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ここも東京。一度は行きたい絶海の孤島・青ヶ島の「天然サウナ」

元『旅行読売』編集長・飯塚玲児さんのメルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』。今回は日本一人口の少ない村としても有名な、東京の孤島「青ヶ島」の天然サウナに飯塚さんが入りに行った際のレポートをお送りします。行くのはとても大変だけど、他では絶対にできない経験ができる島。一度は行ってみたいと思いませんか?

東京の孤島の温泉取材秘話

なんか、ここ数日で急に冷え込んできた気がする。

どこか温かいところの温泉ネタがないかなぁ、と考えていたとき、伊豆諸島の南に浮かぶ秘島青ヶ島の温泉のことを思い出した。

そんな島に温泉があるのかと思うかもしれないが、あるんだな、これが。

ただし、お湯ではなくて温泉蒸気である。 温泉法の定義では「地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気その他のガス……」とあるので、お湯でなくても温泉なのだ。

そんな約60度の地熱温泉蒸気が満たされたサウナに入れる施設が、『青ヶ島村ふれあいサウナ』である。 男女別のサウナのほかに、内風呂(これは真水を湧かしたもの)もあり、シャンプーやリンスもそろっている。

施設の裏手に「蒸し場」があって、10年ほど前に取材に行ったときには、ここの温泉蒸気でジャガイモやくさやを蒸し、島の名産品ひんぎゃの塩」で味わった。 くさやはあの強烈な臭みがまろやかになって、しかも旨味は増しているという具合で、非常においしかった。 温泉蒸気はエラい。

しかしこの青ヶ島、行くのが結構大変。 まず八丈島まで行き、そこから船(約3時間)かヘリコプターで行く。 ヘリは確か30分もかからなかったと記憶しているが、何と大人片道が1万円以上もする。

仕事でなかったら乗れないな。

船が着く港はすごい断崖の下にあって、ぐねぐね道を車で下りていく。

その途中、海から50メートル近く上のところに、どういうわけか漁船が置いてある。 これくらい上げておかないと台風のときに波にさらわれるらしい。

島内の公共交通機関は皆無 レンタカーを借りるか歩くしかない。 ちなみにふれあいサウナは港から徒歩30分。 あの急坂を登っていくことを考えると、ぞっとする。 取材の時は町の観光課の人が付いてくれて車で巡った。

それに、何たってこの島は番地がないのだ。 当時のことだが、民宿6軒、居酒屋1軒、商店1軒、タバコ屋1軒しかなかった。 むろん役場などはあるんだけど、住所はすべて東京都青ヶ島村無番地で着く。 すごい。

こんな秘境の島の温泉にも入っているとは、我ながらたいしたもんだと思う。

で、その取材時のこと。 この島に撮影の仕事で行ったわけだが、運悪く台風が近づいていた。 台風が上陸したら、完全な絶海の孤島になってしまう。

同宿した民宿の客(ドコモの工事の人)の話では、2週間近く閉じ込められたこともあるとか。 そんなことになったらほかの仕事が何もできない。

帰りのヘリを待つ間、天候連絡官(これ、先の観光課の方が兼務していた)に取り入って、まあ、完全なウソみたいなもんだが、

視界は2キロ以上と言ってください!!

と懇願したことを覚えている。 スゴい島だったが、温泉は快適だった。

ネット情報で、最近、港の待合所の屋上に、自分でコックをひねって出すタイプのポリバス温泉があるということを見かけたのだが、役場のHPにはそのことはまったく触れられていない。 また確かめに行きたいなぁ。

その時は閉じ込められてもいいように、たっぷりのお酒と釣り道具を持って行くことにしよう。 仕事ができないというのも、悪くない気もするし。

釣った魚で酒飲みまくり。 現地で買うとすれば「青酎」だな。 ふふふ。

 image by: Wikimedia Commons / 海上保安庁海洋情報部ホームページ

 

『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』より一部抜粋

著者/飯塚玲児
温泉業界にはびこる「源泉かけ流し偏重主義」に疑問を投げかけた『温泉失格』の著者が、旅業界の裏話や温泉にまつわる問題点、本当に信用していい名湯名宿ガイド、プロならではの旅行術などを大公開!
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