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イスラム国の標的が遂に聖地サウジアラビアに向かってきた

4月20日、国内施設がテロの標的になる情報を得たとして、治安部隊に警戒態勢を取らせたサウジアラビア。事実首都リャドでは4月8日、「イスラム国」と接触があったとされるサウジ国籍の男による警官襲撃テロも起こっています。このような事態を言い当てていたメルマガが『【無料版】英文メディアによる国際情勢と先読み経済』。3月末には「サウジアラビアも危なくなってきている」と注意を喚起していました。

「イスラム国」指導者バグダディの呼びかけとサウジアラビア

4月20日、サウジアラビアからのテロに関する報道です。

[リヤド 20日 ロイター]-サウジアラビア内務省報道官は20日、商業施設やエネルギー関連施設が武装集団の襲撃を受ける可能性があるとして、治安部隊に警戒態勢を取らせたことを明らかにした。

同報道官は、「商業施設あるいはサウジアラムコの施設を標的にした攻撃の可能性を示す情報を得た。これを治安部隊に伝え、警戒態勢をとらせた」と述べた。詳しい情報は得ていない、としたうえで「サウジアラビアは、テロリズムの標的になっている。(紛争が起こっているような)状況では、これに乗じてテロリスト集団が攻撃を仕掛けるのが普通だ」と述べた。

サウジは3月下旬から隣国イエメンの過激組織掃討で空爆を開始した。サウジ警察は今月、首都リヤドで起こった2件の襲撃事件の容疑者として、サウジ国籍の人物を拘束したと発表している。

以下の記事は有料メルマガ3月26日号の一部です。

ジェームズタウン財団は3月6日付けで、『国王を倒すために:イスラム国はサウジアラビアに照準を合わせる』と題した記事を掲載しました。

その記事の中では、2014年11月13日に「イスラム国」の指導者アブ・バクル・アル・バグダディが、組織のメディアから「Even if the Disbelievers Despise Such」という題名の音声メッセージのなかで、サウジアラビアを含む戦線の拡大を激賞したというのです。

そしてこの「イスラム国」の活動の拡大の対象には、イエメン、エジプト、リビア、アルジェリアが含まれていましたが、サウジアラビアにあるイスラム教の二大聖地メッカとメディナを指す「al-Haramein」の語が含まれていたのです。そしてそのバグダディの音声メッセージでは「al-Haramein」の語が強調され、サウジアラビアの追随者たちに従うよう呼びかけていたそうです。

この記事の執筆者のクリス・ザムべリス氏は、「『イスラム国』の台頭は、アブドラ国王の死とサルマン新国王の継承を契機として、高まる国内と中東地域の両方の不安定さの真っ只中で起こる」と述べています。

>>次ページ メルマガ筆者が「サウジも危険」と警告を出した理由とは?

2月12日の有料メルマガでお伝えしましたが、外交問題評議会のリチャード・ハース会長は、1月のフィナンシャル・タイムズで次のように警告していました。

現代のカリフの支配をもたらそうとする『イスラム国』が、イスラム教の二大聖地のメッカとメディナのあるサウジの支配権を得ようとする可能性がある。

さらに「イスラム国」について、ハース氏は以下のようにも述べていました。

サウジの大きな危険は、教育の不十分な、潜在失業の若者たちへ『イスラム国』の考えをうったえることから起こる。「爆弾」以上の威力をもつインターネットはサウジ政府の破滅の元となるだろう(could)。とくに、甘やかされたサウド王家の何千人もの王子たちの鬱積した恨みは、広くて深い。

3月20日、イエメンの首都サヌアにあるシーア派のモスク2カ所での自爆テロ事件では、少なくとも142人が死亡しました。これに対して「イスラム国」系組織が犯行声明を出したそうですが、米国政府はイスラム国系の活動かどうかの確認はできていないと発表しています。

また、エジプトでは「イスラム国」に忠誠を誓うグループが爆弾テロを繰り返して起こしました。

仮に、このイエメンの142人が死亡したテロ事件が「イスラム国」の犯行であるとしたら、バグダディの音声メッセージで名指しされたイエメン、エジプト、リビアでは、2014年11月のバグダディの呼びかけに応じてテロ事件が発生していることになります。バグダディのメッセージのなかにあるサウジアラビアも危なくなってきていると思います。

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