昨今流行りの「褒めて育てる」という考え方。この育児法、アメリカ式というそうなのですが、実は大きな落とし穴が潜んでいるとか。無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』では、何が問題なのか、そしてどう子育てすべきかが詳しく紹介しています。
アメリカ式と中国式
さて、本日は自然に培われるしかないもののお話。
子供を育てていくとき、どんな親だって自分のやり方に疑問を持ちます。だって子供ができる前には、誰だって親じゃなかったんだから。はじめから親が親だと思っているのは、子供だけよね(苦笑)。
特に最近では「褒めて育てよう」という考え方が出てきていますね。日本では、長い間疑いもなく叱って育てる教育方法がとられてきました。その間には文字通り過剰としか表現しようのない厳しい叱責や制裁が加えられてきてしまいました。子供のためを思って親がしたことが裏目に出てしまうなんで悲しいですが。
その悪影響はオトナになってからも引き継がれ、まさに「どうせ私なんか」が口癖のヒトがたくさんいるように思います。痛ましいかぎりです。自分で自分にダメ出しし続けるのは、苦しいものです。さんざん自分にダメ出ししてきたので、よく分かる(苦笑)。
子供の教育の仕方として有名なのが「褒めて育てる」と「叱って育てる」です。あ、誤解のないように言っておきますが、「褒めて育てる」方法で叱ったり罰を与えたりしないわけではないですし、その逆もしかりです。ただ、「褒める」「叱る」のを他方に比べて重視しているということです。各々
- 褒める教育方法をアメリカ式
- 叱って育てる教育方法を中国式
と言うんだそうです。歴史的に日本は中国の影響を受けてきましたから、伝統的に中国式の教育方法がとられてきたわけですね。で、最近になってアメリカ式が浸透してきたと。日本人の自己否定感の強さは、国際的に見ても異常なほどなので、その反省から褒める教育にフレてきているんだと思います。
そこで、現在お子さんを教育中のアナタにあえて言いたい。「むやみに」褒めるのは止めた方がいい。「むやみに」ってトコがポイントです。
教育は、すぐに結果がわかるようなものじゃナイですよね。何十年も追跡調査をして初めて、ある教育方法が有効だったのかどうかがわかるんです。その意味で日本では、まだアメリカ式に褒めて育てられた子の調査はありませんが、アメリカではこの教育方法によって育てられた子がすでにある程度の年齢になっているんですよ。非常に自尊心の高い人間に育ったんです。どんな大人に育ったと思います?
- 理由なく自信満々
- ミスを認めない
- 尊大に振る舞う
イワユルひとつのゴーマンくんに育ったんです。なんてこったい。もともと
- アメリカ式では子供に自尊心を与えること
- 中国式では自制心を養わせること
を目的としていました。いずれも子供が将来幸せに生きていけることを願ったものです。そりゃそーだよね。そして、これらふたつの教育方法が追跡調査された結果、幸せになるために必要なものとして「自制心」に軍配が上がったんです。極論ですが、褒めるより叱るほうが教育方法として優れていたということです。
叱りすぎはもちろんイケナイでしょう。でもそれと同じように褒めすぎるのもダメなんですよ。それはむやみに叱るのとオンナジです。ベクトルが違うだけでね。理由なく褒められれば、子供は何もしなくてもイイと勘違いするだけで努力しなくても何かを達成しなくてもイイと考える子に育つだけですよ。アメリカに増殖したゴーマンくんたちと同じように。
それならどうやって自尊心を与えるのでしょうか。もともとアメリカ式が目指したものは、子供に自尊心を与えることでしたからね。褒める以外に何か方法があるんでしょうか。特に日本のように自尊心が低い民族にとってはナオサラ重要な点ですよね。
そこで自尊心ってモンをよくよく考えてみるべきだと思うんです。自尊心を辞書で引いてみると
「自分の人格を大切にする気持ち」
とあります。自分で自分の人格(品性とか人間性とか自信とか言い換えてもOKだと思われますが)を「すごいな(☆_☆)♪」と思うってことでしょう。「自分で」自分のことをすごいと思えるって、じゃあ「他者に」自分のことをすごいと思ってもらえたときは、どうなんでしょうか。多分、「自尊心が育まれることはない(◆_◆)」んだと思います。まあ、私の考えですが。
褒めてくれるのが自分なのか他者なのかということが、決定的に違うと思うんですよ。
この話の本質は、自尊心の根拠が「他者承認にあるのか自己承認にあるのか」というところだと思います。他者にスゴイと褒めてもらえた、他者から与えられる賞賛、それを他者承認というのですよ。ところが、(ご存じのように)これはカンタンに覆るものです。誰かが褒めてくれても他の誰かは褒めてくれないということはよくあることですし、昨日は褒めてくれたけど、今日は無反応ということもよくあることです。だから、そこに自尊心の根拠を求めてしまうと、とても不安定な自尊心になってしまうでしょう。もっと安定した、堅固な根拠が欲しいモンじゃないんでしょうか。
つまり、誰からも奪われることのないもの、「自己承認」によってこそ、自尊心は育まれるのだと思います。そして、自分で自分を「私は結構スゴイのよ」「おれはできるヤツなんだ」と思えるのは、結局「過去に成し遂げたことを自分で知っているから」です。言ってみれば、実績という根拠があるということです。
- 毎日玄関を掃除した
- 日記をずっとつけている
- 小学校の6年間は皆勤賞
- 宿題の提出期限を破ったことはない
- 3年間一度も部活を休まなかった
…こういう、ささやかだけどやるとなったら結構タイヘンなことをちゃんとやった! と自分で知っていることです。他者が褒めてくれなくてもきっと自分のことをすごいと思えるでしょう。
もしこのように自尊心の根拠が自己承認にあるなら、真に必要な教育とはその子の発達レベルに応じた「課題を設定してそれをやり遂げさせること」だと思います。やり遂げたら、派手に褒めてあげてくださいね。お子さんの顔が赤くなって鼻のアナが広がっちゃっうくらい(笑)。調子に乗ってもソコはOK。高くなった鼻をへし折られるような出来事は、生きていればすぐにまた起こるから。
自分を信じる気持ちは、自分で養う。それは他者から与えられる賞賛では育たないものなのです。
image by: Shutterstock
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