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呪われた東京オリンピック。平和の祭典も結局「政治とカネ」なのか?

競技場デザイン・聖火台問題、ロゴ盗作疑惑、そして先日の裏金問題まで…息つく間も無いほど不手際・不祥事が噴出する東京オリンピックですが、無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では、「もっと根本的な問題がある」との指摘がなされています。それは東京の「猛暑」。夏場の開催時期を「アスリートにとって理想的な気候」とした東京の招致委員会に対して、世界を欺いたと言っても過言ではないと厳しく批判しています。

誰のためのオリンピックなのか?

ブラジルではオリンピック開催まで100日を(開催は8月5日から21日)切ったが、大変な状況に陥っている。生活が苦しく昨年のGDPが3.8%減少(本年3月3日発表、過去25年で最大の落ち込み)し、3月に360万人が参加したデモが起こった

ブラジルは景気の落ち込みでオリンピックどころではないという気持ちであり、「もうやめてしまえ」という声も出てきているというのも理解できないでもない。さらに、大統領の弾劾裁判の可能性も出てきており、ブラジルは大統領なしのオリンピックが開催されるという可能性も出ている(※5月12日付のロイターによると、上院がルセフ大統領の弾劾裁判開始を決め、ルセフ氏の職務が停止が決定した)。

日本も困難な状況

日本においても東日本大震災の影響により2.8万戸の仮設住宅に5万7,000人も住んでいるという状況が続く。3.11から5年が経過した今なお、日本でも通常の生活に戻れていな状況であるにも関わらず、いっこうに改善がみられていない

本当にこの時期でよいのか?

ここで、日本の2020年のオリンピックについて考えてみたい。以前から開催時期に関して言及してきたが、東京のみならず夏のマラソンは危険だと言われている。7月下旬から8月上旬の開催が予定されているが、2007年8月大阪世界陸上、2008年8月北京オリンピックは猛暑を避け、どちらも午前7時代のスタートであった。それにも関わらず5人に1人が途中棄権したともいわれ、暑い時期の開催は本当に選手にとって過酷な状況だ。

大会期間中暑過ぎるという心配もあり、最近の東京の夏は異常なほど暑い。昨年の夏に熱中症で亡くなられた方は900人強で8月上旬(1日~10日)の救急搬送人員数は1万7,661人となり、なぜこんな猛暑の時期に立候補したのかという批判も出てくる。

最終目的は…

東京都の招致委員会は招致文に「この時期の天候は晴れの日が多く、かつ温暖であるためアスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」と記載しているが、とても理想的な気候とは思えない。招致委員会は猛暑であることは言わずに、ある種だましたと言っても過言ではない。各競技では世界選手権などを協議に一番適した季節に実施しており、オリンピックはそういった開催がない時期に押し込まれたという感じがしないでもない。

結局他のスポーツと重ならないため、放映権が一番高く獲得できる時期に開催したのではないか。つまりアスリートのためではなく、おカネのための開催だというように透けてみえる。東京オリンピックでは「アスリートファースト」と言っているが、アスリートのためと同時に観光客や観覧する方々の為でもある。観覧する方々も見ている時に非常に暑いので、倒れる人も出てくるかもしれない。

東京オリンピック委員会の使命

1992年のバルセロナオリンピックから7月15日から8月末までの開催が規定され、東京オリンピック開催時は一番いい季節は10月10日ということで開催された。例外は2000年のシドニーオリンピックで南半球は8月は冬季のため9月にずらし実施。そういう意味からも主催都市がこの時期がアスリートにも観客にも一番よいということを主張すべきである。おカネもかかるため不要であるという国も出てきている。

ドイツハンブルグでは住民投票の結果反対が多く中止に。この時期の開催が妥当かどうかを住民投票や国民投票を実施するなどしたほうがいいように思う。

政治的な理由なのか、おカネのためなのか 、なんらかの理由をごまかすために「アスリートファースト」と掲げているように感じる。そしてオリンピック全体が今一つもりあがらない要因にもなっているように思う。まだ開催まで期間はあるので、もう一度再交渉の声をあげると言うのが東京オリンピック委員会の使命であると思う。

(TBSラジオ「日本全国8時です」5月3日音源の要約です)

image by: Wikimedia Commons

 

ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』より一部抜粋
ジャーナリスト嶌信彦が政治、経済などの時流の話題や取材日記をコラムとして発信。会長を務めるNPO法人日本ウズベキスタン協会やウズベキスタンの話題もお届けします。
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