巷で話題の映画「君の名は。」を心理学者の目線で分析した記事「映画『君の名は。』実はエロスを象徴?心理学者が裏から読み解く」が反響を呼んだ、無料メルマガ『あとがきのあとがき 心理学者/中西康介』。前回に続いてお送りするのは、著者の中西さんが映画の中で発見したという「サブリミナル効果」と、そこに隠された「エロス」について。もう一度、この映画が観たくなること間違いなしです。
続『君の名は。』論
前回投稿から読者数が一気に6人も増え、過去最高の発行部数に。
自分の予想とは真逆の現象が起きました。
前回の記事で「君の名は。」のジャンルを「シンボリック・エロス」と定義しました。
今やあの映画を観たことがない人と出会うほうが珍しいぐらいあの人も、この人も「君の名は。」を観たと言います。(ほとんどカウンセリングを受けている方です)
はっきりとした傾向を掴みました。
1、「すごく良かった!」という人は大抵、性的な抑圧が強いか性的欲求不満の人である
2、「すごく良かった!」という人に「何が良かった?」と聞くと曖昧な答えしか返ってこない
3、 しつこく聞くと「映像とか音楽とか・・」と言って中身の話が出てこない
「すごく良かった」というのは嘘ではないだろうが具体的に何が良かったのかを説明しにくいのがこの映画の特徴であり、その現象こそ、この映画のジャンルがシンボリック・エロスであることをしっかりと裏付けている。
「サブリミナル効果」を御存じでしょうか。
今は禁止されていますが昔は映画館でよく使われていて人間の目では追い切れないコンマ何秒だけ「コーラが飲みたい」という文字を流すと無意識にコーラを買ってしまうという現象です。
私は「君の名は。」にもサブリミナル効果が使われていると断言します。
いや、厳密に言うとコンマ何秒とか瞬間的なものではなく堂々と商品名も飲んでいる姿も出ているためサブリミナル効果のような反則技ではありませんが観た人の潜在意識に働きかけている点では同じことだと思います。
はっきり言います。
「君の名は。」を観た人は「『口噛み酒』を飲みたい」という欲求に支配されている。
「心がとても渇いている。口噛み酒が飲みたい。」
だからリピーターもいるし人に勧めてしまう。
ただし人に勧めている人をよく観察すると若干照れているのに気づく。
おそらく自分が渇いていることに対する恥じらいがあるのだがもちろんそのことを意識のうえで自覚することはできない。
それどころか「観ましたよ」という人に「口噛み酒はエロスの象徴でしたね」という言葉をかけてみると「何でしたっけ?それ」ぐらいの反応が返ってくる。
あの映画を観て感動した人間が口噛み酒を覚えていないとは如何なることか。
そこまでエロスが抑圧されているのか。
両性具有性はおろか男性でも女性でもなくなってしまった人がこんなにも大勢いるのか。
まずは自分の性別としての機能を果たさなければ両性具有という人類の最終目標への到達可能性は完全に見えて来ない。
調べたところ口噛み酒は、実際に存在するらしく自分で造ることもできるらしい。
既にファンの中には自宅で口噛み酒を造り始めている人もいるのかもしれない。
しかし、そんなものを誰が欲しがるだろうか。
口噛み酒を自分で造る行為は自分を慰める行為と同列に位置する。
口噛み酒は自分で造るよりもエロスを投影できる対象に造ってもらいそれを大事に頂くべき類のものではないか。
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著者/中西康介(心理学者)
「相手の歴史を聴く」そういう聴き方をなるべく専門用語を使わずに紹介しています。相手の話に本当の意味で「共感」できた時もはや何の理論も技法も必要なくなります。サイドメニューとして時事ネタ・芸能・ビジネス・スポーツなどからも「対人関係に活かせる心理学」をお伝えします。
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