MAG2 NEWS MENU

【書評】一番下で1人組織を支える社長の会社が伸びる単純明快な理由

「社長」は「社内ピラミッドの上から社員を見下ろす存在」ではなく、「逆にしたピラミッドの一番下で全社を支える感覚を持つべし」と言うのは無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者・弘中勝さん。まさにそんなスタイルを地で行く、人気劇団の代表が著した1冊を紹介しつつ、思わず納得、な論を展開しています。

社長の存在

最近読んだ本の内容からの話。

2015年に結成30周年を迎えた人気劇団「演劇集団キャラメルボックスの代表成井豊氏は1年に30本以上の新作公演の脚本を書き、1年に3本以上の再演の台本の書き直しをし、それらすべての演出をする。

キャラメルボックスの製作総指揮の加藤昌史氏は、結成以来150作品以上やってきた成井氏が「初日に台本が間に合わなかった」という演劇の世界にはありがちのように思われていることをしたことをこれまでに一度も見たことがないという。

また、成井氏は年間300冊以上の本を読み、100本以上の映画のDVDを見ている。それは趣味ではなく、脚本を書くためのインプットである。

「締め切り」という約束を守ったうえで、これだけ勉強をして結果を出し続ける人は、演劇界の歴史の中でもそんなにはいない。

つまり組織の「上」であるはずの劇団代表が、誰よりも身を削って、誰よりも努力して、しかしそれをひけらかそうとはせず、むしろ「まだまだ足りない」と貪欲に読み、書き続けている。だから、誰も「ちょっと手を抜こうよ」とは思えるわけもない。

「集団」という名の渦を作っていくためには、そのように、渦の中心で強力なエネルギーを持って突き進む人が必要である。そういう人は、本人はなりたいと思っていなくても、周りから精神的な「長」として認められる。肩書きではない、本当のである

仕事上で「長」がつく肩書きや、「先生」などと呼ばれるようになっても、人より「上」になったわけではない。集団内の業務の分担上、「」に出ているだけである。

むしろ、もっと多くの人を支える「下」の立場になったことを重く受け止めて、それまで以上に勉強と行動が必要である。

肩書きの上で「長」にされたのであれば、後付けでも構わないので渦の中心である自覚を持ち、誰よりも努力をしてみんなを支えていく覚悟を決めて実行するべきで、慢心などしている暇はないはず、と加藤昌史氏は述べている。

出典は、最近読んだこの本です。

演劇集団キャラメルボックス製作総指揮の加藤氏の著作。社内外のコミュニケーションのヒントが満載です。

人の前に出る仕事の人へ。」(加藤昌史・著 ぴあ)

会社の組織を表現するときによく、ピラミッドを使うことがあります。そう描くと、会社という組織は、社長というトップがピラミッドの頂点にいて、中間管理職が真ん中、新入社員たちが底辺になります。

多くの人はこの図が頭の中にあるので、社長が一番高い位置にいて全員を見下ろす偉い人で、社員たちはそれを支える最下層と思ってしまいます。

確かに、人数的なシェアを表すには正しいですが、それは「上」「下」を表すものではないとしたら、別にピラミッド型である必要はありません。

その三角形を、逆さにしてみたらどうでしょう。逆ピラミッド、つまりコマのように立てる。そうすると、社長だけが地面に接していて、不安定な会社を1人で支えていることになります。社長は、こういう感覚を持たなければなりません。自分が一番、会社の中で頑張らなければならないのです。

こういう意識を持つと、社長が「俺だけが会社を支えている」と勘違いしがちだ、と思うかもしれませんが、そうでもありません。実際にこの図がイメージできるとしたら、社長が地面で1人で必死に全体を支えているときに、上部の社員たちも社長のために頑張っていることを実感することができます。

「こっちに偏ったら、社長がかなりきついぞ」
「自分たちもまとまらないと、社長1人じゃ支えきれなくてこの三角形は倒れちゃうぞ」

と、上部にいる社員たちもバランスをとって社長の負担を減らしてくれているのです。社員たちがそうやって頑張ってくれればくれるほど、一番下で一点で支えている社長はラクができるのです。

それでも、その社長が気を抜いてしまうと、組織はあっという間に倒れてしまいます。社長は一番上から見下ろすから偉いのではなく、一番下で力強く支えるから偉いのです。だから、社長は社内の誰よりも頑張らなければならないし、社員は社長の頑張りに応えなければならないのです。

【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)————-

・「社長」(ほかに店長、理事長、会長など自分の仕事に合わせる)とは、組織の中でどのような存在であるべきか。自分の考えを100文字程度でノートにまとめる。

image by: Shutterstock

 

ビジネス発想源』(無料メルマガ)
<まぐまぐ大賞2015・総合大賞受賞> 連載3,000回を突破した、次世代を切り拓くビジネスパーソン向けの情報メディア。
<<登録はこちら>>

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け