在韓米軍のTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備問題で、韓国が中国の怒りを買ってしまったようです。中国国内ではTHAAD配備の用地を提供したロッテグループに対する不買運動や韓国団体旅行の取りやめなど、すでに韓国に対する露骨な嫌がらせが行われており、経済的な大打撃となる見通しです。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の著者で評論家の黄文雄さんは「これは政治問題をビジネスに絡める中国特有のやり方だ」と言及しています。
【韓国】中国に殺されることが確定した韓国
在韓米軍のTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備問題で、韓国に対してさまざまな嫌がらせを加えている中国ですが、韓流タレントの中国のテレビ出演を中止することに加えて、今月2日には中国の国家旅遊局が中国の旅行会社に対し、韓国への団体旅行を中止するように指示を出したことが報じられました。
これにより韓国の免税店では年間の売上高が3900億円以上も減少すると見られています。
また、THAAD配備の用地をロッテが提供したことにより、中国国内ではロッテグループに対する不買運動が広がり、さらにはロッテマートの店舗に対しては消防法違反や施設法違反での営業禁止命令が次々と出されているようです。
すでに営業中止に追い込まれた中国のロッテマートは99店舗中23店舗にまで拡大していると報じられています。そして、中国の旅行サイトからはロッテホテルが削除されさそうです。その余波は韓国製の炭酸水、焼酎、モバイルゲームにも及び、不買運動や不認可措置が取られています。
この中国の韓国への嫌がらせは「限韓令」あるいは「禁韓令」と呼ばれていますが、もはや「制限」の段階から「禁止」の段階に入っていますから、後者の呼び方のほうがふさわしいでしょう。
ちなみにロッテは中国語では「楽天」なので、中国の通販サイトに出店している日本の楽天市場が間違われて、「中国から出て行け」といった抗議を受けているそうです。楽天市場は「Rakuten 日本 楽天市場」などと表記して、勘違いであることを必至にアピールしているそうです。
中国が政治問題をビジネスに絡めるのはいつものことです。今年1月のダボス会議では習近平主席がトランプ政権の保護主義を念頭に自由貿易の重要性を強調しましたが、中国にとっての「自由」というのは、他国にとって「不自由」を意味します。「自由」の解釈権を持つのは中国だけなのです。
これは人権問題にしろ歴史問題にしろ同様です。いくら言論弾圧をしても中国は「言論の自由は守られている」と主張します。中国が主張する歴史認識だけが「正しい歴史認識」なのです。中国の主張に従ってくれる人だけが「友好人士」なのです。
「自由」も「正しい」も「友好」も、その解釈権は中国にあるというのが、中国のスタンスなのです。
ところで、ロッテグループへの不買運動が広がっている一方で、一部のロッテマートには中国人客が殺到しているようです。というのも、いつ店舗が閉鎖に追い込まれるかわからないため、ポイントカードを持っている中国人が「いまのうちに使い切らねば」と、我先に駆け込んでいるのです。
いかにも中国人らしいですが、ポイントというのは一種の預金のようなものですから、これをどんどん引き出されることになるロッテは、ここでも大きなダメージとなるでしょう。
韓国では中国に傾斜したツケが、いま噴出しはじめているのであり、この問題はサムスン、現代自動車などにも拡大していくと思われます。
中国にとっては、歴史のみならずスポーツ、ビジネスまでが「政治」なのです。それは日中における「政治と歴史」の学校教育にもよく表れています。
中国において歴史はたいてい政治学部に所属するのに対して、日本では文学部の領域です。
中国からのこうした嫌がらせは、台湾もさんざん味合わされています。蔡英文政権になってから、西アフリカのナイジェリアや島国サントメ・プリンシペが台湾との断交を宣言しましたが、当然、その背景には中国からの圧力があります。
もちろん、国連からICPOなどの国際組織への加盟についても、中国は妨害をし続けています。