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日本も戦争に巻き込まれること必至。トランプに見捨てられたネタニヤフの暴走がアジアを“火の海”にする最悪のシナリオ

足掛け4年に渡り、ロシアからの軍事侵攻を受け続けるウクライナ。大国間の思惑が複雑に絡み合う中にあって、未だ停戦の見通しが立たないのが現状です。事態は今後、どのような推移をたどるのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の「無敵の交渉・コミュニケーション術」』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、ウクライナを舞台に展開される米ロと欧州の綱引きを手がかりとして、世界各地の紛争が相互に連動する力の構図を解説。さらに、停戦が先送りされ続けた先に待ち受ける国際秩序の崩れ方と、日本を含む各国が直面し得る現実を多角的に考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:“ウクライナ”を巡る大国間の綱引きと国際情勢を襲う複雑な力の構図

実現しない停戦。ウクライナを巡る大国間の綱引きと国際情勢を襲う複雑な力の構図

「欧州にとってウクライナの“和平”は外交上のトッププライオリティー。欧州抜きの合意など絶対に認めない」

ロシア・ウクライナ戦争の直接的な当事者ではないはずの欧州各国ですが、2022年2月24日に起きたロシアによるウクライナ侵攻前後から、欧州各国はこう考え、ロシアの動きを“欧州の安全保障上の脅威”と考えて対応してきました。

「ロシアがウクライナを侵攻するのではないか?」との憶測が飛び、アメリカ政府内でもその可能性が高いとの分析がなされた際、ロシアに行動を思いとどまらせようとしたのは、バイデン大統領のアメリカではなく、フランスのマクロン大統領でした。

マクロン大統領は何度もクレムリンを訪れ、非常に滑稽に映るほど長いテーブルの両端にプーチン大統領とマクロン大統領が座って会談している様がメディアに捉えられていましたが、マクロン大統領の呼びかけも空しく、プーチン大統領は“ロシアに対する根本的な脅威の除去”を目的にウクライナ全土に対する侵攻を行いました。

当初、欧州各国は、アメリカ政府同様、3日もあればウクライナはロシアの強大な軍事力の前に陥落し、ロシアの傀儡になるか、ウクライナが崩壊するという予測を立て、ポスト・ウクライナの絵図を勝手に描いていたようですが、予想に反してウクライナ軍は奮闘し、ロシア軍による圧倒的な攻撃を撃退し、これまで約4年近く、戦況はさすがに悪化してきているとはいえ持ちこたえ、“ウクライナ”はまだ生きており、ゼレンスキー大統領は今も大統領の座に就いています。

戦争はまだ続いているわけですが、そのような中、鮮明になってきているのが、国際情勢における欧州の影響力の著しい低下と、欧米関係の亀裂の拡大、そして高まる欧州の焦りが生み出す“解決”に向けた障壁という悲しい現実です。

「では欧州は不要か?邪魔か?」と尋ねられたら、私は「そんなわけない」と答えます(実際に今週、いろいろな機会に尋ねられました)。

実際に欧州は和平合意や停戦の実現に対しては、正直なところ影響力は発揮できていません。

安全保障面のみならず、環境・エネルギー政策や農業政策、特許や規格の協議などでも、気前のいいことを言って大判風呂敷を拡げ、世界をリードし、常識に基づいた行動を取るかのような持ち出し方をするのがお得意ですが、実際にはいろいろな言い訳を付けて、何も悪びれる様子もなく微調整を繰り返し、気が付けば何ら行動が伴っていないというのも、また皮肉な現実だと思われます。

私も様々な交渉に携わる機会を頂きましたが、ほぼ毎回、欧州が「~すべき」と原則論を盾に高い理想を掲げ、口火を切って非常に景気の良い目標を掲げる度、額面通りに評価してはいけないと言い聞かせ、欧州の交渉担当者の変心を織り込み済みで、解決策の提案を行ったり、条件付きの合意(contingency contract)を締結したりしてきました。

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欧州が果たしている「ブレーキをかける」という役割

しかし、欧州の存在は、交渉においては非効率であるものの、例えば今回のアメリカとロシアの間で起草された“ウクライナ”に関する合意案・和平案のような無茶ぶりに横やりを入れ、“解決策”が著しく当事者間のバランスを欠くようなことにならないように口出しをすることで、ロシア・ウクライナ戦争の停戦・和平合意の交渉が“ウクライナの実質的な消失”に繋がらないようにブレーキをかける役割を果たしていると考えています。

もちろん、欧州の行動はただの良心や恵まれているものの余裕に起因しているのではなく、欧州には欧州なりの利害が十分に絡んでいます。

ウクライナがロシアからの侵略の前に崩壊することは、欧州全域をロシアからの直接的な脅威に晒すことに等しいため、欧州地域全体の安全保障という観点からも、ロシアがウクライナをはじめ、周辺国に対して領土的な野心を持つことができないようなシステム作りが必要になります。

よく「ウクライナを欧州防衛のための緩衝地または盾として用いるつもりだ」と、欧州がロシア・ウクライナ戦争の停戦・和平にコミットする意図を非難する声も聞かれますが、100%それが間違った認識ではないにせよ、原理原則として主権国家を武力で蹂躙するという国際法違反を咎めるという法の支配の徹底と、国際秩序の維持という大事な要素もあると考えられます。

ゆえに、欧州の調停官仲間によると「欧州の行動および発言の軸となる要素があるとすれば、それは“このディールが公正かどうか”ということ」だそうです。

それゆえ今、アメリカとロシアが、ウクライナ(と欧州)を除外する形で、ウクライナ(と欧州)の運命を決めようとしていることに反感を抱き、和平協議および案が“まとまった”という情報が入ると、疎外された者同士、ゼレンスキー大統領を囲んで、ウクライナの戦いの後ろ盾であることを強調し、トランプ大統領とアメリカ政府に対して修正案を突き付けるという行動を繰り返しています。

「アメリカは欧州を重要な内容を決める協議の場に参加させないにも関わらず、資金的な援助や軍事的な援助の内容や方向性などを勝手に決めて押し付けてくる。これは決してフェアだとは言えず、欧州としては到底同意できない」

表向きは恐らくこう言うことなのだと思いますが、欧州が不快感を示す理由として考えられる要素として「戦後復興におけるウクライナにおける権益をアメリカが独占するのではないか」という猜疑心の存在があると思われます。

戦後復興プロセスについては、かつてのアフガニスタン復興の知見と経験を活かして日本も主導的な役割を果たすと期待されていますが、トランプ大統領が“停戦”や“和平”を語る際、その案には必ず【復興事業へのアメリカ企業の参加】や【レアアースやエネルギー資源の開発と権益に対するアメリカのシェア】の内容が含まれていることに鑑み、欧州の“仲間”曰く、「アメリカの目的は、和平の実現というよりは、権益の確保と拡大であり、それが達成できるのであれば、戦争の結果にはあまり関心がない」という認識があるのだと考えます。

それが意味するのが、「分け前をよこせ」という欲に絡んだものなのか、それとも欧州各国が主張するように「ロシアの蛮行により失われた正義をウクライナに取り戻すことが優先」というきれいごとなのかは分かりませんが、理由はいかなるものであったとしても、ロシア・ウクライナ戦争の停戦合意はどんどん先延ばしになっています。

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ウクライナと欧州を脅し大きな妥協を迫るトランプ

この状況を高みの見物で喜びながら眺めているのが、戦争の当事者であり、それでありながらアメリカと密室で“和平”協議を行うロシアとプーチン大統領でしょう。

トランプ大統領が一刻も早くロシア・ウクライナ戦争の停戦を成し遂げて、米中関係または中東問題にフォーカスを移したいことを理解し、ロシアは自国に有利な条件を“絶対条件”として掲げ、欧州からの横やりを「和平に対する妨害」と非難し、トランプ大統領に欧州各国の説得または威嚇をさせて、ロシアはその間に“停戦”などどこへやら、前線での攻勢を強め、支配地域の拡大に勤しんでいます。

欧州各国が「次は自国がロシアにやられるのではないか」という疑心暗鬼になり、口先ではロシアに厳しい内容の非難を行っていても、実際には何ら行動できない現実を見透かし、プーチン大統領やクレムリンによる威嚇の矛先は欧州に向いています。

プーチン大統領は「ロシアは欧州を攻撃する意図は全くない。それを書面で示して、欧州と取り交わしてもいい。しかし欧州が戦争を望むのであれば、ロシアは受けて立つ用意が整っている」と、どう捉えたらいいのか迷うようなメッセージを突き付け、事実上、欧州各国を欧州に釘付けにし、かつEU内での対ロ姿勢を分裂させることに寄与しています。

欧州各国が、トランプ大統領から突き付けられた要求に沿って、ロシアからのエネルギー資源の輸入や調達を止めたり、グリッドの接続を切断するなどのパフォーマンスを行ったりしてロシアに圧力をかけているアピールを行っていますが、内心では「アメリカは恐らくウクライナを見捨て、欧州を裏切って、ロシアと手を結ぶのではないか」という疑心暗鬼が生じていると同時に、どこかで、でもかなり確信に近い感覚で「ウクライナはロシアには勝てない」という見立てが強まっていることから、ロシアをあまり真正面から刺激することを躊躇する動きも強く、それが欧州の中途半端なロシア対応の姿勢に繋がっているのだと考えます。

結果として、トランプ政権は欧州抜きでのディール・メイキングをより好むことになり、それがウクライナも欧州も除外し、ロシアとアメリカの間でウクライナ(と欧州)の運命を決めてしまおうという傾向が強まることになります。

とはいえ、いろいろな情報を包括的に見てみると、トランプ大統領はあまり欧州との密接な関係の維持には関心がなく、どちらかというとアメリカのお荷物的な印象を抱き、力による国際秩序体制の構築を願って、ロシアや中国とのディール・メイキングに重点を置いているように見えてきます。

今週に入って、トランプ大統領はゼレンスキー大統領(と欧州首脳)に対して、「話し合いの場に参加し、かつ決定に加わりたいのであれば、米ロ案の修正案に対して受け入れ可否の意思表示をせよ」と要求を突きつけ、「これ以上、解決を自ら遅延させるのであれば、アメリカはもう仲介から手を退く」と脅しも行って、大きな妥協を迫っています。

その結果、ゼレンスキー大統領はずっと要求し続けてきたNATOへの加盟を追求しない旨表明し、その条件として「ウクライナが再度侵略されないための安全の確保」を挙げています。アメリカ政府もこの“安全の確保の提供の用意がある”と述べていますが、“安全の確保”が具体的にどのような内容を指すのかは不透明で、まだ“具体的な進展”が期待できるかどうかは分からないのが正直な感覚です。

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「一体誰と誰の間の停戦なのか?」という素朴な疑問

ロシアが譲らず、トランプ大統領も支持していると言われている【ドンバス地方のロシアへの割譲および当該地域からのウクライナ軍の撤退】(ゼレンスキー大統領はこれについては受け入れ不可と明言)に絡めて、【ドンバス地方をロシアとウクライナ間の緩衝地帯にして、自由経済圏にする】という案が現在、落としどころとして検討されており、欧州各国も、一枚岩ではありませんが、この案に前向きな反応を示していることから、「停戦が近く実現するのではないか」との根拠なき期待感が高まっていますが、注意すべきは、当事者たるロシアもウクライナもこの案にはコメントしておらず、「一体誰と誰の間の停戦なのか?」という素朴な疑問が湧いてきてしまう状態が放置されていることです。

一応、この案は近々、米ロ間、およびアメリカとウクライナ・欧州各国との間で協議される予定とのことですが、今週行われたベルリンでの事務レベル会合では議論が紛糾したとのことで、トランプ大統領が求める“クリスマス停戦”の成立見込はかなり低いものと思われます。

そしてその認識はプーチン大統領にも共有され、ゆえに発言が過激化し始めているように見えます。停戦の可能性を仄めかしつつ、戦後復興の要素として挙げられる平和維持部隊の中にNATO諸国の部隊が加わることはロシアへの挑戦と受け取らざるを得ないと牽制し、どのような構成にするかはロシアの承認を経る必要があるというように、事実上、成立しないような条件を掲げて牽制しています。

その認識を受けてでしょうか。欧州各国でも対応が分かれ始めています。

EUとしては早期の停戦を求め、ウクライナ問題を優先課題として扱う旨、明言していますが、停戦が仮に成立した場合の平和維持軍への各国部隊の派遣については、対応がまちまちです。

すでにイタリアのメローニ首相は「イタリア軍の参加はない」と明言し、ドイツのメルツ首相は「ドイツ軍の参加については要検討」と言葉を濁し、英国のスターマー首相やフランスのマクロン大統領などは、平和維持部隊の必要性及び協力の意思については繰り返し発言するものの、参加の有無や時期については明言せず、この平和維持部隊のアイデアもトーンダウンし始めています。

しかし、この国際平和維持部隊の設置及び配置は、ウクライナの安全の保証と確約には不可欠な要素であり、アメリカは部隊の参加には極めて消極的で、欧州に負担を強いる考えであることから、欧州が退くのであれば、その効力と実用性は崩壊するものと考えられます。

ここでもまたプーチン大統領の戦略が勝っているというイメージを抱きます。

トランプ大統領をプロセスから切り離すか否かの瀬戸際でのやり取りを継続し、欧州には脅威をアピールして対応を分裂させて骨抜きにさせ、ウクライナを相手にしたりしなかったりと揺さぶりをかけ、ひたすら当初からの姿勢と要求を頑なに突きつけ、何ら妥協・譲歩することなく、ウクライナ、米国、欧州などに一方的に譲歩させるという、旧ソ連時代からのお得意の交渉スタイルが、このところ見事にはまっているように見えてきます。

こうなると、ウクライナが突然、根負けして屈辱的な結果を受け入れるようなことがない限り、戦争が終わることなく長期化し、欧米諸国の関心とコミットメントが低減し、ウクライナが孤立を深め、自滅していることも予想されます。

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思いがけず表出しかねない「制御不能」な国際情勢

もしウクライナが自滅して戦争がロシア勝利で終わるようなことになれば、現在、存在している負のバランスが崩れ、予期せぬ事態が表出する可能性があります。

現在、ロシア・ウクライナ戦争の戦況が停滞し、前線では一進一退の攻防が続く中、ロシアは中東の不安定な情勢にも介入して影響力を誇示し、インドと結ぶことで中国とのバランスを図ろうとし、シリアのシャラア政権と和解して関係を修復して、ロシアのアフリカへの進出拠点を復活させ、アメリカがベネズエラに難癖をつけ、武力行使も辞さない姿勢を示したら、かつてのキューバ危機のように、ベネズエラを防衛する意図を示して、アメリカの裏庭にさらなる緊張を作り出すことで、ロシアの影響圏へのアメリカのコミットメントを弱めようとする動きを取ることで、それぞれの間での微妙なバランスが保たれているように見えます。

もしどこかの戦い・要素が終焉するようなことがあれば、このデリケートなバランスが崩れ、それが戦争の拡大と飛び火に繋がり、思いがけず制御不能な国際情勢が表出することも考えられます。

例えば、すでに緊張が極限まで高まり、イスラエルとアラブ諸国の対立のみならず、ついにはトランプ大統領も自らの和平合意の履行をイスラエルが邪魔するのであれば、イスラエルを切り離すとの強い警告をネタニエフ首相に投げつけたことでイスラエルの孤立が鮮明になり、それがイスラエルをextremeな方向に押し、武力をもって周辺国を抑えつけるという行動に押しやるかもしれません。

それは中東アラブ諸国の対イスラエル宣戦布告に繋がり、核保有国パキスタンを巻き込んだ核の対峙が起こるだけでなく、中国やロシアの中東へのさらなる介入を招き、そこにワイルドカードとしてのトルコが参入することで、中東・西アジアは火の海になります。

それが中央アジアに飛び火すれば、止まったはずのロシア・ウクライナ戦争が再燃しかねませんし、回廊を伝って南アジアに飛び火すれば印パ間の対峙が再燃し、それが東南アジアに飛び火してすでに過熱しているタイとカンボジアの戦いの火に油を注ぐことになってしまいます。

そしてアジアの不安定化は中国を刺激し、中印間の緊張が極限まで高まるだけでなく、南シナ海の制海権を巡る争いが制御不能に陥ることも考えられます。

そして南シナ海が火の海になれば、広くアジア太平洋またはインド太平洋地域の緊張が高まり、中国・アメリカの出方次第では、日本も確実に争いに巻き込まれることになります。

またアフリカ方面に広がる戦いの火は、すでに不安定化している東アフリカに飛び火し、スーダンの内戦を激化させ、それがすでに勃発している西アフリカから中央アフリカに至るクーデターベルトを通じてアフリカ全土を巻き込んだ戦いが起こることになるかもしれません。

これらはあくまでも最悪のシナリオを想定したお話しなのですが、全くの妄想で馬鹿げていると片づけてしまうにはあまりにも危険極まりない状況が存在することもまた事実と言えます。

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世界の今後を占うため重要となる日本の立ち振る舞い

【もう世界の警察官として紛争を強引に収めに行こうとしないアメリカ】

【いろいろなところに手を出していても、かつてほどの影響力をまだ行使できないロシア】

【超大国化し、アジアを席巻している中国は、世界的な支配の野心は持っておらず、直接的に武力を用いて事態の鎮静化を行うつもりがない状況。しかし、制御不能に陥りつつある中国人民解放軍と中国共産党との確執の表面化】

【影響力の著しい没落に恐れを抱き、もがきながらいろいろと口を出してみるものの、行動が伴わず、危機の救世主とはなり得ない欧米諸国】

【欧米中心の国際秩序にNOを突き付けるという共通の方向性は共有しても、決して群れることなく、実利主義の下それぞれの道を行くグローバルサウス諸国】

【暗い歴史と酷い矛盾を今こそ正そうとするアラブ諸国と、地域における一強となり、力への過信と歴史的な宿命に駆られて対立を生むイスラエルとの間で高まる究極の危険な緊張】

【そしてpost-colonialismの体制が崩壊し、再び戦いの大陸と化しているアフリカの混迷】

【トランプ大統領のアメリカが回帰するラテンアメリカ諸国への圧力と、再燃する反米抵抗の動きが作り出すカオス】

【既存の主権国家体制を脅かし、分裂を生み出す非政府組織の過激化と興隆】…。

安定と安寧のために皆同じ方向を向いて進み、協調を高めていた第2次世界大戦後の国際秩序は崩れ去り、各国がそれぞれの利害に基づいて判断し行動するブロック化の時代への回帰と、力がものをいうパワーポリティックスの顕在化が見て取れます。

分裂が進む中でも、これまで培ってきたglobalismによる網は、当初の思惑とは逆に、各国間の相互不信とエゴを伝える道具になってきていると考えます。

大国と呼ばれる国々や地域が【世界秩序の構築と維持】のために掲げるべき共通の軸や理念が存在しない中、世界はいつドミノ的に崩れてもいいような緊張と不安に溢れた場所になってきているように感じます。

そのような中、日本はどのように振舞い、どのような役割を果たすのでしょうか?

私たちが感じ思っている以上に力があり、世界からその一挙手一投足が注目されている日本の立ち振る舞いと戦略は、今後の世界の有り様を占うために重要な要素となると考えています。

来週にはクリスマスやハヌカのお祝いがあり、気が付けば今年も終わりを迎えようとしていますが、多くの深刻な揉め事と、答えを見つけなくてはならない宿題は、どうも来年に持ち越されることになりそうです。

以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。

(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2025年12月19日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)

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image by: Drop of Light / Shutterstock.com

島田久仁彦(国際交渉人)この著者の記事一覧

世界各地の紛争地で調停官として数々の紛争を収め、いつしか「最後の調停官」と呼ばれるようになった島田久仁彦が、相手の心をつかみ、納得へと導く交渉・コミュニケーション術を伝授。今日からすぐに使える技の解説をはじめ、現在起こっている国際情勢・時事問題の”本当の話”(裏側)についても、ぎりぎりのところまで語ります。もちろん、読者の方々が抱くコミュニケーション上の悩みや問題などについてのご質問にもお答えします。

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