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現役アナウンサーが教える「…そんだけかい!」と言われない会話術

アナウンサー歴26年、今も現役の「話し方のプロ」熊谷章洋さんがコツを教えてくれるメルマガ『話し方を磨く刺激的なひと言』。今回は、話した後に聞き手から「え、それだけかよ!」と言われてしまう人の話し方の欠点を紹介しています。あなたの話に足りないのは「オチ」ではなく、聞き手への「配慮」なのかもしれませんよ。

「そんだけかよ!と言われる話し方の欠点」

今週の、自問の言葉は・・・

面白い話から先に。後は聞き手を満足させることに注力する

 「話を面白くしたい→オチを考えなくてはいけない」

「話がつまらない→オチがなかったのがいけない」

「オチが考えられない→話が下手」

と思っていませんか?

しかし、日常会話や連続性のある話の中で、オチは不要

オチを言わなくてはいけない、話し始めたらオチを考えておかなくてはいけない、というのは、ただの思いこみなのです。(詳しくは前回の記事を御覧ください)

*ただし、話が面白くならないのは、オチ以外に原因があることは、きちんと認識したほうがいいと思います。

これまでの話の終わり方の一連の記事の中で言及してきましたが、話の終わり方に、大どんでん返しや、情熱的な意見、決定的な結論などが、必須というわけではないのです。

終わりとして、座りのいい言葉雰囲気があればいいのです。

それよりも、話の中身、中心となるべき話題、テーマで、聞き手をきちんと満足させられたかどうか、のほうが重要であることに、早く気付くべきです。

面白くない話をした時に、「そんだけかよ!」とツッコまれてしまうのは、オチがなかったことへの指摘のように感じますが、世間一般の人々にとっては、漠然と、面白くない=オチがないから、というイメージによるツッコミなのであって、実は、話がオチていないこと自体への不満ではありません。

それは、話が中途半端で物足りないからです。

*では、聞き手が満足できない話し方とは、どういうものでしょうか。

まず、

「○○が××、ということがあったんですよ。」
と、

事実だけを言ったまま終わってしまう、言葉数が少ないケース。

いっぽう、

「・・で、・・で、」
と、つながって途切れなかったり、事実の羅列や感情的表現の連続で、メリハリがない、自分で笑ったり、オーバーな表現のわりに、内容が大したことがない、など、言葉数が多いケース。

このように、言葉数が多かろうが少なかろうが、聞き手が不満を感じる可能性は考えられます。

不満、つまり、自分の話が、相手の期待に応えられていない、ということです。

*口数は多いのに、聞き手に、「それだけかよ!」とツッコまれてしまう人。

原因は、話のひと区切りや、自分の持ち時間が長いことです。

同じ場面、同じ内容の話が続けば続くほど、聞き手は、

「これだけ長く続くんだから、きっと最後に、何らかの特筆すべきオチや結論で締めてくれるに違いない」

そう思ってしまうわけです。

ところが、その一連の話は、続いてきたのと同じ様相のまま、終わってしまう。

だから、「オチはないのかい!」とツッコまれるわけですね。

そう言われると話し手は、「オチがなかったからいけないんだ」と思い、また、「オチを考えるのは難しい」などとコンプレックスを感じたりするわけですが、それは、問題点が違うんですね。

大事なのは、

・一連のテーマの話を、適切なタイミングで終わらせること

・相手に話させたり、想像させたりと、聞き手が話に参加する機会を用意すること

なんです。

*まず、話を適切なタイミングで終わらせることができるようになるためには、自分の持っている話題に、重要度で順位をつける習慣が必要です。

逆に言うと、話が終わらなくて、「・・で、・・で」で続いてしまう人の特徴は、自分の持っている話題の面白さに順位が付けられず、思いつくままに、並列的に話してしまうところにあります。

いっぽう、話を上手に先へ進めることが出来る人は、そうではなく、自分の持っている話題は、「重要なもの、面白いものから先に」話し始めます。

そして、その一番重要な話題を、盛り上げたり、広げたりすることに集中し、尻すぼみになってきたのを察知して、話を次に進めるのです。

つまり、一連の話題を切り上げるタイミングは、話し手が、そのテーマでの話の限界を見切った時、できれば、話し手も聞き手も、その話で満足した時、ということになります。

ですから、話を面白くしたい人、テンポよく話を進めたい人は、あれこれしゃべりたい気持ちをちょっと抑えて、自分が一番最初に話しだしたテーマが、完全燃焼するまで、その一連の話題を最大限まで盛り上げる努力の方に、力点を移すのがいいと思います。

*次に、聞き手を、話に参加させる方法は、さまざまで、これまで当メルマガの記事でも、何度か取り上げてきました。

一対一の会話だけでなく、講演などのひとりしゃべりで、聴衆が多数、という場合でも、

聞き手を参加している気持ちにする」話し方、が可能なのです。

例えば、

「その時、どうしたと思う?」

と、次の言葉を想像させたり、そのような直接的な言葉を言わなくても、大胆な間を取ることで、

「おやッ?この間はどういうことだろう?」

と、聞き手は話を聞くことに積極的になります。

また、一対一や、数人グループでの会話でも、

「これって、どういうことだと思う?」

「どうしてなんだろうね??」

など、わからないことや、分かっているけど、違う角度の意見も聞こうとする姿勢、また、その話題に関連して、相手について知っていることや相手の得意なことについて、話を振ってみる、など、相手のことを思いながら話す姿勢が、聞き手を、話に参加させることに繋がります。

こういう話し方の要素をまとめると、究極的には、「聞き手を思う話し方」が、面白い話につながる、ということになるわけですが、あくまで究極的にはであって、それを言ったら、全てが完結してしまいますからね。

このあたりで、切り上げておくことにしましょう。

image by: Shutterstock

 

メルマガ『話し方を磨く刺激的なひと言

著者/熊谷章洋
アナウンサー歴26年の著者が、実体験でしか知り得ない「話し方のコツ」を、理論化。滑舌、緊張、発声発音、会話、説明、講演講義、プレゼン、自己紹介自己アピール、セールス、ビジネス、面接、ナレーション、話の構成、人としての魅力…人前で話すあらゆるシーンに役立つプロの技をお伝えします。

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