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【環境汚染】地球は人間ごときに汚されるほどちっぽけな存在ではない

世の中には「このままだと地球は滅びてしまう!」などと声高に叫ぶ環境運動家は数多く存在しますが、メルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』の著者で中部大学の武田教授は、彼ら環境運動家が資源の枯渇や大気汚染などを問題視して大げさにわめきたてるが、それらは小さな問題でしかなく、むしろ知識がなく怯える人たちの心を逆手にとって「金儲け」しようとすることの方が悪質だ、と厳しく糾弾しています。

大量生産、大量消費、大量廃棄…「大量」の基準は果たして何なのか?

石油とか鉄鉱石というような資源が枯渇すると言う人たちがいる。主として「環境運動家」「利権追求派」だが、彼らの魂は正しいかも知れないが、「自分達は正しい」「自分は偉いから得をしても良い」という信念が強すぎて、よく調べたり考えたりしないで、自分達の都合の良いように言うのでやっかいである。

日常的な生活をしていると、大量生産、大量消費、大量廃棄のように見えるときがあるが、「大量」とは「何を基準にして」というのがしっかりしていないと間違いを起こす。

地球は大きい。地球の重さ(質量)は60×10の23乗kgで人間一人あたりの10の23乗倍である。こんなことを書いても普通の人はわかりにくいと思うが、現在の地球の人口が60億人で、だいたい平均して一人60kgとすると、3.6×10の11乗kgになる。それと比較すると、地球は全世界の人間の重さを合計した量の2×10の13乗倍であることがわかる。

また、約1億人の日本人が1年に消耗する資源量は20億トン(2×10の12乗)だから、その3×10の12乗倍、つまり3兆倍になる。世界の資源の消耗量を日本人が1年に消耗する資源の10倍とすると、現在のペースで物質を使った場合、「地球を使い尽くす年限」は3000億年になり、地球が太陽に飲み込まれて消滅するとされる80億年の40倍になる。

ゴチャゴチャとした数字を示したが、「地球の大きさ」というのは「人間が使っているものの3000億倍もあり、その点では現在の大量生産というのは微量生産」と言うことができる。

だから、人間が資源を使ったり、環境を汚そうとしても、そんな大それた事はできないことになるが、現実に石油がなくなるとか、環境が破壊されるということと、どういう関係にあるのだろうか?

まず環境汚染だが、人間が汚染できる環境は、大気、水質、土壌などで、その中でも大気がもっとも汚染されやすい。というのは、水と大気とを比較すると大気は水に対して同じ体積で1000分の1ぐらいだから、水を汚すより大気を汚染させる方が1000倍も容易だ。だから歴史的には時々、大気汚染が問題になる。

1953年のロンドンスモッグでは12月の4日間で4000人が死亡し、翌年3月までに1万人が犠牲になった。

石炭などによる大規模汚染だったが、それはこの年だけで、地域もロンドンに限定されていた。世界的に有名な大気汚染はアメリカのロサンゼルス・スモッグ、東京の光化学スモッグ、四日市ぜんそく、そして北京のPM汚染などだが、いずれも長くても10年、地域は「都市に限定されていて、「イギリス・スモッグ」などと国の名前を冠した汚染(国単位の大気汚染は発生していない

つまり人間が使う物質の量は余りにも少なく、もっとも汚れやすい大気すら「ある都市を数年間」だけ汚染できるに過ぎない。それを大げさに言うから今にも地球が汚染されるように感じるし人を脅して儲ける人が後を絶たない

利権に染まったインテリには、科学的事実は通用しない

筆者のブログで詳細に説明しているが、資源の枯渇の問題も同じで、石油を使い尽くす年限を計算するとおよそ600万年などの数字が得られて、普通に言われる40年とか50年という数字とはまったく違う。

まず、地球の陸地の面積は地球全体の3分の1だが、世界の都市の総面積はわずか0.43%にしか過ぎない。つまり地球全体に人間が住んでいるように見えるが、多くの人はわずか230分の1ぐらいの面積にしか住んでいないし、都市以外の所はほとんど自然と溶け込んで生活しているので資源とか環境を問題にするときには考慮しなくても良い

環境問題や資源問題というのは、都市に住んでいるインテリ(体験が少なく、特定の情報だけで浅く考える人たち)には「大量生産ゴミが多い」と見え、かつ「自分はなんでも知っているという傲慢さから出ているものだ。だから環境運動家や利権追求派に説明するのは難しい。

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image by: Shutterstock

 

武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』より一部抜粋

著者/武田邦彦
東京大学卒業後、旭化成に入社。同社にてウラン濃縮研究所長を勤め、芝浦工業大学工学部教授を経て現職に就任。現在、テレビ出演等で活躍。メルマガで、原発や環境問題を中心にテレビでは言えない“真実”を発信中。
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