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徘徊し他人のピンポンを押す…薬の副作用で認知症になった義父

少子高齢化が社会問題となっている日本。「長寿大国」としての誇りを持ってこれからも歩み続けていくために、認知症対策は避けて通れない大きなテーマのひとつです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが「高齢者に対する地域の支援」をテーマに、急速に改善が進んでいる地域包括支援センターの業務内容や自治体ごとに行われている取り組みなど、認知症対策の「今」を紹介しています。

認知症対策について、自分の地域の「今」を知ろう!

こんにちは! 廣田信子です。

高齢者に対する地域での支援体制は、この1~2年で大きく変わっています

平成27年の介護保険制度の改正で、高齢者ができるだけ住み慣れた地域で生活できるようにと、全国統一だった訪問介護、通所介護等の制度を、市町村が取組む地域支援事業に移管し、多様化することになったことが形になっています。

平成27年~29年の3年間を掛けて、介護予防や日常生活支援が地域の福祉行政に移管されています。

特に、地域包括支援センターの業務充実は目に見えて進んでいます

10年ほど前から、マンションにおける一人暮らし高齢者見守りや認知症対策をみてきましたが、地域包括支援センターは以前から窓口としてはあったものの、その存在が一般にはあまり知られていませんでしたし、一人暮らしの認知症の居住者に困って、管理組合の理事長や管理員さんが、地域包括支援センターに連絡しても、なかなか対応してもらえない…、というような話を以前はよく聞きました。

しかし、今はかなり違います。本人や親族からの相談はもちろんですが、地域の人からの情報提供を積極的に呼びかけています。近所に様子が気になる高齢者の方がいたら、ぜひ連絡してください…と。

同時に、様々な関係機関や地域の人たちとのネットワークづくりも進んでいます。

先日、私の地元のサロンでは、地元の地域包括支援センターの職員の方に来て頂いて、認知症に関する出前講座を開催しました。今年、様々な角度から認知症に関する講座を4回開催する予定です。以前書いたように徘徊高齢者を見つける訓練も始まっています。

認知症のお年寄りが「安心して徘徊できる」街は作れるのか?

市内の各所で、認知状の方や家族、地域住民が気軽に参加でき、専門スタッフに相談したり、交流ができるカフェが、定期的に開催されています。

なんでこの話を書いたかというと、数年前の困った事例や地域の支援体制の話で認知症を語られるのを聞くと、ちょっと古いな~、それを元に今や未来を語るのは、ちょっとずれているんじゃないかな…、と思うことがあるからです。

長寿社会は認知症と共存する社会です。もちろん、始まったばかりの地域での包括支援体制で課題はたくさんありますが、確実に変わってきていますし、今後もかなりのスピードで変わっていくはずです。

多くの人が少しずつでも参加することで、問題点を解決し、どんどん今後も進化させていくことができると私は実感しています。そして、認知症に対する介護方法も格段に進歩しています。日本は認知症介護の先進国だといいます。

で、認知症予防や認知症の症状を進めない方法についても、いろいろ研究が進んでいます。先日のサロンに来ていた40歳代の方が、数年前に薬の副作用で認知症になった義父の介護に苦労した話をされました。徘徊や間違って近所の家のインターホンを押す、大声を出す等でご近所に迷惑を掛けることが何よりつらかった。菓子折りを持って、何度お詫びにいったことか…。もし、地域で、こうやって話を聞いてもらえる機会があって、認知症ゆえの行動を当たり前に受け止めてくれる風土があったら、どんなに介護の精神的負担が軽くなったか…と。

私たちにできることは、まず、少しおかしいと思う状況を見かけたら、それを放置しないで地域包括支援センターに連絡をすることです。それは、その方の人権を守るためのことでもあります。情報を元に、地域包括支援センターの方で状況をさりげなく確認してくれます。

そして、認知症を知り認知症の方がいることを自然に受け止められる風土を作って行くこと。これって、自分自身のためでもあります。

地域包括支援センターの方をお呼びしての勉強会、とてもよかったですよ。病院や介護サービス等、地域の情報をいろいろ聞けますし、誰もが無関心でいられない話題で、参加者同士のコミュニケーションも進みます。

テレビ等でも、認知症が取り上げられることが多くなりましたが、住んでいる場所の身近な地域情報と地域の方とのコミュニケーションという部分は、地域でしか得られません。サロンでも、まず、地域包括支援センターってどこにあるの? の質問から始まりました。

認知症対策については、自分たちの自治体地域のを知ること常に新しい情報に接することが、とても重要だと思います。そして、何より、自分がそのネットワークに入っていくことです。入ってみないとわからないことってあると思います。

意識して自治体の広報誌を見ると、いろいろな機会が用意されていることが分かりますよ。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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