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「アメリカ横断ウルトラクイズ」をパクる番組がなかった本当の理由

かつて日本テレビの看板的な特番だった「アメリカ横断ウルトラクイズ」。この番組は人気番組でしたが、他局は似た番組を一切作りませんでした。その理由とは? 人気の無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者・弘中勝さんがその理由を語っています。

独自ノウハウの壁

かつて日本テレビで、『アメリカ横断ウルトラクイズ』という、大規模なクイズ番組が毎年放送されていました。

ご存知の方も多いと思いますが、ハワイやアメリカ本土に渡って、クイズで勝ち残っていくという番組ですね。

テレビの世界は、他のテレビ局が高視聴率を取るとすぐに似たような番組を作るものですが、『アメリカ横断ウルトラクイズ』はなぜか他局は似たような番組を作りませんでした

人気番組だから、スポンサーを説得しやすいのでさらにお金を集めて「中国横断」でも「世界一周」でも似たような番組を作れば必ず当たりそうなのに、そういう類似番組は全然出てきませんでした。

その理由を、ご存知でしょうか?

おそらく、他局も絶対に真似をしたかったのでしょうが、「やりたくてもできない」理由があったのです。

それは、「出国ノウハウ」です。

『ウルトラクイズ』は国内で予選を行って、次にグアムやハワイに行く際に、50人ぐらいの回答者が海外に出国します。

もちろんそれだけではなくて、アナウンサー、カメラマン、照明担当など、撮影スタッフも大勢移動しますから、関係者が何百人も同時に移動するわけです。

これだけの人数が一斉に出国審査をするとなると、膨大な時間がかかってしまい、それだけでロケのコストが膨れ上がってしまいます。

『ウルトラクイズ』はテレビ局の製作陣と旅行代理店がその方法をきちんと組み上げ、空港管理会社や航空会社とも連携して、それを毎年こなしていくことでその独自ノウハウを築き上げたのです。

このノウハウを他局が一から作り上げたとしても、とてつもない労力がかかってしまうため、手が出せなかったのです。

企画にはこのように、独自のノウハウがあります。

実際にやり続けた者が試行錯誤して作ったノウハウが必ずそこに生まれてくるのです。

だから、他社の企画が単純な企画のように見えても、「簡単にできそうだな」と思って真似してみたら、まったくうまくいかないということが多々あります。

ヒット商品やヒット企画が登場すると必ずマネをする後続者が出てきますが、そのほとんどが本家を超えることができません

それは、どれも独自のノウハウがつかめず、その微妙な不足が購入者にわかるからです。

「人のマネをせずに、独自路線でいくほうがいい」というのはよく言われることですが、それは道義的なことではなく、

「マネをしても先行者のノウハウを得るのが難しいから、それなら別のノウハウを独自に作り始めたほうがいい」という非常に効率的な話なのです。

いろいろと新しい挑戦に踏み出すということは「新しくノウハウを積み上げ始める」ということでもあります。

だから、何かを始めるならできるだけ早く始めたほうがいいのです。

早く始めた分だけ、ノウハウが溜まるからです。

「ノウハウを十分知ってから、準備ができたら」ではなくて、さっさと始めることによって、何が足りないのか、どうしたら失敗するのかをたくさん経験してノウハウが積み上がるのです。

他者のモノマネは、その他者の独自ノウハウの壁に阻まれます。

それよりも、自分がさっそく独自ノウハウの壁を作り始めるほうが早いし、後になってその壁が他者を阻んでくれます。

あなたは今すぐ、何を始めますか?

 

【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)

・自社の商品やサービスで、「他者にはマネができない独自ノウハウ」にはどのようなことがあるか。ノートに列挙する。
・「なぜ他者にはそのノウハウがマネできないのか」。第三者にも分かるようにその理由を説明する。

image by: Shutterstock

 

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