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いじめ調査でも役立たずか。教育の現場にも「第三者委員会」の悪影響

熊本県で2013年に起こった高校生の自殺事件。その第三者委員会の初会合が事件から約3年後に開かれたというニュースが話題となりました。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では、この事件の調査は「学校側が意図的に結論を先送りし続けたのでは」と指摘、教育の現場の隠蔽体質を厳しく批判するとともに、第三者委員会のあり方についても苦言を呈しています。

捏造もありえる? 学校主体の調査委員会

先日、「熊本・高1自殺事件の第三者委員会の初会合が開かれた」というニュースが流れました。寮内でからかい、LINE(ライン)による脅迫、ほかにも勝手にスマホを使われたり、アルバムに落書きをされるなどのいじめを受け、うつ状態に追い込まれた女子生徒が自殺した事件です。学校調査委員会は今年の2月にいじめがあったことは認めたものの自殺との因果関係を認めなかったことで、ご遺族が再調査を求めたことを受けて開催されたものです。

この事件は、2013年8月に起きた事件です。亡くなって3年が過ぎようとしています。ひどすぎるとしか言いようがありません。すでに、当時の加害者の記憶も曖昧になってしまっているでしょうし、見ていた子たちも卒業しています。学校が、意図的に結論を先送りし続けた可能性も捨てられません。「ここまでして隠蔽するのか」というのが正直な感想です。

資料が公開されているわけではありませんから、もしかしたら間違っているという可能性もありますが、いままでのいじめ相談の経験からはニュースの裏側に隠れているものがあるように思います。実際、いじめ被害者が情報開示請求によって手にした資料を見ると、被害者から見れば、まったくの捏造と思われる記述がなされていることがよくあります。しかも、私たちの事案では、訂正を依頼しても教育委員会に、まったく受け付けてもらえなかったこともありました。

このような経験からすると、「学校の調査委員会」ですから、学校の恣意の入った文書が資料として提供されているということも考えられます。真実をあきらかにすることが、第三者委員会に課せられた使命であるはずです。ならば、その資料を遺族に公開し、反証を受け付けなければなりません。しかし、現実には第三者委員会の会合に遺族が参加することは許されず、委員に提示された資料も遺族は閲覧できません。しっかりした委員が選出されれば違った結論になることもありましょうが、大半は学校側が意図した結論に誘導されてしまう可能性が高くなることだろうと思います。

いじめ自殺事件は後を立ちません。ぜひ、第三者委員会を所管する教育委員会には、しっかりと遺族にも情報を開示し、遺族側の意見にも耳を傾ける姿勢を持っていただきたいのです。

また、保護者としては、事件が起きてから第三者委員会が設置されるまでにこれほどの時間がかかるということを知っておいていただきたいと思います。結局、大きな事件になってからでは解決が著しく困難になるということです。「早期発見・早期解決」を念頭に、日頃の子供たちの生活や態度に気を配ってあげてください。

先日の相談電話でも、「もう少し早くこちらを知っていたら苦しめなくてすんだのに」と泣かれていたお母さんもいらっしゃいました。少しでも不安に感じましたら、ご相談ください。私たちはいじめに悩む子供たちを救いたいのです。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
代表 井澤 一明

image by: Shutterstock

 

いじめから子供を守ろう!ネットワーク
「いじめ」と学校の「いじめ隠ぺい」から、子供たちを救うための、父母によるネットワークです。いじめの実態やいじめ発見法、いじめ撃退法、学校との交渉法、いじめ相談などを掲載します。
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