fbpx

なぜクレカ投資の人気が上昇?経済アナリストとカード比較サイト編集長が語る“最適な1枚”

日経平均株価が29年ぶりの高値圏にある今、投資に興味を持つ人が増えているといいます。とはいえ、難しい用語が飛び交う投資の世界にいきなり飛び込んでも、初心者は何から始めてよいのかわからないもの。そんな中、普段の買い物などで貯まったポイントを使って手軽に投資できることから、「クレジットカード投資」が注目を集めています。クレジットカード決済で投資信託の積立ができて、その分のポイントも貯まる。そして、そのポイントを使って投資もできるというサービスです。

クレカ投資がなぜ人気なのか、最適なクレジットカードはどれか、初心者がさらに資産を増やすにはどうすればいいのか、などなど疑問は尽きません。そこで今回は、クレジットカード比較サイト「クレジットカードを知る」の編集長・石川真太郎さんと、経済アナリストの馬渕磨理子さんに対談形式で話をうかがいました。

プロフィール:石川真太郎(いしかわ しんたろう)
株式会社クヌギ取締役、編集者、ライター。クレジットカード情報総合サイト「クレジットカードを知る」編集長。ユーザー目線でクレジットカードや電子マネーなど金融分野の記事を中心に執筆も行っている。
クレジットカードを知る:https://www.woshiru.com/creditcard/

プロフィール:馬渕磨理子(まぶち まりこ)
経済アナリスト。同志社大学法学部卒、京都大学公共政策大学院、公共政策修士。医療法人で資産運用・管理を行い、そこで学んだ財務分析・経営分析を生かし、金融情報配信会社であるフィスコでアナリストとして、個別銘柄・市況の分析を行う。全国各地で個人投資家向けセミナーで講師として多数登壇。現在は日本クラウドキャピタルでマーケティングに従事。大学時代はミス同志社を受賞。

「クレカ投資」が注目される理由

——コロナ禍で大きく下がった日経平均がV字回復どころか29年ぶり高値を更新したことで、株式投資への注目度も高まっています。手軽に始められる投資として「クレカ投資」が人気ですが、経済アナリストとクレジットカードメディアの編集長からは、それぞれこの流れをどう見ているのか、ご意見をお聞かせいただけますか?

馬渕磨理子さん(以下、馬渕):日経新聞でも取り上げられていましたし、かなり注目されていますよね。とにかく始めやすいことが人気の理由だと思っていて、楽天ユーザーの方が多い印象を持っています。

石川真太郎さん(以下、石川):私の友人や他のキャッシュレスに詳しい方に話を聞いても、圧倒的に楽天ユーザーが多い印象があります。

馬渕:やっぱりそうですか!

201222_taidan_1

馬渕:春先のコロナショックで株価が下がったときに、チャンスと捉えて投資を始めようと思った方は多いようで、ネット証券口座の開設数がかなり増えたという報道がありました。でも、証券口座を作ったところで、まず何に投資してよいかわからない。さらに、損はしたくない。そこで、「貯まったポイントで投資できるなら!」と始める人が多いようです。

石川:それ、すごくわかります。私が投資に興味を持ったのは2019年後半ぐらいからだったのですが、その少し前に「老後2,000万円問題」が話題になりましたよね。そのこともあって将来に対する危機感を覚え、投資を始めました。損をするのが怖くて最初は少額から始めていきましたね。

馬渕:利益が出るのかよくわからないものに、いきなり手元の現金を持ち出すのはハードルが高いですよね。その点、ポイントならもしゼロになっても痛みの度合いは低いですし、何に投資すればいいのかわからなくても、クレカ投資なら投資信託なのでプロが選んでくれる。こんなにハードルが下がったら、「やってもいいかな?」という気持ちになると思います。

その中でも「楽天」が選ばれるのは、何か理由があるんでしょうか?

石川:「クレカ投資」とは言いますが、先程から話題に上がっている通り「ポイント」で投資できることは大きいですよね。楽天なら、クレジットカードだけじゃなくて、「楽天ペイ」を使って貯まったポイントも使えることは意外に認知されていないメリットだと思います。スマホ決済で貯まったポイントを投資に回せるので、さらに手軽さを感じられるはずです。あとは、国内株式(現物)やバイナリーオプションの取引までできるなど選択肢が豊富なので、初心者から熟練の投資家まで幅広いユーザーが利用しているのだと思います。

馬渕:バイナリーまで!知りませんでした。

201222_taidan_2

石川:クレジットカード会社側としても、昨年のキャッシュレス・消費者還元制度やコロナ禍でキャッシュレス需要が一気に伸びたことで、ここで覇権を取るべく、いろいろなサービスを打ち出している状況です。そのサービスの1つとして、各社がクレジットカード投資を充実させてきているように感じます。

馬渕:なるほど、そういう事情もあったんですね。

石川:2017年に楽天がポイント投資を始めたことが転機になって、そこからドコモのdポイント投資や、SBIネオモバイル証券のTポイント投資が参戦したことで盛り上がってきました。そして、来年から他の大手カード会社でもクレカ投信積立やポイント投資を始めるとの噂があります。こうした情報を見ると、流れが来ているように感じます。

クレカ投資に「最適な1枚」は?

——いまクレカ投資が注目されている理由がよくわかりました。そこで、実際にクレカ投資をやるなら、クレジットカードはどれを選ぶのが正解なんでしょうか?ここまでの流れから考えると、やっぱり楽天が一番ですか?

石川:そうですね、宣伝ではまったくないのですが、個人的には楽天カードが良いと感じています。恩恵を受けるには、楽天の各種サービスを利用して「楽天経済圏」に入ることが前提ですが、他社と比べてポイント還元率が異常に高いですよね。例えば、楽天市場のサイトから「ふるさと納税」をすれば、自己負担額2,000円で返礼品がもらえて、納税分のポイントも貯まるので、それをさらに投資に回せます。普段の買い物のほか、楽天モバイルなども利用していればさらにポイントが貯まるので、強いですよね。

3-1

馬渕:私も楽天ですね、コスパを考えると。最適な1枚、あっさり決まっちゃいました(笑)。ほかに特徴があって人気のカードはありますか?

石川:楽天以外だと、高齢者の方に人気と言われているのが、「マツイセキュリティーズカード」です。毎月自動的に全ポイントを投資信託の積立に使う設定ができるので、とにかく手間をかけずに投信積立をしたい人には最適だと思います。

馬渕:ポイントも自動で積立に回してくれるのは便利そう。お得なもの、便利なものがやっぱり選ばれるんですね。

石川:そうですね。クレカ投資用に限らず、クレジットカードは「コスパ重視」で選ばれる傾向が年々強くなっています。プラチナカードなどへの憧れは潜在的にあると思うのですが、高い年会費を払うのはためらいますよね。

馬渕さんはいろいろな投資家の方とも交流があると思うのですが、大きな資金を動かす投資家たちはこんなカードを使っている、などの傾向はありますか?

馬渕:クレカ投資やクレジットカードについて調べているときに知人に聞いてみたら、ステータスとしてプラチナやプラックカードを持っている方は多かったです。でも、ブランドによっては使えないことが結構あるようで、皆さん普段使いに便利なのはVISAとJCBの普通のカードだと言っていました。

201222_taidan_5

石川:納得ですね。ゴールドカードはもう、持ちたい人は誰でも持てるようになって、皆さん興味がなくなってきている。年会費を取りたいカード会社は、プラチナとゴールドの中間あたりを探って新しいカードを出している状況です。

馬渕:カード会社側もクレカ投資を盛り上げようとしているんでしょうか。楽天のほかにも投資向きのカードが出てきそうですか?

石川:クレカ投資に力を入れていくというよりは、カード発行数を増やすためにサービスを拡充しているという流れみたいですね。その入口を増やすために、発行数を増やす戦略を取っているようです。

「クレカ投資」は人生を豊かにするか?

——先程、老後2,000万円問題の話も出ましたが、年金だけでは生活できないかもしれないという流れから、家計に投資を取り入れる必要性が認知されてきていると感じます。クレカ投資をきっかけに投資を始めた人は、次にどんなステップを踏めば資産を増やせるでしょうか?

馬渕:私は個別銘柄への投資に目を向けて欲しいと思っています。そのためには学ぶ必要がありますが、1つの企業を応援することで社会の見え方が変わってきますし、どんどん金融知識が身につくはずです。現状は大規模な金融緩和と財政出動によるカネ余り相場になっていて、国や中央銀行が金融の力で経済を何とかしようという流れになっている。実態経済を見ると「この株価の上がり方はおかしい」と思うのが自然かもしれませんが、株は上がっている状況です。大きな流れにのっかるのが良いと思いますね。

201222_taidan_6

石川:どんな企業に注目するのが良さそうですか?

馬渕:しっかりと利益・売上を積み上げている、身近な企業に注目するのが良いと思います。コロナ禍でもむしろ伸びている企業はあるので、業績重視で探したいですね。デジタル技術で業績をあげているDX(デジタルトランスフォーメーション)銘柄などにもおすすめの企業はあるのですが、よくわからないものには触れなくていいと思っています。ニトリやマクドナルドなど、馴染みのある企業を応援するところから始めるのが近道だと思います。

石川:私もクレジットカードの研究から金融知識がついたことと、NISA(少額投資非課税制度)の利用が増えているという報道を見て投資を始めました。少しでも利益が出るとさらに調べるようになって、世の中の見え方が変わったと感じています。

馬渕:投資ってそんなに難しくないのに、難しい言葉で解説されているのでハードルが高く見えますよね。

石川:知識があまりなかった頃は、「日経平均って、日本のすべての株の平均じゃないんだ!」と驚きました(笑)。

馬渕:私も最初は日経新聞を読んでも何が書いてあるのかわかりませんでした(笑)。勤めていた会社で突然、資産運用・管理を任されるようになったのですが、有無を言わさず経験させられたことが良かったと思っています。

201222_taidan_7

石川:とにかく始めてみることで、どんどん見えてきますよね。クレジットカード選びでも、自分に合っているかどうかは使ってみないとわからないところがあります。d払いや楽天ペイなどの還元目的でキャッシュレスを始めた人でも、スマホ決済で貯まったポイントから手軽に投資できる体験をすれば、さらに投資に興味を持つ人が増えると思いますね。

馬渕:ほんとにそうですよね。手軽さで「クレカ投資」が注目されている流れは、すごく良いことだと思います。そこからほかの投資にも興味を持ってもらって、日本の投資家人口が増えるといいですね。投資金額は月1万円分から始めたっていいと思います。投資で経済的な土台を作ることはすごく重要で、自分で稼げたら、好きな人生にできると思いますよ。

——本日はありがとうございました!

株式会社クヌギでは、人材を募集中!
現在、株式会社クヌギでは、SEOコンサルタント、編集者、WEBライターを募集中。主体性を持って、課題解決ができる方を求めています。詳しくはこちらのページをご覧ください。

文・写真:マネーボイス編集部
source:株式会社クヌギ

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー