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「串カツ田中」はなぜ創業7年でスピード上場できたのか?

1号店開店から7期目で上場を果たし、現在も着々と店舗数を増やし続ける人気の「串カツ田中」の勢いが止まりません。そんな、1,000店出店を目標に掲げる同社に立ちはだかる壁、そしてそれを乗り越えるための戦略・戦術を、無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者・青山烈士さんが詳しく分析しています。

業務の均一化・簡素化の意味

1号店開店から7期目で上場を果たした人気の串カツ店を展開している企業を分析します。

串カツ田中(串カツ専門の居酒屋)

戦略ショートストーリー

ファミリー層をターゲットに「独自のレシピ」「オペレーションノウハウ」「お客様を笑顔にする文化」に支えられた「美味しい串かつが手軽に食べられる」「家族で入りやすい」といった強みで差別化しています。

大衆食堂のような店構えや目立つ看板で来店を促し、リーズナブルな串カツに加えて大阪名物やユニークなメニューを揃えることで顧客の支持を得ています。

■分析のポイント

「業務の均一化・簡素化の意味」

「串カツ田中」は、串カツを日本の食文化にするというビジョンのもと積極的に出店を行い、現在は約120店舗まで増やしています。目標の店舗数は1,000店舗ですから、これから900件近くの店舗を出店することを目指すということになります。

いまのところ、「串カツ田中」が多くの店舗を出店している住宅街においては、出店しようとする競合も多くはないようで、物件の取得も容易なようです。しかし、いまはまだ、少ないとしても、串カツ田中が成功したことで今後、「串カツ田中」と同じようなコンセプトで似たような店舗を出す企業も増えていくことが想定されます。

そのような状況のなか、串カツといえば「串カツ田中」と言われるようなブランドを構築するためにも、出店の余地があるうちに、早期に1,000店舗を実現する必要性が高まっているといえます。だからこそ、上場することで多店舗出店に必要な資金の調達を実現しているわけです。

通常、多店舗化を実現するうえで重要なポイントとなるのは味やサービスなどの品質の維持です。「串カツ田中」は、料理人に頼らない運営や教育の仕組み化などに注力することで、味やサービスの品質を維持することを実現しています。

例えば、接客マニュアルも紙から動画に変えて、解釈にバラつきがでることを防ぐとともに、理解を促進することで、採用者を即戦力化しつつ、接客の品質も維持しています。

そして、多店舗化するうえでは、フランチャイズ(FC)店舗の拡大も必要となってきますので、FCのオーナーの獲得も重要です。業務の均一化・簡素化を図ってきた「串カツ田中」のオペレーションノウハウは、儲けやすさに加えて、横展開しやすいということも意味しています。ですので、FCのオーナーにとっても、新しい店舗を出しても既存店と同レベルの質でサービスを提供することができるということにもなりますし、なるべく苦労せずに、軌道に乗ることができるビジネスは非常に魅力的です。

以上のように、「串カツ田中」は、多店舗化する上で、重要となる要素を満たしているといえます。

一方で、業務の均一化・簡素化にはデメリットもありまして、それは、面白みが薄れ飽きられてしまうことが懸念されることです。どの店に行っても同じというのは、チェーンストアではあたり前のことでしたが、現在は、コンビニでも地域によって品ぞろえを変えるなどして、その地域に合った店舗運営をしています。

ですから、今後、多店舗化を進める上で、顧客が継続して来店したくなるような顧客を飽きさせない工夫も欠かせません。例えば、ハンバーガーチェーンのラッキーピエロのように、優良顧客を優遇したり、いきなりステーキの肉マイレージカードように、顧客がゲーム感覚で食べた量を競うような仕組みの構築が必要となってくるでしょう。

今後、串カツ田中が1,000店舗を実現できるのか、串カツが日本の食文化として定着できるのか、注目していきたいです。

◆戦略分析

■戦場・競合

■強み

1.美味しい串カツが手軽に食べられる

2.居酒屋なのに家族で入りやすい(子どもも楽しめる)

 ★上記の強みを支えるコア・コンピタンス

社外秘のレシピと独自のオペレーションノウハウ

上記のような独自のレシピとオペレーションノウハウや文化があるからこそ、強みを実現できているといえます。

■顧客ターゲット

◆戦術分析

■売り物

「常時30品以上の串カツ(大阪の伝統的なB級グルメ)」
→衣、油、ソースすべてがオリジナルブレンド

「大阪名物を中心としたサイドメニューやドリンク」

■売り値

■売り方

■売り場

※売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。

 

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