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「仮眠時間も金払え」「いや払えん」。社員vs会社、裁判に勝ったのは

泊まり込みの勤務や夜勤の場合、「仮眠時間」が設けられていることがありますよね。この時間は労働時間に含まれるのでしょうか。無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、この「仮眠時間」をめぐって起こされた裁判の判例を紹介しています。

「仮眠時間」は労働時間と認められるのか

飲み会での割り勘には難しい場合があります。例えば、職場の部署全員で飲みに行く場合は割りと簡単で、役職が上の人から順にちょっとずつ多めに出すというのが一般的でしょう。また、男性と女性が一緒の場合は男性が多めに出すことが多いのではないでしょうか。

難しいのは「お酒を飲む人と飲まない人」が飲みに行った場合です。みなさんの中には飲まない人はちょっと安くしているという人も多いかも知れません。ですが、それにも反対意見があります。

「その分、ソフトドリンクをたくさん飲んでいた」
「単価の高い料理やデザートを食べていた」

ここまでくると、飲んで食べた「自分の分だけ」を会計時にお互いに精算するしかなくなってしまいますが、では「人が頼んで自分が食べた分」はどうするのかとかきりがありません。

ただ、「自分の分だけ」払うという内容で人気を集めているサービスがあります。それは、「走った分だけ払うという車の保険です。それまでの車の保険というのは「(車に)毎日乗っても、たまにしか乗らなくても同じ金額」というのが普通でした。それを、たまにしか乗らないドライバーの中には不満と感じる人もいたでしょう。そこで、この保険です。このように「走った分だけ払う」であればその不満は感じなくなります。

では、同じように「働いた分だけ給料を払う」というのはどうか? それについて裁判があります。

あるビルの管理会社で、泊り勤務のシフト制で社員が働いていました。その仕事内容は夜間のビル設備の管理です。泊り勤務の場合は、勤務時間の間に仮眠時間(7~9時間)が設定されていました。ここで問題になったのが「仮眠時間」です。

会社と社員の契約では、「仮眠時間中は、何か対応が必要なことが起きた場合のみ、その分の手当を支払う」となっていました。つまり、「働いた分だけ払うということです。これに不満を感じた社員が「仮眠時間も労働時間である。その分の給与を払え」と、裁判を起こしました。

では、この裁判はどうなったか?仮眠時間は労働時間なのか?

裁判の結果、会社が負けました。仮眠時間は労働時間であるとしてその分の給与を支払うように命じられたのです。「え? 寝ている時間にも給与を払わないといけないの?」と感じられた人もいるかも知れません。

この場合のポイントは「仮眠時間を自由に使うことができるか」です。この会社では仮眠時間について次のような決まりがありました。

以上の決まりから「自由な時間ではない労働時間」と認められたのです。もし、完全に自由に使うことができるのであればおそらく労働時間とは認められなかったでしょう。

これは実務的には「休憩時間」にも同じことが言えます。例えば、「休憩時間60分」と決めていても、その時間帯に電話があったら必ずとるようにとか、来客があったら対応をするようにとかそのような決まりがあれば、その時間も労働時間として考えられてしまうということです(結果として電話も来客もなかったとしてもです)。

「走った分だけ払う」は大丈夫でも「働いた分だけ払うは認められないということですね。

image by: Shutterstock

 

「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理
【経営者、人事担当者、労務担当者は必見!】
企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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