年9月に東証1部に指定されたIoT総合エンジニアリング企業。1976年創業と長い歴史を持ち、安定成長のイメージが強い同社だが、近年はIoT分野をはじめ多くの「新たな挑戦」に取り組んでいる。宇宙分野への進出もその1つだ。

聞き手:炎のファンドマネージャー
現役証券アナリスト、ファンドマネージャーにして、無料メルマガ『億の近道』のメイン執筆者の1人。大学入学資金を株式の利益で確保し、ゼミでは証券論を選択。卒業後、証券会社では一貫して調査畑を歩みアナリストとして活動してきた。その後、独立系投資運用会社でファンドマネージャー経験を積む。企業訪問や企業プレゼンを積極的に行い、生の情報から企業分析を行っている。

8期連続増収増益!「技術のアドソル日進」トップインタビュー

7年で株価10倍。社会インフラでの強みを背景に「新たな挑戦」へ

炎のファンドマネージャー(以下:炎):まずは近々の業績や御社の事業内容についてお聞かせください。

上田富三社長(以下:上田):最初に当社のなりたちを説明すると、1976年3月に日進ソフトウエアとして創業したIoT総合エンジニアリング企業です。同業他社や取引先の企業様からは、「技術のアドソル日進」というご評価を頂いています。2003年11月に現在のアドソル日進に商号変更して、2007年2月にJASDAQ(当時・ジャスダック)に上場し、2016年9月に東証1部に上場しました。事業内容としては、社会インフラ関連の「社会システム事業」と、いわゆるIoTのソリューションを提案する「IoTシステム事業」の2つの事業領域に、さらに近年では、「IoT セキュリティ・ソリューション」の提供に注力しております。おかげ様で業績も順調で、今期は、8期連続増収増益を見込んでおります。株価の方も私が社長に就任してからおよそ10倍となっており、順調にいっております。ここ3、4年はエネルギーの自由化対応ということで創業以来の基幹業務であるエネルギー(電力・ガス)関係のビジネスが好調で、その他にも航空システムのビジネスなど、電力・ガス・鉄道・道路・航空・防災と、社会インフラを支えるプロジェクトに参加するなかで、着実な成長ができています。新たな挑戦に向けた体制も整ってまいりました。

アドソル日進・上田富三代表取締役社長/1951年、和歌山県生まれ。竹菱電機(現:たけびし)に入社後、紀陽コンピュータシステムを起業。日本インフォメーション・エンジニアリング(現:ジェー・アイ・イー・シー)を経て、2004年にアドソル日進入社。同社常務取締役を経て2010年4月より現職

アドソル日進・上田富三代表取締役社長/1951年、和歌山県生まれ。竹菱電機(現:たけびし)に入社後、紀陽コンピュータシステムを起業。日本インフォメーション・エンジニアリング(現:ジェー・アイ・イー・シー)を経て、2004年にアドソル日進入社。同社常務取締役を経て2010年4月より現職

:東証1部になって大きな変化はありましたか?

上田:一番の変化は人材採用ですね。特に経験者採用に関しては非常に優秀な方々にたくさん来ていただけるようになりました。これからも新卒採用を行いながら、良い人がいたら、どんどん採用していきたいと思っています。また、社会インフラ関連のビジネスにしろ、IoT関連のビジネスにしろ、大手企業様から新たな引き合いをたくさん頂けるようになりました。

大手自動車メーカーのTier1。IoT先進企業としてのアドソル日進

:まさに「新たな挑戦」に向けた体制が整ってきているのですね。昨今のアドソル日進といえば、「IoT」の先進企業という印象をもっていますが、その辺はいかがでしょう?

上田:象徴的な部分では、先進的なIoT セキュリティの「R&D」(Research & Development/研究開発)を目的とした子会社を米サンノゼのシリコンバレーに創立したことですね。さらにグローバル開発体制として、中国の北京と大連、そしてベトナムにも3つの開発拠点を持つようになりました。日本国内では産学連携の取り組みとして、早稲田大学、慶應義塾大学、立命館大学、名古屋工業大学、静岡大学などと各分野で研究をすすめており、先々の技術のタネをしっかりと蒔いているところです。

:基幹業務と位置付ける社会インフラ関連のシステム事業と、近年注力されているIoT関連の事業の割合はどのようなものでしょうか?

上田:社会インフラのシステム関連が8割で、残りの2割はまさに「IoT」ですね。IoTに関しては、大手自動車メーカー様のTier1パートナーとしてやらせて頂けているのは大きな強みだと思っています。自動運転だったり、先進EV車だったり、AIだったり、最先端プロジェクトのお手伝いをさせて頂いているので、我々も開発チームの一員だという自負があります。

:今は2割の「IoT」事業も今後はどんどんスケールアップしていきそうですね。

上田:市場は確実に大きくなっていますね。病院などの医療現場や工場などの製造現場など、これからIoT化を進めていこうとしている業種・業界はたくさんあります。当社には、OSから通信、ハードウェア、さらにはセキュリティまでワンストップで対応できる強みがあるので、そこで勝負していきたいと思っています。

:御社はシステム構築のイメージが強いですが、IoT分野では「電界通信」など、ハードウェアもやられていますね。

上田:おっしゃる通りです。当社はIoTに関連したソリューションの特許を持っていますが、「電界通信」を使ったタッチタグはその1つですね。どういうシーンで使われるかといえば、食品工場や病院、会社のエントランスなどの入退室認証です。例えばICカードを使った認証の場合、カードをいちいち取り出す必要があったため、食品工場や病院では衛生面の課題があります。また、昨今話題の指や手のひら、目などを使った生体認証も、手袋やゴーグルをつけていることが多いので、利便性の面で課題がありました。しかし、この電界通信を使ったタッチタグを持っていれば、カードを取り出す必要がなく入退室認証ができます。つまり安全性が高まり、衛生面と利便性の2つの課題をクリアできるわけです。

IoT関連の特許技術の1つ「電界通信」を使ったタッチタグ。現状はサンプル用のサイズだが、量産化後にはさらなる小型化も可能だという。従来のICカード認証とは異なる手軽さを強みに普及を目指している

IoT関連の特許技術の1つ「電界通信」を使ったタッチタグ。現状はサンプル用のサイズだが、量産化後にはさらなる小型化も可能だという。従来のICカード認証とは異なる手軽さを強みに普及を目指している

「電界通信」のタッチタグを使った入退ゲートのデモ展示。ゲート手前に敷かれた専用マットが踏まれると同時に認証が行われ、入退ゲートのトビラが開くしくみ

「電界通信」のタッチタグを使った入退ゲートのデモ展示。ゲート手前に敷かれた専用マットが踏まれると同時に認証が行われ、入退ゲートのトビラが開くしくみ

:それはいろいろな引き合いがありそうですね。すでにどこかに導入されているのでしょうか?

上田:入退ゲートの大手メーカー様と組んだ製品が、大手老舗醤油メーカー様や菓子メーカー様の工場の入り口に設置されていたり、大規模病院様や大手印刷会社様の本社でも使われています。当社は、そういうソリューションや製品を複数持っております。先々はそうしたソリューションビジネス、社会インフラシステムの構築、そしてIoT人材、サイバー人材の育成を含めたコンサルティングという3本柱で安定した成長を目指していきたいと思っています。

「やっと社会が重要性に気づいてくれた」IoTセキュリティ分野で先行

:IoTに関してもう少し深掘りさせて頂くと、IoTセキュリティという面では、2015年に米・Lynx Software Technologies社(Lynx社)とセキュリティ・ソリューション「LynxSECURE」の日本総代理店契約を締結されましたね。この辺は中長期の成長戦略を見すえたグローバルな取り組みということでしょうか?

上田:まさにそうですね。もともとLynx社様とは、リアルタイムOSの日本総代理店として、30年近く前からのお付き合いがありました。リアルタイムOSというのは、産業機器や医療機器などに使われるOSで、ご家庭のパソコンでいうなら「Windows」みたいなイメージです。産業用なのでとても特殊なのですが、当社の技術者たちはその特殊なOSを、カスタマイズできる技術と経験値があるわけです。そして今回の提携で「Lynx SECURE」というセキュリティの機能に特化したソリューションも扱いはじめたことで、IoT分野においてさらなる差別化ができたといえます。

:具体的にはどういうソリューションなのでしょうか?

上田:まずは一般的なパソコンのセキュリティソフトを思い浮かべてください。これらは、OSの上で稼働していますが、Windows OSがサイバー攻撃にあったら、なす術がありませんでした。しかし「Lynx SECURE」は、コンピューターを動かしているLSIのチップとOSの間に入れるセキュリティシステムなので、OSに依存しません。コンピューターを、2つに分離するイメージで、例えば、一つは、外部との通信用、もう一つは工場内部の監視用として稼働させたとき、外向けのOSがサイバー攻撃に遭ったとしても、工場を管理するための内部OSが生きていれば、問題なく操業を続けられます。「Lynx SECURE」の上に2つのOSを載せているイメージで、守るべき部分を最初からサイバー攻撃の影響がない場所に隔離して、攻撃から遮断するわけです。実際、複数の大手企業様や、公共ネットワークに、当社がカスタムした「Lynx SECURE」が導入されています。

:さまざまな可能性を感じさせますね。

上田:実はこのソリューションを扱いはじめた3年前は、まったくといっていいほど関心を持たれませんでした。さまざまなサイバー攻撃の被害が報告されてきたり、世の中がIoTに関心を寄せるようになってようやく必要性を感じて頂けるようになったところです(笑)。当時よくいわれたのは「うちは、外のネットワークとつなげていないからサイバー攻撃は大丈夫だ」というお言葉。確かに安全性が保たれているように思えますが、例えば大学病院とかで、先生が気軽に挿したUSBメモリーが実はウイルスやマルウェアに感染していたら、病院の閉ざされたネットワークでも被害が拡散してしまいます。こうしたリスクを世間の皆様はあまり気づいていなかったわけです。

:確かに。「Lynx SECURE」なら最初から攻撃されている場所を隔離しているから攻撃を遮断できるというわけですね。IoT化が進めばよりニーズは高まりそうですね。

上田:まさにそうですね。IoT化が進めば、セキュリティ対策は不可欠です。一般的なセキュリティシステムは、既にあるものに後から対応させていく形になりますが、当社の場合は、設計の段階から攻撃を遮断するようにシステムを組み立てるので、IoT化に向けてシステムを刷新するようなシーンでは、選んで頂く大きなアドバンテージとなってきます。また、今まさに各業界のトップ企業様と行ってきたIoT関連の実証実験も成果が出始めているので、ここ3年くらい一生懸命投資して、仕込んできたものがようやく形になりそうな手ごたえを感じています。

ここ数年はグローバル戦略を見すえて海外拠点を拡大。アメリカ・中国・ベトナムの3か国6都市に子会社、関連会社、業務提携先を擁している

ここ数年はグローバル戦略を見すえて海外拠点を拡大。アメリカ・中国・ベトナムの3か国6都市に子会社、関連会社、業務提携先を擁している

IoT・インフラ事業の集大成となる新たな事業ドメインは「宇宙」

:素晴らしいですね。基幹事業で安定した収益を上げ、新たなフィールドであるIoTでも結果が出始めていると。

上田:実は、Lynx社との提携した目的の中には、IoT分野からさらにもう一歩進んだ新たなフィールドへ踏み出そうという思いもあります。それが宇宙産業への進出です。

:IoTの先には宇宙を見すえているワケですね。

上田:はい。「宇宙産業」に関しては、次世代に向けた事業ドメインとして考えております。実際、既にそれに向けた動きは始まっていて、大手電機メーカー様と組んで日本の航空システムなどで実績を積んできています。「宇宙産業」の参画というのは、当社がこれまで様々な社会インフラのシステム構築に関わるなかで培った技術の集大成であるといえるのです。具体的には、人工衛星や、スペースデブリに関連したシステムがそれに当たります。

次世代の事業ドメインとして上田社長が考えるのが「宇宙」分野。社会インフラとIoTで培った技術と知見の集大成であるため、決して夢物語ではないのだという

次世代の事業ドメインとして上田社長が考えるのが「宇宙」分野。社会インフラとIoTで培った技術と知見の集大成であるため、決して夢物語ではないのだという

社員持株会が筆頭株主。社業の発展と株主利益がシンクロ

:決して夢物語ではないわけですね。では最後に投資家の皆様に向けたメッセージを頂ければと思います。

上田:当社は、社員持株会が筆頭株主という少しユニークな会社といえますが、「社員自らの日々の活躍で、会社が良くなり、株主様への利益還元として、最終的に自分たちに戻ってくる」という考えの下に、社員たちが高いモチベーションで仕事に取り組める好循環が生まれています。株価はこの7年で、10倍にもなりました。今後も引き続き、社業の発展と株主利益をシンクロさせ、株主価値向上に邁進してまいりたいと考えています。今期の配当性向は38%を見込み、実質無借金経営の当社の成長に是非ご期待ください。

Source:アドソル日進株式会社

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