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トランプの「日本は為替管理国」発言を封じた天文学的な口止め料

1月末、日本を名指しして「為替管理国」と厳しく批判したトランプ大統領ですが、先日行われた日米首脳会談ではこれについて一切の言及がありませんでした。不気味にさえ思えるこの「沈黙」は何を意味するのでしょうか。メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』の著者・高城剛さんが、その裏にあるものを独自の視点で読み解きます。

トランプが首脳会談で日本の為替操作に一切触れなかった理由

今週は、多くのご質問をいただきました日米首脳会談につきまして、私見たっぷりにお話ししたいと思います。

米国の大統領ドナルド・トランプと日本の安倍晋三首相は、先週2月10日に約40分間にわたって日米首脳会談を行い、その後、共同記者会見を行いました。

今回の首脳会談において、「言及されるはずだったのにされなかった」大きなポイントは、あれほどトランプが叫んでいた日本の為替操作につきまして一切言及されたかった点に尽きると僕は考えています。

壁の建設からイスラム諸国の入国禁止まで、即座に行動してきたトランプが、まるで宗旨替えをしたように見える理由があるはずです。

まず、日本国政府は首脳会談直前まで、一切の為替操作は行なっていないと公的に発言してきました。その真意と仕組みを、あらためて振り返ってみたいと思います。

2013年に400兆円を超える政府系金融機関が、米国債をいくつかのヘッジファンドから大量に購入しました。そのヘッジファンドが、今度は密約のもとに日本株を購入しその結果、株式市場が暴騰しあわせて円の先物売りを行ないました。

これにより、「アベノミクス」と呼ばれる政策は、短期間に物凄い効果をあげたように演出されることになりました。これは、単にタネがある手品です。

その後、このような「裏施策」が当面続き為替と株価が維持され、その原資は、次々と発射される「日銀バズーカ」と呼ばれる金融緩和から派生することになるのですが、安倍政権になる前の日銀総裁だった白川氏は、この「裏施策」にとても同調できない、独立性が失われるどころか、国家財政危機になるとの理由から、任期満了まで3週間を残した状態で、あえて辞任しました。そして、安倍政権の「裏施策」を容認し実行する黒川氏に引き継がれることになりました。

しかし、いつまでも米国系ヘッジファンドも、日本の出来レースともいうべき「裏施策」に付き合っていられません。徐々に足抜けをはじめ(売り越し)、そうなると、株も為替も大きく変動してしまうことになりかねません。

そこで、政府系金融機関が今度は直接日経255を中心に株式購入をはじめることになります。その結果、あまりに多くの上場企業の筆頭株主として政府系金融機関の名が突然浮上することになりました。

もはや、日本の実体経済と株式市場が大きく乖離しているのは言うまでもありませんが、このような「裏施策」が続けられるのも、長くてもあと2年程度だと思われます。

なぜなら、「裏施策」=アベノミクスはすでに失敗し、インフレ目標も達成できず、ついにはマイナス金利まで陥ってしまったからです。さすがに、あと2年程度で原資が底をつく見通しです。

この「裏施策」=アベノミクス全般の仕組みを、トランプは「為替操作国」と話しているのです。

さて、今回の日米首脳会談で、もっと議題の焦点となるはずだった為替につきましては、先送りにされ、今後、水面下の交渉となりました。その上、日本が今回交渉の上に得たのは「尖閣諸島」に関する日米安保の適用ですので、この二点(為替の水面下交渉と尖閣問題)に関して、それ相当のお土産を持参したと言われています。

それは、政府系金融機関だけでなく、民間の金融機関および日本の大企業から米国への100兆円を超える投資の確約ではないか、と囁かれています。

本メールマガジンは、大手新聞社と違いますので、際立った私見を述べますが、次々と有言実行しているトランプが、多少のことでは納得しないのは、誰もが理解できるところです。

当然、それ相応の「お土産」を持参したと見て、まず間違いありません。

そして、その結果は誰もが数年後に別の形で理解できることとなるでしょう。高値でウエスチング・ハウスを買った現在の東芝の惨状のように。

image by: 首相官邸

 

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