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【続・対談】ステーキけん井戸社長VS藤沢数希「受験戦争も悪くない」

生き馬の目を抜く飲食業界で若くして成功を収めた、「ロードサイドのハイエナ」こと井戸実。そして、独自の恋愛メソッド「恋愛工学」の提唱者として、男性から絶大な支持を集める藤沢数希。人気メルマガ発行者であるお二人が「ショーンKは1万人に1人と逸材だ!」「ぜひ雇いたい!」と盛り上がった対談の後編をお送りいたします。前回の対談に続き、日本の受験教育や学歴などについて興味深い激アツトークを繰り広げています。怒涛の後半戦スタートです。

藤沢さんが説く「日本式受験教育」の利

藤沢:今回のアメリカ進出が軌道に乗ったら、家族ごと引っ越したいってことだけど、井戸さんとこのお子さんって、小学生ですよね? それぐらいの年代から向こうに住めば、日本語も英語もできるようになりますよね。

井戸:そうだよね。うちはいい大学に入れたいとかあんまり考えてなくて。とりあえず英語ぐらいできるようにしておこう……っていう感じなんですよ。日本語と英語ができてそれでいて寿司が握れればもうそれだけでいいよっていう話なんですよね、うちは。

藤沢:英語ができて、寿司が握れたら、まず、食いっぱぐれないよね。

井戸:そうそう。

藤沢:あと、日本の大学入試でも、英語さえできれば受かっちゃうから、ほとんどの文系は。だって、慶應とか早稲田とか上智大学とかでも英語1科目で受けられるからね。だから、帰国子女でちょっと英語さえできちゃえば、受かっちゃうんですよ。

井戸:でも、受かっちゃうのは受かっちゃうでいいと思うんですけど、問題は卒業したあとの話で……。

藤沢:確かにね。要するに、いい会社のサラリーマンになりたい人のためのキャリアパスなんですよね、受験、受験っていうのは。

井戸:そう。……でも、すごく頑張って、早稲田とかを卒業して、たとえば大手ビール会社に入って営業マンになるじゃないですか。で、40歳ぐらいでようやく課長ぐらいになると。

藤沢:現実的な話ですね。

井戸:人気企業に入って、出世競争に勝った人たちでも、結局はそれぐらいじゃないですか。

藤沢受験勉強して会社で出世競争してようやく40歳で年収1000万にいくかいかないかみたいな。

井戸:で、俺らのような居酒屋の社長かなんかにペコペコしなきゃいけないとか、どうかと思うんですよ。……もちろん俺は営業の人を超リスペクトしてるんで、絶対に横柄な対応はしないですけど。

藤沢:でも逆に、みんながみんな井戸さんみたいに飲食店を経営して、成功するわけじゃないですからね。

井戸:そうですね。でも逆に、飲食店ぐらいでも、こんだけ成功できるんだから、他にも何でも商売ってあるじゃないかって話ですよ。

藤沢:ただ、そうは言ってもね、子どもって自分で何か考えて行動に移すワケじゃないですから。多分、95パーセントぐらいの子どもは親とかから何もプレッシャーを掛けられなかったらただずっとYouTubeとか見てて家でゴロゴロしてそれでおしまいなんですよ。

井戸:まさに、うちの子どもがそんな感じだな(笑)。

藤沢:毎日YouTubeを見て、学校行って授業をポカーンと受けて、分かったような分からないような感じで帰って来て、それでまたYouTube見て、ポケモンしたりして……ていうのが、95パーセントぐらいの子ども。本人が自覚を持ってやりたいこととか探して、手に職を付けてくれればいいんだけど、たぶん100人のうちの95人ぐらいの子どもは、ただYouTubeをポカーンと見てるだけなんですよ。そう考えると、塾とかに入れてプレッシャーを掛けて受験勉強させるっていうのも、確かにベストなものではないかもしれないけど、それはそれで悪いことではないなって気はしますね。現実を見てると。

井戸:ただ、慶應や青山の初等部に入れて、そこから大学卒業まで行ったときの、要はコスト考えると……。

藤沢:小学校受験はまた、別の話ですけど。それに、コストといっても、年間100万円ぐらいだから、いうほど大したことないですよ。

井戸:いや、年間って授業料だけじゃなくて、入学費とか通学の交通費とか、そういう細かい話があるじゃん。大学卒業するまで。

藤沢:2000万円ぐらいかな。

井戸2000万ぐらい掛かるでしょう。

藤沢:でも、そうとはいえ、日本はやっぱり、受験勉強のためのいろんなインフラが整っているわけですよ。競争する環境とか、みんなで集まって勉強する環境とか。で、それ以外の道だと、全部親がお膳立てするか、子どもが自覚的に自分でやるか、どっちかしかないんですよ。そっちのほうがある意味大変なんですよ。受験勉強というゲームをする場所っていうのは、もう日本ではちゃんと作られているわけでね。塾とか模試とかね。競技人口が多いから、割りといいんですよね。

井戸:なるほどね。

井戸実氏

藤沢:そこにみんなが集まってやる。そういうとこに入れて、ペシペシとやってれば、ある程度は知識も付くし、英語とかもまあそれなりに身に付くし、それはそれで、楽でいいんじゃないかなって気はしますね。たぶん井戸さんなんかは、飲食店を経営したいってことで、いろんなことを自分で勉強してきたと思うんですよ。でも実際は、そういう人はほとんどいないんですよ。みんなずっと1日10時間ぐらいYouTubeを見てそのまま20歳になりますからふつうの子どもは

井戸:うちの子どもにも、日本で受験をさせたほうがいいってこと?

藤沢:いや、井戸さんの家は別に、英語ができる寿司職人というのがあるからいいと思うんです。でも、やっぱりほとんどの家庭では、受験というか、そういうインフラが整ってることをやらせたほうがいいんではないか、と。そうじゃなければ、本人にたまたま才能があってやる気もあることに賭けるか、親が頑張って導くかどっちしかないわけだから。

井戸:確かにね。俺自身は子どもの将来に対して、どちらかというと無関心なほうだと思うんですけど、いちおう何かしてあげられる環境にある以上は、最低限ぐらいのことはしてあげたいな、という気持ちもあって……。

藤沢:でも、日本でSAPIXとかに入れて、バリバリ受験とかはさせたくないですよね。

井戸:させたくない。なんかお揃いのリュックを背負って夏休みに電車で夏期講習とかに行ってる小学生とか見てるといつも大変だよなと思ってて

藤沢:ちなみに、リュック背負ってるのは、日能研ですけど。まあ、大変だけど、SAPIXとかに入れて、中学受験をちゃんと真面目にさせれば、12歳の時点で、ふつうの社会人レベルの日本語読解力とかはあるし、社会とか理科の常識はあるし、あと計算とかもめちゃめちゃ速くなってるから、そんな悪いもんじゃないんですけどね。でも、やっぱり、大変すぎるというのもあるから、そういうのをやらせず、アメリカに住むのはひとつの手ですよね。とりあえず英語はできるようになるし

井戸:そう。それだけでいい、うちは。

藤沢日本は英語できる人が少ないから英語の価値がすごく高いんですよ、まだまだ。

井戸:確かにそうなんですよね。今回のアメリカ行きのメンバーも、何人かはもう決まってるんだけど、この先、向こうで100軒とかやろうと思ったらねぇ……。

藤沢:日本で集めるとなると、グググッとパイが小さくなりますよね。英語がしゃべれる人って条件を付けると。

井戸:少ないわけだからね。

藤沢:日本人が100人いれば、そのうちの5人ぐらい。……5人いるかいないかじゃないですかね、英語がしゃべれる人は。

井戸:そこなんですよ。

藤沢:しかもその5人って、どっちかというと高学歴コミュニティーにいるから。

井戸:そうなんです。だから今、アメリカだけじゃなくって世界的に見ても飲食店で働いている人たちの層って……下の階層って言ったら語弊あるんですけど、それなりのステータスの人はやらないもんなんですよ。日本だと、まだ、大学卒業して新卒採用で入って来るじゃないですか、チェーン店でも居酒屋でも。そういう感覚が、向こうじゃ全然ないから。そうすると向こうで人材を募っても、来る人はそれこそアメリカに住んでるのに英語もできない、みたいな人たちになるわけですよ。さすがに日本で日本語できない人って、ほとんどいないじゃないですか。

藤沢:日本ってやっぱり飲食店とかコンビニで働いてる人のレベルがすごく高いんですよ。

井戸:確かに、高い。

藤沢:アメリカとかでウエイトレスとか、コンビニとかで働いてる人たちって、すげえ愛想も悪いし。

井戸:そうそう。

藤沢数希氏

藤沢労働意欲もモラルもないと。それがふつうなんですよ。それが世界のふつうなんです。

井戸:それをやっぱり変えていかないと……ってことで、日本から連れて行くってことになるんですけど。

藤沢:でも、それはすごいコストが掛かりますよね

井戸:掛かります。でも、その分やっぱり向こうは単価が取れるし。だから、日本でやるよりも、そっちのほうがいいかなと。日本でやってて年収400万、現場で働いてて年収400万ぐらいの人を連れてって、向こうで700万ぐらい取れるような感じにしたいんです。

藤沢:でも、そういうやる気があって英語もできる人を、これからリクルートするのは、ちょっと大変ですね……。現地にいる日本人を雇ったらダメなんですか?

まぐまぐ:そもそも出店するのがニューヨークとかLAじゃないから、あんまり日本人の留学生なんかがいないってことなんですよね。

井戸:そう、いないんですよ。だから、やっぱり日本人を最低でも1店舗につき3~4人は連れてって、ホールとか洗い場とか調理とかは現地スタッフでっていうふうにやんないと、運営や管理ができないんじゃないかと。でも、ふつうに考えたら、スタッフの立場としても、日本で働いてるよりかは、いろんな面でいいはずなんですけどね。

藤沢:でも、日本って居心地いいですからね。

井戸:それって本当の居心地の良さなんですかね。俺のちょっとした知り合いで、寿司握ってる50代半ばのおっさんがいて、たまにここに来て飲んでくんだけど、すっかりやさぐれちゃって。「家族もいねえし」とか「この先何年握れるか分かんねえし」とか言ってて、本当に居心地いいのか、みたいな。

藤沢:だって、日本にいて、親の家に住んで、ポケモンをやったり、YouTube見たりしてれば、だいたいの人は居心地いいと思います。

井戸何それ寂しいじゃん

藤沢:バイトするぐらいで、牛丼食ってればいいし。

井戸:寂しいよ、そんな。

藤沢:寿司食いたかったら、スシローとか行けばいいんですよ。

井戸:それって居心地がいいんですか。

藤沢そういうのが居心地いいって思ってる人最近めっちゃ多いですよ。日本人の男性は……。でね、さっきの話に戻るけど、日本の教育システムとかそういう受験とか塾とかって、確かにくだらない面もあるけど、じゃあ何もしなかったらどうなのかって言ったら、みんな快適なYouTubeライフを送るだけなんですよ。

井戸:YouTubeねぇ。

藤沢:そう。なんかふつうのよくわからん変なお兄さんが出てる、なんかそういう意味のよく分からないのを、ずっと見てるんですよ。分かりますか?

井戸:分かる、分かる。だって、いまどきの子どもって、なりたい職業がユーチューバ―なんでしょ。

藤沢:でも、ユーチューバ―って全然面白くないじゃないですか。

井戸:面白くないねぇ。

藤沢:なんか忍者みたいな恰好した人が出てきて、マインクラフトなんかやりながらわけのわからないことをずっとしゃべってるんですよ。「きょうは実験します!」とか言って、コカコーラとペプシコーラ混ぜて飲んだり、もうアホかと。まったくわけがわかんないんけど、子どもたちはなんかすげえ楽しそうに見てると。でも、いまって、大半の子どもはそんな感じですよ。そんな調子で大人になって、ずっと親の家に住んで……お金がなくなったらバイトして、みたいな。

井戸:親も裕福になっちゃってるからね。

藤沢:裕福っていうか、それこそ外食も安くなってるし、100円ショップとかあるし。

井戸:そうだよね。

藤沢:住宅も日本中で余ってるから、親のぼろっちい家に住んでいれば、家賃はかかんないわけじゃないですか。

井戸:確かに。

藤沢:それはもう、快適なニートライフなんですよ。

井戸:でも、そんな快適なニートライフの人たちにスポットライトを当てたところで、次のステージには行けないじゃないですか。

藤沢:いいじゃないですか。それでずっと生きてけばいいわけだから。

井戸:いや、違う違う。ニートの快適ライフの話はどうでもよくって、俺たちとしては、頑張りたいって人たちを見つけていかないと、次のステージには行けないわけで……。

藤沢:でも、がんばりたい人たち少ないですよね。やっぱり若者の100人のうち70人ぐらいは、親の家に住んで、YouTubeライフを続けてければいいやって、思ってるんじゃないですかね。みんな童貞だしね

 


……終始和やかな雰囲気のなかで実に様々な話題が飛び出した、今回の井戸×藤沢スペシャル対談。

ちなみにクロストークの場となったバー「SlowPlay」は、本格的なポーカーテーブルを備えた完全禁煙のお店で、オーナーである井戸さんも「東京にいる時のオアシス」と話すほどの居心地のよい空間。場所のほうも、六本木交差点から歩いてすぐの好立地ということで、対談をご覧になったみなさんも、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

10月中に井戸さん、藤沢さんどちらかのメルマガにご登録すれば、納得と驚愕が交互に押し寄せる怒涛の対談全文を読むことができます。この機会に是非ご登録ください。↓ご登録は下記のリンクからどうぞ。

Photo by: Kotaro Minamiyama
 
 

『<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』 

著者/井戸実
神奈川県川崎市出身。寿司職人の修業を経て数社の会社を渡り歩く。2006年7月にステーキハンバーグ&サラダバーけんを開業。レストラン訪問記やQ&Aが充実のメルマガは毎週水曜配信。
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