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隠しぼめする寅次郎。渥美清さんに学ぶ、人の心を動かすほめ方のコツ

国民的映画「男はつらいよ」シリーズでタッグを組んでいた、フーテンの寅こと渥美清さんと監督の山田洋次さんですが、山田監督は渥美さんからかけられた「隠しぼめ」のひと言が今も心に残っているのだとか。無料メルマガ『がんばれ建設~建設業専門の業績アップの秘策』では、そんな渥美清さんの「隠しぼめ」とともに「陰ぼめ」のテクニックも紹介しています。

また一緒に仕事やりたいね

映画監督の山田洋次さんが演出家として駆け出しのころのことです。テレビドラマで初めて渥美清さんを演出することになりました。

山田洋次さんは、渥美清さんという喜劇役者としての才能を高く評価していました。しかし渥美さんのほうは山田さんをあまりよくは思っていないという噂も、山田さんの耳には入っていました。

経験や境遇が違い過ぎるのです。渥美さんは小さな劇場の幕間にやる余興のコント役者として芸を磨いてきた熟練者です。かたや、山田洋次さんは東京大学を出たエリートです。

渥美さんの中には、3歳年下の山田さんが「アタマでっかちの、青臭いことを言う演出家」といった先入観が働いていたのでしょうか。「そんなヒヨッコに、つべこべ言われたくない」という反発心があったのかもしれません。

さて渥美さん主演のドラマを取り終えた際、山田さんには「渥美さんと仕事をするのも、これが最初で最後。もうご一緒することもあるまい」という思いがあったそうです。

と、意外にも渥美さんのほうから、「あんたとは、また一緒に仕事をやりたいね」と、ひと言。山田さんは、うれしさがこみあげてきたそうです。

この「また一緒にやりたいね」という言い方、ストレートなほめ方ではありませんが、「山田さんの仕事を評価している」という含意が伝わり、それが山田さんの気持ちを動かしています。

これは見事な「隠しぼめ」です。

建設工事ではさまざまな人と一緒に仕事をします。いい仕事をしていただいたとしましょう。しかし、ほめ言葉がうまく出てきません。照れくささが先に立ちます。

そんな場合は、この「また」を使って「あなたの仕事が気に入った」「よい工事ができた」というメッセージを発信してほしいものです。

「また一緒に仕事をやりたいね」
「またお声がけくださいね」
「また食事でもしましょう」

どうという会話ではありませんが、相手は「自分の存在が認められた」という思いになります。

これは、「ほめられる」に通じる心理です。どれも相手をストレートにほめているのではありません。けれども相手は「ほめられた」と感じ、それまでの不安が解消します。メッセージがじわりと伝わる、これが「隠しぼめ」の心理効果です。

陰ぼめ」というものもあります。本人がいないところでその人を褒めることです。陰ぼめは3種類あります。

「彼はいい仕事をしてくれる」(結果の承認
「彼はいつも朝早くから現場の掃除をしてくれている」(行動の承認
「彼がいてくれるだけで皆、明るくなる」(存在の承認

このうち、行動の承認と存在の承認は本人をよく見ていないと言えないことなのでいわれた人のうれしさは大きいです。

隠しぼめ、陰ぼめを活用して人間関係をよくしたいものです。

(参考文献『人の2倍ほめる本』新講社 渋谷昌三著)

image by: Wikimedia Commons

 

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ダム、トンネル等大型建設工事の参画経験を有し、テレビ、ラジオ、新聞に出演中の降籏達生さんが、「儲かる」「身につく」建設(土木、建築、設備、電気、プラント)関連情報を厳選。建設業の業績アップ、技術者育成、技術提案、原価低減ネタを紹介します。
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