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知りすぎなければ裏切られない。プロが教える人間関係の作り方

ビジネスパートナーであれ、プライベートな関係であれ、食事や飲み会などと口実をつけて人の過去を根掘り葉掘り聞いてくる人っていますよね。信頼関係を築くためと言えば聞こえはいいですが、無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者・弘中勝さん曰く、「相手の必要な情報だけを得て、それ以外はノータッチ。知らないことがあるのが当たり前だという意識で付き合った方が、人間関係はスムーズ」とのこと。一体どういうことなのでしょうか?

見えない一面

私はかなりの人間不信です。

でも、「他人を全く信用しない」という意味ではなく、「見えるものだけが全部じゃない」「見えるもの全てが本当というわけじゃない」という感じの意識です。

よく、気心の知れた友達や仲間のことを「俺はあいつのことを全て理解しているし、向こうもそうで、分かり合っている」と自慢げに話す人がいます。でも私は、そんなことはまずないと思います。

たとえ何十年一緒に育った父母や子供たちでも絶対に分からないことがあります。それは、隠しているということではなくて、「表に出ていない」ということです。

裏表がある、ということもありますが、表しか見ていない人には、裏の全てが見えているわけがないのです。そして、それを決して悪いことだとは思わず、「そういうものだ」「それが普通なんだ」と理解しておく、それが私のいう、いわば肯定的人間不信です。

例えば、殺人事件や誘拐事件などが起きた時に、その犯人の自宅の近くの人たちのインタビューで「普段は真面目そうな人だった。とても人を殺すような人間には見えなかった」などというお決まりの話がありますが、あんなのは当たり前です。「私は人を殺すような人間ですよ」というオーラを出しているような人って、いるはずがないし、そんな発言をしている近所の人たちも、人を殺す人はどんな人間なのかということなんて正確に分かっているわけがありません。「まさか人を殺すような人だったなんて」という感想は、あまり意味がないのです。

恋愛なんて特にそういうことでこじれやすく、「あなたがそんな人だったなんて!」とか「おまえにそんな過去があったなんて!」みたいなことで衝突してしまいます。でも、「そんな人」とか「そんな過去」とかは、聞かれなければわざわざ表すことでもないし、本人だって忘れていることだってあるし、分からないこと、知らないことがあって当然です。

それを、自分が見たり聞いたりしたものが全てだと思い込んで、自分の知らないことを知らされたら「裏切られた」などとショックを受ける。でも、たとえどれだけ親しい恋愛相手でも、「まあ知らないことはいくらでもあるだろうな」という摂理を知っておけば、「裏切られたなんていう感情は起こらないのです。

映画や漫画などで、「人にはそれぞれ他人に言えない過去があるものさ」みたいなセリフが出てきますが、あれをきちんと押さえておけばいいわけです。そのセリフは「隠し事はそっとしておいてやりな」という意味であることがほとんどですが、隠し事や秘密ではなくても、別に言う必要がなかったから言っていないだけということだって無数にあります。

そういうものはあって当たり前ということを意識しておくことが大事です。人と人とのコミュニケーションにおいて、知らないことがあるというのは弊害に思えますが、実は決してそうではなくて、それが普通だとそんなに衝突や落差も起きにくくなります。

もちろん、「いや、そんなことはない。人間隠し事があるよりも、お互い何から何まで分かっていたほうが信頼が生まれる」なんていう意見を持つ人も多いでしょう。しかし、一流の技術が結集しているような現場では、その一流の技術だけを信用しているが別にそれ以外のことは全く問わないし無関係、という関係の方がスムーズにことが運ぶこともあります。

プロはプロとしての仕事をきっちりこなすがそれ以外のことはノータッチ、というつながりもまたプロ同士の信頼関係の一つです。それを、例えば「あの男性は元ヤクザだ」とか、「あの女性はかつて風俗嬢だったらしい」とか、そんな必要とする技術以外のところでとやかく言う人はただの感情論であることが多く、その感情論によって信頼すべき技術や能力を信頼しなくなるというのは、ロスでしかありません。

「人には知らない一面があって当たり前」ということを知っている人は、本当に必要な人間関係というのを分かっている人です。そういう人ほど、上手に人を使いこなし、上手に人脈を増やしていきます。

【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)

image by: Shutterstock.com

 

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【著者】 弘中勝 【発行周期】 日刊

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