多くの若者から支持を受けているライトノベル。そのトップレーベルである「電撃文庫」のカリスマ編集長が、ついにヒット連発の秘密を語りました。『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』では本書を「ビジネスにも通じるところが多い」と紹介しています。
『面白ければなんでもあり 発行累計6000万部――とある編集の仕事目録』 三木一馬・著 KADOKAWA
こんにちは、土井英司です。
仕事柄、ヒットを生み出したかたの本は、ジャンル問わずひととおりチェックするようにしています。
興味深いのは、自分から遠い世界であればあるほど、気づきが多いということ。だからこそ、食わず嫌いをしないことを心に決めています。
本日ご紹介する1冊は、累計6000万部、「とある魔術の禁書目録」(累計1580万部)、「ソードアート・オンライン」(累計1130万部)、「灼眼のシャナ」(累計860万部)、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(累計500万部)などのヒット作を次々生み出しているカリスマ編集長、三木一馬さんによるヒット論。
ライトノベル界のトップレーベル「電撃文庫」編集長がその仕事術を語ったということで、ラノベファンはもちろん、出版業界からも注目されている1冊です。
不案内なラノベ関連の本ということで、おそるおそる手に取ったのですが、じつに丁寧に作品紹介があり、かつヒットの勘所も述べられていて、じつに勉強になりました。
「面白い」の本質、よいタイトルのヒント、読者がどんな主人公に共感するか、ストーリーをどう作るか、どう売るか…。ビジネス書にも通じるヒントがたくさんあり、「これで1,200円は安すぎる!」と大絶叫の1冊でした。
気になる中身のエッセンス、さっそくチェックしてみましょう。
僕の考える、小説読者としての一番の快感とは何か。自分の大好きな作家や作品の新作を読むことは、喜びに満ちた素晴らしい時間です。「約束された面白さ」を享受されると安心できますし、心地よい快感があるものです。しかし僕は、最速最大ともいえる鮮烈な衝撃と快感が訪れるのは──カバーイラスト、あらすじ、タイトル、口コミ、きっかけはなんでも構わないのですが──自分の感性にビビッと来た新作を思い切って購入し、それが結果「当たり」だったときだと思っています
作家と新作の小説の打ち合わせをする際、僕は「書き始める前の準備」として、必ずその小説の「家訓」を決めています
「家訓」を決めるのに最も重要なカギとなるのは、その作家自身の「性癖」
人間は、自分の知らない世界を覗いてみたい願望を必ず持っています。自分とは縁もゆかりもない、ともすれば知らずに一生を終えたかもしれない未知の世界に「面白く楽しみながら」触れることができれば、人はよりいっそう惹きつけられます
「現実世界の自分はそうはなりたくないけど、この冒険は楽しみたい」というのが娯楽の根本的な考え方
面白い作品の主人公は、かならずと言っていいほど、相反するかのような二面性を持っています
キャラクター設定を決めるときには、まず「ギャップ」を決めます。ビジュアルでも性格でも異能の力でも構いません。「◯◯な人が××だったらかっこいいな」「◯◯な性格なのに、××な能力があったら面白いな」という感じで、「◯◯なのに××」を自由に発想してください
良い文章は説明を説明と思わせないということです。主人公の躍動感あるアクションシーンを読んでいたら、気づけばその作品に必要な知識が得られていた……などが良い文章の証です
「売れる、売れない」が「面白いか、面白くないか」でもないとすれば、一体なにで決まるのでしょう。僕は、その作品に触れた人の数で決まると思っています
期待を裏切らず、不安を裏切れ
ラノベファンに向けたコンテンツもたくさんありますが、ヒットメーカーとして知っておくべき視点、原理もたくさん盛り込まれています。
著者、編集者、マーケター、コンテンツを生業にしているかたは、ぜひ読んでみてください。
image by: Shutterstock
『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』
著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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