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爆買いの本家・中国ビジネス最前線と、日本企業の今

二階氏による“3000人訪中団”は、日中関係の改善にどう影響を与えたのか? 中国在住のコンサルタント・高瀬正博さんは、自身のメルマガ『中国大連ビジネスリポート』で、二階氏訪中後の現地・大連の状況を伝えています。

大連市の親日度はまだ60%ぐらいかな

二階俊博氏が3300人あまりの業界関係者と北京入りし、日中交流の重要性をアピールしました。

このパフォーマンスが大きな渦となっていくだろうとの思惑どおり、習近平主席が民間を通しての中日友好を強く求めました。

鳴り止まぬ拍手を制止した習主席の心中には、何が隠されているのだろうか。「能ある鷹は爪を隠す」式のトウ小平氏が打ち出した政策を模倣したのだろうか。

それにまんまと引っ掛かってしまうのも一つの手かもしれないが、その裏にある中国式政策を見抜けなければ、元も子もない状況に追い込まれてしまい、とどのつまり、撤退すら思うように行かず全てを投げ打って裸で本国に戻るしかない

こういう交渉術に長けているのは、まさしく中国人なのです。

かと言って、すべてがそうであると決め付けることもできません。その様な状況の中でも、返って中国人との絆が逆に強くなり、ともに成長するという道を歩む人もいます。

日本人の持つ真面目さ、器用さなどは中国人にとっては眩しさがあります。しかし、戦略、交渉、決断と段階を踏んでいくうちに、次なる手を打つ能力に限界を感じだし、先方の言いなりになる率が増えるのです。

弱気な姿勢を見せながらも強気の意見を言う事が、かえって中国人からは信頼されやすいのです。

北京を後にした二階氏とその業界関係者が、次に訪れたのが大連市です。大連市では唐軍市委書記、肖盛峰市長に市政府幹部が揃う中での懇談会がありました。

大連市にとって、日本との絆が細くなることは一番避けたいところなのでしょう。しかし、ここのところ撤退する日本企業もあり、少々雲行きも怪しくなりつつあるのも懸念されるようです。

一時党中央から発信された外資企業受入優遇策の撤廃という内容は、猛烈な反対のもと瞬く間に消え去り、以前の様に各省・市が独自に打ち出す政策を一旦中央に提出し許可された場合のみ有効活用できる仕組みになり、大連市としても次の一手を模索中です。

>>次ページ 中国進出への全力投球は避けるべし?

円安元高の現在、日本企業の苦闘はまだ続くようです。

しかし、この様な状況の中でも政策あれば対策有りですから、こういう時こそ日本人は知恵を磨いて交渉力を高めて欲しいものです。

大連市の肖盛峰市長は訪日し、各日本企業と懇談されたと報道がありました。この状況から見ると確かに今年は中日関係修復に前向きだなと思います。大連市が動き出す事で次は庄河市、普欄店なども動き出す気配が見えます。

この様に中日関係が少しづつ元に戻りつつはあるのですが、まだ60%ぐらいまで来たかなぐらいでスッキリはしていません。

今月13日から21日の9日間、市内中心部近くのオリンピック広場では、「大連市中日経済合作交流協会」が実施する「日本商品大連地区巡回展」が開かれます。

日本からは約50社が大連入りし、日本の商品を販売します。日本企業にとっては大きなチャンスかも知れません。

それは、2016年に開業を予定している「江戸小城」。日本風の建築で日本の商品を扱う商業施設です。約4000平方メートルの中に、「日本商品店舗街」「日本料理飲食街」「日本商品スーパー」「日本経済文化大連商務会館」から構成されそうです。もうすでにこの時点で出店予約が入っているとの事。

これらを企画立案しているのは、「大連市中日経済合作交流協会」の徐 朝法会長です。

大連市は、日本人にとって本当に暮らしやすい所です。

しかし、上の政策を無下に曲げることは出来ません。

いついかなる時、どの様なことが起きようものなら全てが泡と化してしまいます。

はっきりとした中央の態度が見えない限りは、全力投球はせず、肩慣らし程度にしておいて、いつでも100%が出せる状態を保持継続して置くのがよいかなと考えます。

『中国大連ビジネスリポート』
中国大連在住15年目の私が大連市における日系企業の現況、進出企業へのアドバイス、現在から今後起こりうる法務一般、人材育成及び派遣、教育(日本人駐在社員、中国人社員)等について基本的な内容をお届けします。
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