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次世代ガン治療薬・オプジーボ。現役医学博士から見た期待度は?

NY在住の猫好き医学博士しんコロさんが読者からの質問にお答えする『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』のQ&Aコーナー。今回は以前「日本が生んだ夢の『がん治療薬』、たった一剤で国を滅ぼす」という記事でもご紹介した、次世代のガン治療薬「オプシーボ(一般名:ニボルマブ)」について。ものすごく高価なことでも注目される、このガン治療薬の効果と今後の期待度について、現役医学博士のしんコロさんが詳しく解説してくれました。

次世代のガン治療薬「オプジーボ」に対するしんコロさんの期待度は?

Question

こんにちは、しんコロさん。最近オプジーボについてよく耳にするのですが、よくわかりません。でも新しいガン治療にはすごく期待してしまいます。この先、多発性骨髄腫にも有効になるでしょうか?

私の今の状況はとても元気で風邪ひとつ引いてません。オプジーボについてしんコロさんの考えを聞かせて下さい。

しんコロさんの回答

オプジーボ、話題になっていますね。オプジーボは次世代のガン治療薬です。

具体的には、免疫細胞が表出しているPD-1 という分子に結合する抗体です。このPD-1 は免疫細胞の活動を抑制するいわば「ブレーキ」です。

一方で、ガン細胞はこのブレーキを踏む「PD-L1」という分子を表出します。そして免疫細胞とがん細胞間でPD-1 とPD-L1 の接合が起きると、免疫活動が抑制されてガンが増殖してしまうのです。

オプジーボはこの接合を阻害することによって、免疫細胞がガン細胞を攻撃することを「邪魔しない」ようにするという仕組みです。こういった療法を「免疫チェックポイント阻害」といいます。

僕がワシントン大学の免疫学科に入った頃に、この研究がまだ始まったばかりで、第一線の研究の話を聞いてワクワクしたものでした。PD-1 の研究は今年はノーベル賞を逃しましたが、近い将来に受賞してもおかしくないと思います。

さて、多発性骨髄腫にも免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験は行われており、有効性も期待されています。また、オプジーボと免疫を刺激する他の薬剤と組み合わせた時にどのような効果が出るかなども、アメリカのバイオテック企業による研究がいままさに進められています。

一方で重篤な副作用を呈した臨床例もあるので、その安全性についてもさらに検証が行われているところです。

僕個人の見解としても、免疫チェックポイント阻害療法は期待できると思っています。高価な薬なので医療保険適応などの問題がまだありますが、いずれ様々なガンに使用されるようになるのではと思います。

 image by: 小野薬品工業

 

しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」

著者:しんコロ

ねこブロガー/ダンスインストラクター/起業家/医学博士。免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。言葉をしゃべる超有名ねこ「しおちゃん」の飼い主の『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』ではブログには書かないしおちゃんのエピソードやペットの健康を守るための最新情報を配信。

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