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入浴剤を侮るな。温泉並みの効果が期待できるモノの選び方

近年、さまざまな入浴剤が販売されていますよね。でもその前にまず、天然温泉に比べて、入浴剤って本当に効き目があるのでしょうか。メルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』で、入浴剤の効き目について解説しています。

入浴剤って本当に効くの?

Question

Q:市販の入浴剤は、天然温泉に比べて効き目はどうなのでしょうか?そもそも、本当に効き目はあるのでしょうか?(愛知県・ヒロミチさん)

 

 

 

飯塚玲児さんの回答

A:天然温泉との比較は難しいですが、入浴剤は確かに効く天然温泉の効き目は、正しくは「効能」ではなく、「適応症」と表示される。温泉の効き目は科学的裏付けしっかりしていないのが実情なのである。

昨年7月に温泉の掲示内容が見直された時にも、県知事、保健所設置市、特別区長宛の環境省自然局長からの通達には、「温泉療養を行うにあたって理解して行うべきこと」として、以下のように書かれている(抜粋)。

1> 温泉療養の効用は、温泉の含有成分などの化学的因子、温熱その他の物理的因子、温泉地の地勢及び気候、利用者の生活リズムの変化その他諸般によって起こる総合作用による心理反応などを含む生体反応であること。

2> 温泉療養は、特定の病気を治癒させるよりも、療養を行う人の持つ症状、苦痛軽減し、健康回復増進を図ることで全体的改善効用を得ることを目的とすること。

要するに、「温泉の成分だけで効き目があるわけではない」ことを理解しておきなさいよ、ということだ。

温泉は自然由来のものだけに、成分は日一刻変化するものだし、これについては致し方ないともいえる。ただ、温泉好きとしては、やはり温泉は体にいいと思いたいし、長い歴史の中での経験値から、効き目があるとされていることも多いのも事実ではある。

これに対して入浴剤は、温泉に相当する成分を化学的に作り出したもので、その成分は常に一定である。 そして、お風呂の効果を高める作用として、含有成分によって、血行促進、保湿、保温、清浄、さらに色や香りによるリラックス作用などがある。

入浴剤は大きく二つに分けられている。 「医薬部外品」と「浴用化粧品」だ。ほかに「雑貨」という扱いの入浴剤もある。 このうち最初の二つに関しては、薬事法で規制されていて、きちんと医学的な「効能」を謳うことができる。つまり、効く、ということである。

ただし、浴用化粧品は、表示できる効能効果について「皮膚を清浄にする」「皮膚を健やかに保つ」「皮膚に潤いを与える」などに限定されている。というわけで、入浴剤を選ぶのであれば「医薬部外品」を選ぶといいだろう。

温泉エッセイストの山崎まゆみさんと座談会をした時、彼女は必ず毎日、日ごとに違った入浴剤を入れて、家のお風呂を楽しんでいると言っていた。僕としても入浴剤の家庭風呂への利用は、積極的におすすめしたいと思う。

昨今は様々な入浴剤が売られているが、もっとも効果が期待できそうだと感じるのは、炭酸ガス系の入浴剤である。 まあ「バブ」とかがそうだ。炭酸ガス(二酸化炭素)成分の血管拡張作用で血行が促進され、保温効果も高まり、肩こりなどにも効き目が高いようだ。

天然温泉でいうと二酸化炭素泉がこれに相当するものだが、全国的にもかなり数が少なく、貴重な泉質である。 というのも、療養泉の定義で二酸化炭素泉の泉質名がつくには、温泉1kgに遊離二酸化炭素が1000mg含まれていなければならず、これは家庭用のお風呂にバブを10個以上入れたくらいの濃度なのだ。

なんだ、バブは天然温泉にかなわないじゃんか、というわけじゃなくて、炭酸ガスは湧出後に飛散しやすいために、基準値(限界値)が高く設定してあるわけである。 炭酸が薄いから全然効かないというわけではない。

であれば、メントール成分などが配合された炭酸水素ナトリウム系の入浴剤がいい。 天然温泉でいうナトリウム-炭酸水素塩泉と同じく、皮膚の清浄効果や湯上がりの清涼感もあり、メントール成分はその清涼感を高めてくれる。

季節ごと入浴剤変えるのも、家風呂の楽しみだと言える。ただし、草津や登別などの天然湯の花は、ホンモノの硫黄成分なので、使ってそのままにしておくと風呂釜や浴槽が傷む。 入浴後はすぐに湯を落として風呂を洗う、追い炊きは避けるなどの点を注意したい。

image by: Shutterstock

 

『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』より一部抜粋

著者/飯塚玲児
温泉業界にはびこる「源泉かけ流し偏重主義」に疑問を投げかけた『温泉失格』の著者が、旅業界の裏話や温泉にまつわる問題点、本当に信用していい名湯名宿ガイド、プロならではの旅行術などを大公開!
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