MAG2 NEWS MENU

スマホの次は何がくる? グーグルの先行開発部隊「ATAP」が次世代に見る夢

グーグルがリーバイスと共同開発した、そで部分のセンサーをなぞるだけでスマホが操作できるというジャケットが話題になっています。シリコンバレーで開催された「Google I/O 2016」に参加したケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』でその全貌を詳細にレポートしています。

先端開発を続けるグーグルは、検索以外でも勝ち組になれるか

「Google I/O 2016」に参加して、率直に感じるのが、グーグルが積極的に先行投資、開発をしていると言う点だ。

グーグルには「ATAPという先行開発をする部隊が存在する。先ごろ、そのトップであったレジーナ・ドゥーガン氏が、Facebookに移籍するという電撃的なニュースがあり、「ATAPは大丈夫かな」と心配になったりもしたが、今回のセッションを見る限り、その心配はなさそうだ

今回、ATAPは糸にタッチセンサーを埋めこんだ「Project Jacquard」の進展を発表。ジャケット「the Levis Commuter Trucker Jacketをリーバイスと共同開発したと明らかにした。実は昨年、コンセプトが示されたのだが、1年経過して、具体的な製品として発表されたのだ。実際、製品となって2017年春には発売になるという。

the Levis Commuter Trucker Jacketはそでの部分にセンサーが埋め込まれており、軽くなぞるだけで、スマホを操作できるようになる。自転車に乗っている際に、スマホの音楽を操作するというのに向いている。開発にあたり、日本の繊維メーカーとの協力があって、誕生したという。

また、ATAPでは、「Project ARA」の進捗も発表した。Project ARAは、スマホを様々なモジュールを組み合わせて使えるというものだ。例えば、Eインクのサブディスプレイをつけたり、人によってはカメラを外して別のパーツをつける、といったことが可能となる。日本ではトリニティがWindows10スマホ「NuAns NEO」で背面のパネルを着せ替えられる製品を出しているが、Project ARAはパネルではなく、部品を丸ごと変えてしまうというコンセプトだ。

面白いのが、スマホに向かって「OK、グーグル。カメラ外して」と音声で話しかけると、自動的にリジェクトになり、カメラが外れるようになっていた点だ。これには観客も拍手喝采で盛り上がっていた。

Project ARAは過去に発表されたのち、しばらく音沙汰がなく、計画が頓挫したかと思ったが、2016年秋には開発者向けモデルが登場し、2017年には市販されると明らかにされた。モジュールの開発には、パナソニックや東芝といった日本メーカーも名を連ねている

ここ最近、スマホには進化が見られず、面白みが欠けていた部分がある。ハイエンドスマホよりも、格安スマホが注目を浴びている状況を見ると、なんだかさみしい思いをしていた。この1年は格安SIMやタスクフォース、キャッシュバック規制など、つまらないニュースばかりでウンザリしていた。

しかし、Google I/O 2016に参加してみて感じたのは、この業界はまだまだ進化をするしワクワクするプロダクトがこれからも継続的に出てくるという確信だ。今回、グーグルが発表したプロジェクトがどこまで成功し、ユーザーに普及するかは未知数だが、少なくとも失敗を恐れず、果敢に新しい取り組みは評価したい。

来月にはアップルが開発者向けイベントを行うが、果たして、どこまで新しい取り組みを発表できるかが興味深い。単にMac OSやiOS、watchOSの改善だけの発表となると、世界の開発者からそっぽを向かれる恐れもあるだろう。

image by: google

 

石川温の「スマホ業界新聞」』 より一部抜粋

著者/石川 温(ケータイ/スマートフォンジャーナリスト)
日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。
<<無料サンプルはこちら>>

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け